いよいよ埼玉県を離れて全国大会の舞台である西宮に出発する事に。私のイップスは未だ克服が出来ておらず、今でも山崎さんと練習を繰り返している。
「さて、いよいよ全国へと足を踏み入れます。心していきましょう」
藤井先生の一言に全体から緊張の空気が伝わる。勿論私も……!
「な、なんかワクワクしてきた!」
「そうだね。全国で私達がどこまで通用するか楽しみだよ!」
「私も私も!神童さんに抑えられた借りを返さないとね……!」
「それ言ったら遥以外は大豪月さんにも抑えられているからな。私達だって大豪月さんを打ちたいものだ」
「そうね。私と息吹ちゃんも投手として起用してくれるみたいだから、投げる事になったら頑張らないとね……!」
「き、緊張する……!」
それぞれが違う反応を見せる。願わくば全国優勝までいって新越谷に対する悪評を取り払いたいものだ。県大会を制しても不祥事の件は上級生には良く思われていないみたいだしね。
「じゃあ行こう!全国の舞台……西宮へ!!」
『おおっ!!』
芳乃さんの掛け声に返答して、いよいよ新幹線に乗り込む。
「あっ、忘れ物した!」
雷轟の一言で皆がガクッと崩れた。締まらないなぁ……。
~そして~
長い移動の末に私達は西宮に到着した。
「こ、ここで試合をするのか……?」
「すぐ隣にも球場があるわね……」
毎年西宮で行われている全国大会は2つの球場で左の球場が男子、右の球場が女子の大会が進行されている。
「隣の球場では男子の全国大会が同時進行で行われるよ。互いに試合のない日はそれぞれの球場に足を運んでプレーの参考にしているらしいね」
他にもこの2つの球場が名物となって毎年夏に観光する客がいるという話を母さんに聞いた事がある。
「開会式までまだ時間があるみたいですし、荷物を置いたら自由時間にしましょうか」
藤井先生がそう言うと私達は荷物を置いて、それぞれ近辺に観光へと足を運んだ。
「開会式の開始は12時ですので、時間厳守でお願いします」
時間まであと1時間ちょっとあるな……。それなら私はイップス克服の為に外で投げ込もうかな?
「あっ、朱里ちゃん。私も付き合うよ」
どこで投げ込もうか考えていると山崎さんが投げ込みに付き合ってくれる事になった。
「武田さんはどうしたの?」
「ヨミちゃんは遥ちゃん達とご飯を食べに行ったよ。私も誘われたんだけど、朱里ちゃんが心配だったから……」
この子滅茶苦茶良い子だね……。武田さんや吉川さんが懐くのもわかる気がする。
「じゃあお言葉に甘えようかな?」
手頃な場所を見付けて、まずはキャッチボールから始める。
「まさか私達が全国に行けるなんてね……」
「良い感じに皆の実力が底上げ出来たのが大きいだろうね。特に武田さんがその中でも群を抜いている……」
「確かにヨミちゃんと遥ちゃんの成長速度は凄まじいね」
「武田さんはまだまだ伸びるよ。武田さんを中心に息吹さんや藤原先輩も投手として大きく成長している。精神面なら藤原先輩が1番成長してるんじゃないかな?流石上級生……って感じ」
キャッチボールをしながらポツポツと会話を続ける。
「雷轟も強敵と出会う度に打撃面が伸びてるね。まぁ守備の方は課題が多いけど……」
「でもこの2週間で遥ちゃんも監督のノックに食らい付いていたよ」
「あとは本番でミスをしない事を祈るばかりだ……」
肩が暖まったので、山崎さんがしゃがんでミットを構える。
「いくよ珠姫……!」
「こい!!」
それからも時間ギリギリまで投げ込みをした。その際にミットに収まったボールの数は0である。本当にイップスが克服出来るか不安になってきた……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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