2試合目は武田さんが先発で、私が抑え。武田さんの方はあの魔球を封印して、新しく覚えたカットボールとツーシームを中心に山崎さんが配球を組み立てているらしい。
……というか私本当は投げるつもりなかったんだけど、金原がどうしても私と勝負したいとの事で、5回以降ならという条件で金原は納得してくれた。どうやら武田さんの球も見たかったみたい。
この試合は私と雷轟がベンチ。私は武田さんと交代で投げるから、ベンチで休んでいてほしいのと、もし芳乃さんが指示に困ったら私に助けてほしいとの事。雷轟は代打の切り札である。
「しまっていこーっ!」
『おーっ!!』
主将の掛け声に私を含めた皆が気合いを入れた。よし、ベンチから精一杯応援しよう!
武田さんのピッチングは良好で、1、2番をツーシームを利用して上手く打ち取った。ツーシームの方は実戦でも使えそうだね。
「やるね~、武田さん!」
ツーアウトランナーなしで金原が左打席に入る。
(金原さん……。朱里ちゃんの情報通りなら、インコースが苦手の筈。内角寄りに攻めていこう!)
(了解!)
武田さんの1球目はインコースにツーシーム。シニアでの金原は内角の球を苦手としていたから、それを山崎さんに伝えておいたんだけど……。
「そ……りゃあっ!!」
金原は内角のツーシームを強引に引っ張った。打球は三塁線に飛んでいってファール。
(もうシニアまでのアタシとは違うもんね~。インコースだって打つよ~?)
(成程……。高校の練習でインコースを克服したな?)
「タイムお願いします!」
それなら改めてバッテリーに通達すれば良いだけ。私はタイムを宣告してバッテリーに駆け寄った。
「……インコース、打ってきたね?」
「どうやら高校で苦手なインコースは克服したみたい」
だとすると非常に厄介だな……。やはり金原は天才の部類に入る人間だね。
「こうなったら素直に勝負する?」
「金原は長打力もあるから、下手に攻めるとスタンドまで運ばれる恐れがあるよ」
「そ、そうなの?ど、どうしよう……?」
「まぁ手はあるよ。山崎さん、耳貸して」
「う、うん……」
私は金原対策になるかもしれない策を山崎さんに耳打ちする。これを知っているのは私と二宮だけだ。更にそれにプラスして……。
「ほ、本当にそれでいけるの?」
「なんとかなるよ。少なくとも最悪の事態は防げる……。それとあの魔球を金原に限り使った方が良いと思う」
「……やっぱりその方が良いのかな?」
「今のツーシームにもタイミングが合ってたからね。上手く混ぜればいける筈」
「……わかった。ヨミちゃんもそれで良い?」
「うん、私はタマちゃんと朱里ちゃんに任せるよ~!」
「頼んだよ。エース」
「エース……。エースかぁ。えへへ……!」
あれ?なんか照れてるんだけど?大丈夫かな……?
タイムを終えてカウントはノーボール、ワンストライクから。
(朱里ちゃんの作戦通りにいくよ!)
(うん!)
バッテリーはもう1球金原にファールを打たせて、その後は3球連続でボール球を投げる。これでフルカウント。
(フルカウントか……。もしかしてアタシを歩かせようとしてる?でも朱里からアタシの事を聞いているならそれはないと思うけど……)
金原は思案顔で私の方を見ている。そんなに見ても私からは何も出ないよ!
まぁともあれ次で6球目。武田さんが投げたのは……。
(ストレート……?いや、曲がる!?)
ど真ん中からのあの魔球だった。それは金原のバットを空振りさせるのには充分だ。
『ストライク!バッターアウト!!』
「やった!抑えた!」
「ナイスピッチ!ヨミちゃん!!」
(まずは武田さんの勝ち……。金原との勝負をあと1回するとして、次は……)
私が考えていると金原が話し掛けてきた。
「やられた~。あんな変化球シニアでもそうそう見ないからね。でも次は打つよ!」
「私も負けないよ!」
なんか同世代のライバル関係がここに誕生した。まぁ武田さんと金原は性格的に似ている部分があるし、馬が合うのかもね。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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