私達が柳大川越に勝った事でベスト4に入ったので、約束通り藤井先生が祝勝会がてら食事に連れてってくれるとの事。私としては県大会優勝までとっておいても良いと思うんだよね。
梁幽館に勝った時はそれぞれが希望を言っていたが、今回は柳大川越に勝てたのは柳大川越相手に無失点の武田さんと決勝点をあげた雷轟の意見を聞く。
武田さんは雷轟に任せると言い、そんな雷轟が言い出した店は……。
「ここが雷轟さんイチオシのお店ですね」
「何の店なんだ?」
「中華だよ!家族でよく食べに行くんだけど、とても美味しいよ!」
中華なんだ。だったら梁幽館戦後のお寿司発言は何だったんだろうか……?まぁ気にしても仕方ないので、雷轟がオススメするお店……珍眠軒に入店する。
「いらっしゃーい!おっ、遥ちゃん!」
「こんにちは!」
「今日は前に話してた野球部の人達と一緒かい?」
「はい!皆にここを紹介したくて来ちゃいました!」
「嬉しい事を言ってくれるねぇー!奥の座敷にどうぞ!13名ご案内ーっ!!」
雷轟が話しているのは店主さんだろうか?随分元気なおばちゃんだな……。
「今日は来てくれてありがとね!うちはそこまで人気の店って訳じゃないけど、味には自信があるからどんどん食べちゃって!」
店主さんがそう言って複数の料理が乗ったプレートを2つ出してくる。
「おばちゃんからのサービスだよ。たんとお食べ!」
「い、良いんですか……?」
「良いの良いの!これからも珍味軒を贔屓してくれるならこれくらいはね」
それは商売として良いのだろうか……?雷轟以外の皆も困惑してるし。
「おばちゃんは野球してる人間の味方だからね。自慢じゃないけど、色んな野球選手がうちのご飯を食べてくれるんだよ!」
色々な野球選手……?疑問に思って辺りを見るとプロ野球選手のサインやその選手とのツーショット写真が飾ってあった。
「す、凄い!有名なプロの人達のサインや写真が沢山……!」
それにいち早く反応したのは芳乃さんで、例の如くぴこぴこさせながら興奮しており、他の皆もそれに続く。
「こっちには福家選手、こっちは猪狩選手、あっちは……!」
「驚いたな……。まるで野球選手御用達のお店じゃないか」
「お嬢ちゃん達がこの店を広めて他校の野球部の子達も来てくれるようにしてくれよ!」
プロの人達はよく来るみたいだけど、野球部では私達が初めてらしい。まぁ店の外観が高校生が気軽に立ち寄れる雰囲気じゃないからね。値段自体は手頃価格だけど……。
「そうなると……優勝しないといけませんね」
「確かにそれくらいのインパクトを残せば『優勝校イチオシの店』みたいな売り文句でいけそうですね」
「それ良いね。採用!」
藤井先生の意見に私が言葉を付け足して、店主さんが採用した。本当にこれで良いのかな?冗談のつもりで言ったんだけど……。
その後も祝勝会は凄い盛り上がりを見せた。主に店主さんが大袈裟に話し、武田さん、川崎さん、雷轟がそれに便乗する形だったけど……。店主さんは仕事大丈夫?
それから1日が過ぎて、明日はいよいよ準決勝。今日は相手の咲桜についてミーティング。
「準決勝の相手は去年の県優勝校の咲桜高校だよ!」
「去年の優勝校か……」
「熊谷実業とは違った意味の打撃チームだね。準々決勝までの安打数は50本を越えてる」
「ご、50!?」
「そしてその中でも打っているのが1番の小関さん、3番の田辺さん、そして4番の友沢……。この3人だけで30本以上のヒットを叩き出しているよ」
「凄い打線だな……」
映像を見る限りでも友沢はシニアよりも数段成長しているのがわかる。この県大会で唯一サイクルヒットを出すくらいの実力もあるし……。
「主な得点パターンは1番の小関さんが出塁して、すぐ二盗、バント等の犠打でワンアウト三塁の状態を作って3番、4番が得点に繋げる。そこから後続に火が点いて打線爆発……という感じだよ!」
「……という事は1番の小関さんを絶対に出塁させる訳にはいかないな」
「向こうの打線はそれに気を付ければそこまで酷い結果にはならないと思うよ」
そして映像は咲桜の守備に切り替わる。
「次は咲桜の守備に注目してね」
「内野の守備だな」
映ったのはショートに飛んでくる強い打球。これは本来プロでも無理な打球だけど……。
「嘘っ!?あれを捕るの!?」
「送球も安定してる。捕ってからの無駄な動きが一切ない……」
「この人が朱里ちゃんと同じシニア出身の……」
「友沢亮子。走攻守の三拍子が揃った天才といっても良い選手だね」
天才は天才でも友沢は努力型で謂わば努力の天才というやつだ。
「県内最高遊撃手って言われている田辺さんからポジションを奪い取り、更に4番を打っている実力者だよ」
「本当に私達と同じ1年かよ……」
「友沢は今日行われた準々決勝でもサイクルヒットを出しているみたいだね。打球を広角に打ち分ける安定した打者だよ。守備も今見たらわかる通りプロに匹敵してるよ」
「守備で気を付けるのはセンターラインだよ!」
「セカンドの田辺さん、ショートの友沢さん、センターの小関さん……。この3人のところに飛ばすとヒットはないと考えた方が良さそうだな」
「逆にそれ以外のコースに打てればヒットの可能性は上がるって事だよね?」
「咲桜はこの1年で守備のレベルがかなり上がっているから、それでもヒットを打つのは至難の技と考えましょう!」
咲桜戦での課題や注意点をそれぞれで話し合い、ミーティングは終了した。
「こんなものかな?あとは明日の試合に臨むだけだね!」
「あの咲桜と戦うとなると緊張がヤバイな……」
「梁幽館にも勝ったんだ。自信を持っていこう!」
『おおっ!』
主将の掛け声で私達は気合いを入れる。これで明日の準決勝に……とその前に。
「ちょっと良いですか?」
「どうした朱里?」
「念の為に話しておきたい事が……」
友沢の事だ。もしかしたら私達相手には……。
遥「次回は準決勝、咲桜戦だね!」
朱里「咲桜がどのような野球をするか……。わかっているのは安打数が他の高校に比べて多い事と、センターラインの守備が群を抜いて高い事……」
遥「バックスクリーンに飛ばせば関係ないよね!」
朱里「……こういう時雷轟は頼もしいよ」
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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