最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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反省会

「朱里ちゃん、あの子と知り合いなの?」

 

武田さんが私と二宮との関係性が気になっていたのか訪ねてくる。あっ、よく見たら雷轟以外の皆が凄い気になってるって表情してる。しかも神童さんまで……。肝心の雷轟は俯いた表情をしていた。はて、雷轟に何かあったかな?

 

「……リトルとシニアで同じチームの二宮瑞希。正捕手として6年間努めてきた実績を持っているよ」

 

「凄い!6年間ずっとなの!?」

 

二宮の実績に皆……特に二宮と同じ捕手である山崎さんが尊敬の眼差しで見ていた。

 

「……今思えば私よりも優れた捕手は幾らでもいたにも関わらず、何故私が6年間ずっとスタメンマスクを被れたんでしょうか?」

 

もしかしてこの子わざと言ってる?神童さんも苦笑いしてるし、顔に思い切りパンチしても良い?

 

「……こほん。それはさておき柳大川越戦は良い試合でしたね。私達も色々学ぶ事が多かったです」

 

「……そうだな。時折見せる思い切った大胆な指示はうちでは到底出来なかったよ」

 

そりゃそうでしょうね。白糸台はリスクある行動は絶対にしないもん。常に安定行動を続けていて去年の夏と今年の春に全国優勝してるんだもん。しかもその勝利投手がどっちも神童さんだし。

 

「ありがとうございます。そう言ってもらえると参謀の芳乃さんも指示を出した甲斐があるというものです」

 

私がそう言うと二宮は芳乃さんの方を見て……。

 

「……試合の指示出しは貴女がしていましたか。お見事です」

 

「あっ、ありがとうございます!つきましては……」

 

芳乃さんは髪をぴこぴこさせながら二宮と神童さんに……。

 

「サインくださいっ!」

 

サインを求めていた。こんな時でも芳乃さんは平常運転だね……。

 

二宮が芳乃さんにサインを書き終わり、神童さんがサインを書いていると二宮が私に問い掛けた。

 

「朱里さんはあの事を言わないつもりですか?」

 

「……実はそろそろ言おうと思ってたんだよね」

 

高校では外野に専念するつもりだったけど、柳大戦を経て私も思うところが色々あるからね。

 

「……そうですか。それなら私からは特に何も言う事はありません。全国の舞台で待っていますよ」

 

「会えたら……ね。まだうちは発展途上だし」

 

正直今のうちのレベルでは全国は厳しいだろう。中村さんには申し訳ないけど……。あとさも当然のように白糸台が全国に行けるみたいな口振り……。まぁ神童さんと二宮だけでもそれを可能に出来そうなのが恐ろしいところだ。

 

「私は朱里さんがその気になれば全国に行くのはそう難しくないと思っています」

 

「どうかな?県内には私達の元チームメイトが何人かいるからただでさえ強豪揃いの埼玉県の中でうちが全国出場を決める難易度は更に上がっているしね」

 

梁幽館に咲桜に椿峰……。よりによって強いところばっかりに散らばっちゃって……。勘弁してよ全く!

 

 

~そして~

 

二宮と神童さんは電車の時間があるので帰宅。それぞれが今度こそ解散という中で武田さんと山崎さんは反省会がてら川口家にお邪魔する事に。

 

私も芳乃さんと山崎さんに話しておきたい事があったし、それに着いていく事にした。折角だから雷轟にも話しておこうと思って雷轟も誘ったけど……。

 

「ごめん。私今日は帰るね……」

 

本当にどうしたんだ?まぁそれはその内確認するとして、今は私の事について話さなきゃね。……おっと。

 

(その前にやる事があったんだった……)

 

それを済ませて今度こそ川口家へ!

 

「お邪魔しま~す」

 

川口家は新越から滅茶苦茶近い。私なんか電車通学だし、羨ましい……。

 

「飲み物取ってくるよ。私の部屋は散らかっているから、反省会は息吹ちゃんの部屋でやるよ」

 

「こっちよ」

 

息吹さんの部屋に入ろうとするけど、武田さんはその途中で見付けた芳乃さんの部屋が気になるようで……。

 

「ちょっとだけ……」

 

「やめておいた方が良いよ?」

 

と言いつつも私も芳乃さんの部屋が気になっているから武田さんと共にチラッと覗く。そこには……。

 

「凄い……」

 

有名選手のサインやら埼玉県大会の名簿やらがずらっと並んでいた。これは確かに凄い……。

 

「あれ……?」

 

「どうしたの?」

 

「あれってもしかして私じゃ……」

 

武田さんが指したのは新越の制服を着て投球している武田さんの写真だった。何時撮ったんだろう……?多分私と雷轟が野球部に入る前だと思うけど……。

 

「人の部屋勝手に入っちゃダメだよぉ……」

 

背後から芳乃さんが私達に囁いた。怖っ!ごめんなさい!

