「母さん……。六道さんと今でも面識あるの?」
20年前に2人がバッテリーを組んでたって話は聞いた事があるけど……。
「茜ちゃんは私の飲み仲間だよ!」
「貴女が勝手に絡んでくるのよ……。とりあえず何人しか私達の事を知らないみたいだし、自己紹介でもしたらどうかしら?」
「そうだったね!」
六道さんはこっちに向き直り自己紹介を始めた。
「私は六道響だよ!川越シニアで監督をやってるんだ。よろしくね!」
「早川茜よ。朱里の母に当たるわ。よろしく」
「あ、朱里ちゃんの……」
『お母さん!?』
『お義母さん!?』
な、何人かお母さんの意味が違って聞こえるのは私の耳が可笑しくなったと考えた方が良いのかな……?
「ちょっと待って……。六道響さんと早川茜さんって……まさか20年前に世界一の高校生バッテリーって呼ばれたあの!?」
2人の名前にいち早く反応したのは芳乃さんだった。名前を聞いた事がある人達だから、川越シニアにいた人以外は皆騒然としていた。今試合中なんですけど?
まぁこの2人はかなり有名人だったらしいからね。私も最近知ったけど。
「なんか久々に聞いたね。その通り名」
「貴女はシニアで監督をやっているけれど、私なんてもうただの主婦よ?」
「いやいや、茜ちゃんも腕は衰えてないじゃん。この前の草野球擬きでも投手として活躍してたよね?」
「あんな機会も2度とないでしょうね。それにまだ私も最低限の事は出来るわ。だって朱里に投球の技術を教えているもの」
あの……?だから今は試合中ですよ?何をヒートアップしてるんですか?
「朱里があんなに凄い投球をするのは最強投手と呼ばれた母親からだったとはな……」
「道理で朱里が鋭い投球をする訳だね……」
「流石朱里せんぱいです!」
私が母親に投球の技術を教わっている事は二宮と清本以外は知らなかったので、川越シニア出身の3人も驚いていた。
「今は試合中なのだし、私達は連合チームの責任者として合流するわよ」
「まぁ指示出しは瑞希ちゃんだけでもでいけると思うし、私達はベンチから観戦だね!」
「じゃあ二宮達の監督って……」
「私達よ。響が言っていたように私達はただ貴女達の試合を観るだけになると思うわ。責任者……という立場上連合チームの監督になるだけ」
これは本当に凄いチームになったな……。川越シニアの監督をやっている六道さんとそんな六道さんと20年前にバッテリーを組んでた母さん。
六道さんは言うまでもなく優れた指導者だし、母さんも私が物心ついた頃から父さんと一緒に野球を教えてもらった……。
私の転校騒動で両親と揉めた時期もあるけど、それを乗り越えた今では普通に仲の良い親子だと思いたい。
3回表の打順は私からか……。
(母さんと六道さんが見てるからな……。普段よりも緊張がヤバいな)
「あら、朱里の打順からなのね」
「朱里ちゃんは他のシニアだったらクリーンアップでも通用する程のバッティングセンスの持ち主だからね。はづきちゃんの球もどこまで成長してるか楽しみだなぁ」
な、なんか六道さんからプレッシャーが……!?
(それよりも打席に集中しないとね……!)
(朱里せんぱいとの対決……。大会ではビハインドの最終回でそんな余裕はなかったけど、今はリードしてる。楽しませてもらいます!)
橘の1球目はストレート。変化球じゃないなら余裕で打てる!
カンッ!
(しまった。初球打ち!?)
『ファール!』
(初球で決めたかった……。ヒットに出来なかったのが痛すぎる)
(ファールで助かりました。朱里さんにストレートは通用しませんね……)
(それならスクリューで!)
2球目に投げたのはスクリュー。変化量からしてスライダーやカーブと同等の真ん中のスクリューだね。
カンッ!
『ファール!』
(危ない危ない。空振りするかと思ったよ……)
「良いぞ朱里!」
「当たる!当たるよーっ!」
ただでさえ今負けてるんだ……!意地でも打たせてもらう!
カキーン!
「やった!外野抜けた!」
「回れ回れ!」
打球はライトオーバーになったので、私は一塁を回る。
(って流石中田さんの肩強いな。間に合うか……?)
『セーフ!』
ギリギリツーベースになった……。これで一打同点だ。あとは武田さん達に任せよう。
「次はヨミだな」
「ヨミちゃーん!決勝戦のようなホームランを期待してるよー!」
(とか言いつつも……!)
(送りバントだね。了解!)
(この局面は十中八九送りバントでしょう……。発言からしてヒッティングの可能性もありますが、読み負けた時のリスクが大きいので無理は出来ませんね。ここは素直にワンアウトを貰いましょうか)
コンッ。
武田さんがバントを成功させてワンアウト三塁。次は中村さんだ。
「一打同点だ!」
「いけーっ!希ちゃん!」
(1打席目の借りは返す……!)
(上位打線は危険ですが、歩かせる訳にもいきませんね……)
「内野、外野は前進してください!」
ランナーが三塁にいるので、相手は前進守備をし始めた。まぁセオリー通りだけど……。
「セオリー通りのシフトね」
「連合チームの実力を考えると頭を抜かれても長打にならなさそうだね。逆を突かれても大きな被害は出ないって瑞希ちゃんは考えたみたい……」
この状況だと一塁線に打てればチャンスが広がると思うけど……。
(狙いは一塁線……。朱里ちゃんを返す!)
カキーン!
「レフト!」
(アタシか~。届くかな……?)
レフトである金原は後方に飛んだボールに飛び込んだ。その結果は……。
『アウト!』
「ふー、なんとか間に合った……」
嘘!?捕られた!?私は既にホーム近くまで来てるから……。
『アウト!チェンジ!!』
三塁まで戻れず刺されてしまう……。
(ヤバいな……。この回で同点に出来なかったのはきついかも)
向こうのベンチでは神童さんと大豪月さんが肩を作る為にキャッチボールをしていた。つまり次のイニング辺りからどちらかが投げるという事……。
(次の回は2番から……。幸い雷轟には回ってくるし、そこに期待は持てるけど……)
是非とも藤田さんか山崎さんが塁に出てチャンスを作ってほしいところだ。
遥「同点に出来なかった……」
朱里「次の回にまた雷轟に回ってくるから、それに期待だね」
遥「向こうは投手を代えてくるよね?」
朱里「そうだね。大豪月さんか神童さんか……」
遥「どっちが来ても打つ!!」
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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