「勝った……の?」
「そう……なのかな?」
武田さんと山崎さんのバッテリー組は勝った事に着いていけてなくて、互いに確認し合っていた。
「……私達は勝ったんだよ」
私は何もしてないけどね。息吹さんとキャッチボールしただけ!
「朱里ちゃん……」
「まぁ勝利を喜ぶ前にとりあえず整列と挨拶を済ませようか」
「う、うん……」
バッテリーを落ち着かせて私達は整列する。
『ありがとうございました!!』
整列と挨拶を終わらせて球場の外へ……。
「勝ったんだよな。私達……」
「そうね……。勝てたのよ」
外に出ると全員が改めて勝利の確認をしていて、勝った事がわかると皆はそれぞれペアで抱き合っていた。
雷轟は武田さんと、川崎さんは藤田さんと、芳乃さんは中村さんと、息吹さんは大村さんと、主将は藤原先輩と、私には山崎さんが泣きながら抱き付いてきた。藤井先生もうっすらと涙を浮かべている。
(やれやれ……。まだ戦いは新たなスタートを迎えただけに過ぎないのに、皆泣いちゃって……)
かくいう私も皆の涙に少しもらい泣き。だってこれで3年間は新越谷で野球が出来るんだもの!
~そして~
学校に戻った後は体をゆっくりと休めるようにと解散になった。まぁ私は決勝戦では何もしてないから、藤井先生に許可をもらって居残り練習するけどね。
(今日の試合は皆要所で活躍していた……。主将と藤原先輩は打つべき時に打って、川崎さんも意表を突いたプッシュバントで2点取って、中村さんと山崎さんも三森3姉妹の守備範囲の逆を上手く打って、武田さんは決勝点となるホームランを打った……。雷轟もずっと歩かされたけど、塁に出る事でチャンスが生まれるから、あれはあれで良い。勿論大村さんと藤田さんも相手の守備を翻弄させるプレーをしてたしね。それ等も全部芳乃さんや藤井先生の采配があったからこそだ)
そう考えると私って何か役に立ってたのかな……?いや、考えても仕方ない。今日は投げ込み中心で余計な考えは払っておこう。
「あれ?朱里ちゃん……?」
「皆はもう帰ったわよ?」
声を掛けられたので、声のする方向を見ると山崎さんと息吹さんが練習着に着替えていた。
「私はちょっと練習をね。2人も?」
「ええ。私は今日出番なかったから、体力が余っているのよね。それで自主練を……」
「私はその付き添いだよ」
成程、息吹さんが投手の練習も出来るように山崎さんが付き添ってくれてるのか……。
「じゃあ3人で練習しようか。私も丁度全国大会に向けて新しい球種を覚えたいと思ってたところだしね」
「それなら息吹ちゃんと交互に練習する?」
「それ良いわね。私も朱里に教えてもらったシンカーをもっと変化させてみたいって思ってたし」
という2人の提案に乗ってまずは息吹さんの練習をする事に。
「じゃあ投げてみて!」
「わかったわ」
息吹さんがシンカーを投げる。
「おお……。影森戦で見た時よりも変化が大きくなってるね」
「練習したもの。芳乃にも時々見てもらって……」
「うん、これなら決め球として仕上がりそう」
そういえば息吹さんはコピーピッチングを得意としていたね。それなら……!
「息吹さんは3回戦では武田さんのコピーもやっていたね。それならあの魔球を模した球をマスターすればシンカーと上手く混ぜて打者を困惑させられるかもね」
具体的には友沢みたいなタイプの投手になりそう……。
「ヨミのあの球ね……。やってみるわ」
続けて息吹さんがコピーピッチング……命名複製投法で武田さんのあの魔球を投げる。武田さんと比べて遅いものの、しっかりと変化している。
(これは良い武器になりそうだね……!)
その後もシンカーとあの魔球を交互に20球程投げて、少し休憩に。
「次は朱里ちゃん!」
「OK」
私は山崎さんのミット目掛けて1球投げる。
「わっ!」
おっ、上手く落ちたね。握りとかは前々から研究してたけど、実際に投げるのは初めてだったからちゃんとミットまで届くか不安だったんだよね。
「い、今の球は……?」
「フォークボールだよ。とはいってもまだ未完成なんだけどね……」
「これで未完成なの?結構落ちたけど……」
「今の1球は偶然上手くコントロール出来たに過ぎないからね。全国までにきちんとコントロールさせて、なおかつ変化量も上げておきたい。最低でも準決勝で見せたSFFと同等のキレが付くまで実戦では投げないよ」
「こ、これよりも凄くなるのね……」
「真の変化球はボール球を上手く振らせる事によって初めて一級品になるからね。今のままだとバッセンの球が良いところだよ」
「な、成程。勉強になるわ……」
「さぁ、続けようか」
それからも私達は投球練習を続けた。混ぜて山崎さんもいるので、息吹さんのバッテリー練習も兼ねて……。
(息吹さんも順調に投手として育ってきているね……。後日に藤原先輩にも何か変化球を教えるべきだろうか?)
息吹さんと山崎さんのバッテリー練習を眺めながら私はそう思った。
全国大会まであと2週間……。その間に私達は出来る事をやっておこう。
遥「県大会終了!」
朱里「2週間の幕間を挟んで全国大会だよ」
遥「私達はどこまで勝ち進めるかなぁ?」
朱里「折角だから何勝かはしたいよね」
遥「何勝とか言わずに全国でも優勝しようよ!」
朱里「まぁ出来るならそれに越した事はないか……」
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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