最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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抽選会

今日は大会の抽選会。キャプテンと芳乃ちゃんと朱里ちゃんの3人が代表で行っている。私達も行こうとしたけど、キャプテンと朱里ちゃんに止められたんだよね……。

 

「はいっ!」

 

「メジャーみたいなスイングになってるよヨミちゃん?」

 

「だって落ち着かないんだもん~!」

 

「うんうん、早く試合したいよね!」

 

「抽選会か……」

 

「Dシードの山に入りたいわよね……」

 

「それって何か関係あるの?」

 

「AシードとBシードは梁幽館と咲桜だし、出来れば当たりたくないんだよ」

 

「Cシードも椿峰だし、強いて言うなら1番Dシードがマシってところかしらね。Dシードは柳大川越だし……」

 

「そうなんだ~」

 

でも目標が全国優勝なら何処と当たろうと関係ないよね?全員倒せば良いだけなんだから……!

 

「キャプテンってクジ運悪そうだもんね~」

 

「そうなんだよな~。芳乃と朱里でそこら辺何とかしてほしいもんだぜ」

 

「でも朱里ちゃんもなんだかクジが運悪そう……」

 

私は何処と当たってもいつも通りやるだけだから何も変わらないけどね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんか悪口言われてる気がする……。雷轟か川崎さんだな?)

 

あの2人の練習量増やしてやろうか……?

 

「わー!野球選手がいっぱい!」

 

おっと、今はこっちだね。

 

「中から強者のオーラがピンピン感じる!キャプテン、朱里ちゃん、早く中に入りましょう!」

 

「ああ……」

 

「芳乃さん元気だね」

 

そして中に入ると……。

 

「いるいる!沢山いるよ!」

 

「まぁ埼玉中の野球部の代表者が集まっている訳だしね」

 

芳乃さんが興奮気味に各選手達の紹介が始まる……。

 

「宗陣高校の古川さん、Cシードのお嬢様学校椿峰!」

 

お嬢様学校がシードまで上り詰めるって考えると凄いよね……。

 

「県内最速投手の久保田さん、文武両道のエリート校大宮大附設、そしてあの一角は去年の優勝校咲桜高校で、県内最高遊撃手の田辺由比さんと塁間県内最速の小関諒さん!」

 

(咲桜には1人うちのシニアから入ってて、ポジションは田辺さんと同じ……。本人は背番号貰うつもりだって豪語してるけど、田辺さんを上回るプレーが出来るのかね……?)

 

まぁ私は咲桜の人間じゃないから、関係ないけどね。

 

「あっちは今春全国出場の美園学院の2年生エース、全国で21回投げて僅か3失点の園川萌さんと同じく2年生捕手の福澤彩菜さん!」

 

美園学院のこの2人は少なくとも来年までは私達と当たる訳だし、シニアから後輩が入ってくる可能性もある……。3年生が中心の梁幽館よりもこういう高校を警戒しておいた方が良いのかもね。

 

「埼玉4強常連で、一昨年の優勝校梁幽館!中でも注目なのは昨年から打率6割をキープしている陽秋月さんとエースで通算ホームランが50本超えの中田奈緒さん!」

 

とはいえ梁幽館も要警戒。その中でも芳乃さんが紹介したこの2人は危険だ。私でも完封出来るかわからないからね。

 

「埼玉高校野球の全てが目の前に……!」

 

「まぁ抽選会だしね。さっきも言ったけど……」

 

「ん~!分析した~い!!」

 

その時会場で何人かが芳乃さんから放たれるプレッシャーを感じた。ちなみに私もそのプレッシャーを受けた……。

 

「気持ちはわかるけど、落ち着いて。席に座ろう」

 

「うん!」

 

主将の指示に従って私達は席に着く。

 

『シード校は整理番号の順に並んでください』

 

「あっ、大野さんだ!」

 

「キャプテンだったのか。浅井さんだと思ってた……」

 

私も柳大と試合するまでは浅井さんがキャプテンだと思ってた。

 

そして抽選は進んでいき、次はうちの番……なんどけど……。

 

「お願いします」

 

『!……新越谷高校』

 

新越谷の名前を聞いた途端に不祥事だの、当たりたいだの、言いたい放題言っていた。煩わしい……!やっぱり皆が来なくて正解だったよ。

 

「はぁ……。ウザい。当事者はもういないのに、なんでグチグチ言うのかしら。新越谷は『この私』から3点も取ったチームよ。痛い目見るといいんだわ」

 

大野さん……。良い事言うなぁ。

 

「あれって柳大川越じゃん……」

 

「じゃああの人が朝倉さんか!」

 

(潰す!)

 

大野さん……。これからは貴女の事を朝倉大野と心の中で呼ばせていただきます。そしてクジの結果は……。

 

「……っ!?」

 

あっ!主将がやらかした顔してる。

 

 

~そして~

 

「申し訳ない!」

 

帰ってくるなり主将が頭を下げる。まぁ引いた山が引いた山だけにね……。

 

「キャプテンまさか……」

 

「強いところ引いたんですか?」

 

「これがトーナメント表だよ。うちはCブロックね」

 

芳乃さんがトーナメント表を渡すと武田さん、川崎さん、藤田さん、中村さん、雷轟が一斉に見る。

 

「初戦は影森高校……。聞いた事がないわね」

 

うちの1回戦は影森高校。データがないから、偵察に行く必要がありそうだ。

 

「で、そこに勝ったら……」

 

「梁幽館かよ!?」

 

「終わった……」

 

一昨年の県優勝校である梁幽館。うちの二遊間が絶望の表情をしているのと対照的に中村さんは嬉しそうにしている。強いところと当たると楽しみみたいだね。雷轟もなんか嬉しそうにしてるし。