 

「ごめん。つい気になっちゃって……」

 

「そんな悪い子には……試合後のマッサージしてあげる」

 

「良いの?寧ろご褒美では……」

 

「私こう見えてマッサージ得意なんだ~。ねっ、息吹ちゃん」

 

「そうね……」

 

息吹さんのあの反応……。さては滅茶苦茶痛いな?

 

「じゃあ先にお風呂入ろうか!」

 

「うん」

 

「タオルとかシャツとかここに置いておくね」

 

「ありがと~!」

 

至れり尽くせりだな武田さん……。これなら多少芳乃さんのマッサージが痛くても問題ない気がする。

 

反省会もそこそこに武田さんがお風呂から上がってきた。顔赤いな……。それに熱女って凄いシャツ……。私自身特に服装に拘りはないけど、あれは個性的だと思います。

 

「柔らかくて良いねえ!故障もしにくいし、球速も上がると思うよ」

 

「本当に?やったー!」

 

芳乃さんがまず武田さんの身体を解す。その後山崎さんに武田さんの戦績を聞く。

 

「珠姫ちゃん、今日のヨミちゃんはどうだった?」

 

「……4回に取られた1点は余計だったね。あの球を要求してたのに、ただのカーブがくるし」

 

「アイタッ!」

 

「序盤は好投してるように見えたけど、追い込んでからのあの球はイマイチだった。私が振り逃げを許すとでも思ってたのかな?」

 

「アイタタッ!」

 

あれは山崎さんの言葉の刺と芳乃さんのマッサージ……どっちに対する反応なんだろうか……。どっちも?

 

「……でも終盤は良かったかな。あのままずっと受けていたかった」

 

確かに終盤の武田さんは良かった。あの投球を序盤……というか点を取られた4回に出来ていれば完封してたんじゃないかと思うレベルだった。

 

「……はいっ。出来たよ!」

 

「凄い!軽くなった!じゃ早速投球練習を……」

 

「ダメだよ。今日は身体を休めて」

 

まぁマッサージの直後に身体に負担かけるのは余り良くないからね。芳乃さんの指摘は尤もだ。

 

「タマちゃんもしたいよね?」

 

「うん。ちょっとだけなら……」

 

「仕方ないなぁ……。10球だけだよ?」

 

良いの!?さっきのダメ出しはなんだったの?

 

「終わったら素振り500回ね。朱里ちゃん以外皆無安打だったし」

 

「500……」

 

(毎日やってるとは言えキツいわね……)

 

うわぁ……。試合後で疲れているのに、素振り500回はキツいだろうな。まぁ雷轟なら嬉々として素振りしてそうだけどね。

 

(……雷轟の様子も試合の途中から可笑しかったし、色々考える事が多いなぁ)

 

「その間にご飯作ってるね」

 

芳乃さんのご飯か……。ちょっと気になってたんだよね!藤田さんが言っていた皆の食事の献立が組まれていた事とか、ポジションによってどんな献立があるとか……。今までそんな細かいところまで考えた事がなかったからね。監督はその辺り適当だったし。

 

(はっ……!危うく今日着いてきた目的を忘れるところだったよ)

 

それだと私が着いてきた意味がない!そう思い私は皆に声を掛けた。

 

「……ちょっと良いかな?」

 

「どうしたの朱里ちゃん?」

 

私の表情を見た4人がシリアスな話だと察して真剣な表情をしている。

 

(さて、覚悟を決めますか!)

 

どんな反応が帰ってくるかはわからない。特に武田さんからの反応が怖い……。でも私はこのままだと自分が、新越が上のステップに進めないんじゃないかと思って話を切り出した。

 

「……私のリトル、そしてシニアでの話を聞いてほしい」

 

その話をする時の私は今までで1番緊張していた。そして皆も同じように緊張していた……。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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