最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

1080 / 1797
県大会決勝戦!新越谷高校VS美園学院②

1回表は三者凡退で終わり、新越谷は守りに着く。

 

「よーし!今日も頑張るぞ~!」

 

先発の武田さんはとても張り切っている。凡退続きの嫌なムードを一変させてくれるので、ありがたい。

 

『1番 セカンド 三森朝海さん』

 

(いきなり三森3姉妹と対決か……)

 

確かシニアでは3人はクリーンアップを打っていた。春日部シニア自体はそこまで打撃力があるチームではないが、3人が打ってチームが勝利した試合が殆んどだ。

 

(3姉妹の特徴としては足がかなり速い事、塁に出たら盗塁する確率は9割以上である事……。塁に出すのは危険だよ武田さん)

 

武田さんの1球目はストレート。内角低めの良いコースだけど……。

 

 

カンッ!

 

 

三森朝海は初球から打ちにいった。

 

『ファール!』

 

(三森朝海は主にボールをカットしにいって四球を狙うケースが多い。それと粘りに対して痺れを切らした投手が甘く入ったところを長打……というのが彼女のやり方だ)

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

(今のコースもカットするか……。朱里ちゃんの情報通りだね。三森朝海さんとの勝負は少ない球数で終わらせた方が良いって言ってたし、あの球いくよ!)

 

(うん!)

 

2球続けて打たれた後に武田さんが投げたのはあの魔球。三森朝海はカットしきれず三振となった。

 

(よし!私も朱里ちゃんには負けないぞ~!)

 

なんか武田さんが私の方を見てる。なんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朝海姉さんが三振なんて珍しいね」

 

「っていうか早川朱里相手以外に三振したのって初めてでは?」

 

「……あの投手は油断出来ないわ。夕香、夜子、武田さんは早川朱里と同等の実力と判断するべきよ」

 

「朝海姉さんがそこまで言う程なんだね……」

 

「よっし!じゃあこの夕香さんがそんな武田詠深の実力を見ようじゃない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『2番 ショート 三森夕香さん』

 

(2人目。髪型以外は本当に同じ顔なんだ……)

 

(朝海姉さんを三振に取った球、私が打ってやる!)

 

三森夕香は3姉妹の中で1番パワーがある。うっかり失投してしまうとホームラン……なんて事になりかねないから、慎重に投げてほしいところだ。

 

(ヨミちゃん、初球はあの球で)

 

(了解!)

 

武田さんは初球からあの球を外角低めに投げる。このコースは友沢がカーブとスクリューを投げる時に必ず投げているところだ。

 

(げっ!?思ったよりも曲がりが大きい!)

 

 

カッ……!

 

 

初球から打ちにいった三森夕香をキャッチャーフライ。ゴロだったら内野安打になってた可能性が高いだろうから、助かった……。

 

『3番 センター 三森夜子さん』

 

(まさか朝海姉さんと夕香姉さんが打ち取られるとはね……。こんな勝負はシニア時代に早川朱里率いる川越シニアを相手にした時以来だよ……)

 

(3人目……。朱里ちゃんは2球目までは見逃す事が多いって言ってたけど、甘いコースは禁物。内角低めのツーシームとストレートでカウントを取りにいくよ!)

 

三森夜子は最初の2球は見逃す事が多い。これは野球のルールを利用した良い戦術だと私は思っていて、清本もこの戦術を好んで使っている。

 

『ストライク!』

 

1球目に投げた球がストレートなら、その球速で相手投手の平均球速を予測して……。

 

『ストライク!』

 

2球目に投げたのが変化球なら、ストレートとの速度差を頭の中で計算して、自身がどのように打つかをイメージする……。

 

(まぁそのやり方を見逃しではなくカットという形で実現させているのが三森朝海のバッティングスタイルな訳だけど。そう考えると三森朝海は3姉妹の中でもその技術が頭1つ抜けているな……)

 

そして武田さんが投げる3球目。三森朝海の時はあの魔球で三振に取った。その事が脳裏に浮かんだのなら、3球目にはあの魔球がちらつくだろう。

 

(遅い……?じゃあ朝海姉さんと夕香姉さんに投げたあのカーブみたいな球?)

 

あの魔球は球速が遅い為に普通の球よりも予測がしやすい。武田さんのストレートも速くなってきたから、あの魔球が遅く感じる……というのが決勝前に私が見た武田さんのあの魔球に対する印象だ。

 

そしてあの魔球と同速の球が武田さんの中でもう1つ……。

 

(えっ、嘘っ!?変化しない!?)

 

あの魔球の変化量は多いから、曲がり始めが早い。その変化を見極めようとして刺さるのが私が武田さんに教えた偽ストレートだ。

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

三森夜子は急な偽ストレートに対応出来ずに見逃し三振となった。

 

(偽ストレートは相手打者を騙し討ちするのにもってこいだね。それに偽ストレートの特徴はもう1つある。あの3姉妹……もとい美園学院の打線はそれに気付くかな?)

 

初回はそれぞれ三者凡退で終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか夜子まで三振とはね……」

 

「ストレートだってわかっていれば打てるんだけどなぁ……」

 

「……2人は気付かなかったのかしら?」

 

「朝海姉さん?」

 

「夜子に投げた最後の球……。あの球は恐らく早川朱里が私達によく投げていたストレートよ」

 

「あのストレート……。シニア時代は全然対策出来なかった」

 

「そういえば武田さんがエースナンバーを着けてた!」

 

「あの早川朱里を上回っている……とは考えにくいと思うけど?」

 

「早川朱里はストレート主体に対して武田さんは多分あのカーブみたいな球を主体として投げている……。2人のピッチングスタイルは真逆よ」

 

「じゃあWエースって事か……」

 

「……何にせよ私達は先輩達の夏を賭けて戦っている身。全力で迎え撃つわよ」

 

「準決勝に出られなかった分も暴れるよ~!」

 

「全国は目の前……だもんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初回はお互い三者凡退か……。春に全国を経験している美園学院に対して良い勝負をしているな」

 

「武田さんの方も調子は良さそうですね」

 

「な、なんだあの魔球は!?インチキだインチキ!」

 

「大豪月さん、あれは多分ナックルスライダーですよ~。ちゃんとした変化球ですって~」

 

「それよりもヨミって朱里がよく投げてたストレートを完全に物にしたんだね。いつの間に……」

 

「準々決勝で初めて投げる場面を目撃しましたが、いつでも投げられる代物になっています」

 

「武田さんも成長速度が凄まじいね。まるで朱里ちゃんを見ているみたい……」

 

「そんな2人が新越谷のWエースを担っている……と考えると私達にとってかなり脅威的な相手になりますね」

 

「私達との対戦が楽しみだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美園学院相手に三者凡退!素晴らしい流れだよ~!」

 

「ヨミちゃんの球もキレてるし、いけるかも知れないね」

 

福澤さんや園川さんもいるから、まだ安心しきるのは早いけど、美園学院の安打数の内7割は三森3姉妹が打っているもの。

 

そんな3人を1度も塁に出さなければ、0失点も現実的になるかも知れない。だけど逆にあの3姉妹の誰かが塁に出ると得点率はほぼ100%……。あと2回は回ってくるから、どうにかして対策を練る必要があるね。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

  • 見たい
  • 見たくない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。