 

「キャプテンは梁幽館に知り合いはいないんですか?」

 

「ガールズのチームメイトがいるけど、主力ではないだろうな」

 

主将と同じチームのメンバーがベンチ入りすら出来ないとなるとやはり梁幽館の壁は厚い……。

 

「珠姫ちゃんは?」

 

「……梁幽館の2番手の吉川和美さんとはバッテリーを組んでたよ。2年前のガールズ県優勝投手」

 

「今年の春大ではエースの中田さんとその吉川さんが交互に投げていたよね?」

 

「うん……」

 

中村さんと雷轟がさっきから凄く目を光らせている……。強者とやりたいタイプなのが伝わってくるよ。

 

「朱里ちゃんは?梁幽館に川越シニア出身の子はいるの?」

 

今度は私か……。

 

「……同期に梁幽館のリリーフである橘はづきがいるよ。左のサイドスローで、スクリューを決め球にしている」

 

「左のサイドスロー!大野さんと同じ……!」

 

「既に梁幽館の一軍で練習もしているし、練習試合にも登板してる。うちと当たる時に投げるかどうかはまだわからないけど、1回戦の宗陣高校戦でリリーフを努める可能性はあるだろうね」

 

宗陣高校はノーシードながらも全国経験のある強豪高校。1回戦で中田さんと橘が投げるなら、2回戦では山崎さんとガールズが一緒だった吉川さんが投げる事になるだろう。その時のリリーフは中田さんなのか、橘なのかはみぞ知る……って感じかな?

 

(あと梁幽館には高橋さんがいるんだけど、それは言わなくても影響なさそうかな?あの人は戦略マネージャーみたいだし、言うとしたら秋季大会以降になりそう……)

 

「影森のデータが全くないから、先に梁幽館と宗陣の春大の映像でも見とこっか」

 

「見る見る!」

 

「見たい見たい!」

 

この2人は元気だな……。

 

 

~そして~

 

映像を見た後に吉川さんの速球と斜めに落ちるスライダーの対策を練る事に……。

 

「速球にはマシンの最高設定で対策、そしてスライダーにはヨミちゃんの投球練習を兼ねた実践形式のフリーバッティング。必ず1打席につき1球はあの球を見せる事!」

 

この対決に中村さんと雷轟が嬉々として勝負を申し込んでいた。まずは雷轟から。

 

「ヨミちゃんとの勝負!ずっと楽しみにしてたんだよ!!」

 

「まぁなんだかんだでタイミング逃してたもんね」

 

入部してからこの雷轟と武田さんが1打席勝負をするのは実はこれが初めてなんだよね。それは雷轟が忘れていただけなんだけど……。

 

(練習だし気持ち良く打たせていこう……と思ったけど、これは私達の練習でもある。全力で打ち取りにいくよ!)

 

(わかった……!)

 

(遥ちゃんは例えるなら梁幽館の中田さん。長打力だけなら中田さんよりも上かも知れないから、慎重に攻めていこう!)

 

武田さんの初球はツーシーム。雷轟が立っている左に食い込んできた。

 

「ストライク!」

 

ちなみに審判は私。

 

(ふー……!)

 

(次はアウトコースに……!)

 

武田さんの2球目。アウトコースに……これはストレートかな?

 

(あの魔球なら、ここで落ちる……けど!)

 

「ストライク!」

 

(振らない!?あの球かどうかを見極めようとしていたのかな……)

 

雷轟の方は完全に武田さんの球を見極めようとしてるね。

 

(タマちゃんって後悔とかしてないのかな……?吉川さんの話をする時微妙な顔してたし、やっぱり強いチームでやりたくなったとかあるのかな……?)

 

(とか考えてるんだろうなあの態度は……。だから昔の事を話したくないんだよ)

 

なんか武田さんが山崎さんの方をちらちら見てる。どうしたのだろうか?

 

(あの球を1球は投げるルール……。当然狙われてるよ。コースフリー、余計な事を考えないで最高のキレできて!)

 

(うん!)

 

3球目。雷轟も2球目まではスイングしなかった。見極めて打つ気満々じゃん。

 

「1、2、のぉー……!」

 

雷轟の足が上がる。また一本足かな?

 

(足を上げた?でも今投げたのはあの球。朱里ちゃんの球がちらついてここからの変化に反応出来ない筈!)

 

「のぉー……!」

 

(更に溜めた!?)

 

(あっ、これヤバ……!)

 

「さんっ!」

 

雷轟がバットを振り抜いた瞬間、その当たりはフェンス直撃。つまりこの打席は雷轟の勝ちだ。

 

「やった~!」

 

「打たれちゃったか……。悔しい~!」

 

「ドンマイ。でも武田さんは雷轟に打たれる瞬間がわかったんじゃないかな?」

 

「うん……。実は遥ちゃんがバットを振ろうとした瞬間、『これは打たれた!』って思っちゃったんだよね」

 

「そういうのってあるんだね……」

 

「恐らくだけど中田さんもそのプレッシャーみたいなのを持っているかもだから、対面する時は充分に警戒する事」

 

「はーい……」

 

(あの手の長距離打者は雷轟が放つプレッシャーのようなものを必ず持っている筈……。事実川越リトルシニアでずっと4番を打っていたあの子も持っていたからね)

 

「遥ちゃん、もう1回お願い!」

 

武田さんの方は余り打たれた事を気にしていないみたい。これもエースとしての風格か。私もそこまで心臓強くないからなぁ……。

 

「うん!」

 

雷轟と武田さんとの対決は1勝1敗に終わった。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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