「それじゃあミーティングを開始するよ!」
芳乃さんが合図を出してミーティング開始。芳乃さん、藤井先生、そして私が前に出て、あとの皆が後ろで話を聞く態勢に。
「全国大会初戦の相手は石川県代表の鉄砂高校!」
「先程も言ったように鉄砂高校は守備型のチームだね。守備力は全国でもトップクラス」
「トップクラス……!」
「幸い打力は4番以外そこまでないから、痛打されるような事はないかもね」
雷轟がエラーして、そこから連続で狙い打ちされない限りは……だけど。
「鉄砂高校の映像もあるから見てみようか」
タブレットを開いて鉄砂高校が昨年の夏大会での試合風景を皆に見せる。
「守備に隙がないわね……」
「ああ……。二遊間は勿論、外野もファーストとサードも守備範囲が広い」
「そして極めつけはエースの佐藤投手だよ」
「投げる球に注目!」
「こ、これは……!」
鉄砂高校の佐藤投手が投げてきたのは……。
「す、凄く遅い球ですね……」
「俗に言う超スローボールってやつだね。昨今は速球派の投手が増えているから、このスローボールはタイミングが取り辛い……。加えて球質も重いものだから、この映像のようにゴロが多い」
「私この人の球は苦手かも……」
「ストレート打ちを得意とする雷轟は打つのに苦労しそうかもね。なんせこの佐藤投手の球速は小学生並かそれよりも遅い。それでいて変化球も遅い球と組み合わせやすい遅いカーブとパームボールを散らして投げる……。ここで期待出来るのはミート力が高い中村さん、山崎さん、主将の3人が佐藤投手攻略の鍵になるかも知れません」
「落ち着いてミートすれば捉えられない球ではない……という事か」
「はい。初戦は打つタイミングとミートが重要となるでしょう。それに合わせて打順も考えていきます」
「それはわかったけど、先発投手はどうするんだ?」
「初戦は息吹さんと藤原先輩の継投でいこうと思います」
「えーっ!私が先発じゃないの!?」
先発の発表に武田さんが抗議する。
「全国大会は投球制限があるから、武田さんばかりが投げる……という訳にもいかないんだ。それに息吹さんと藤原先輩が全国相手にどこまで通用するかも見てみたいしね」
「が、頑張るわ……!」
「緊張するけど、それ以上にワクワクするわ」
息吹さんも藤原先輩もやる気は充分みたいだ。とはいえ本格的な投手があと1人はほしい。私のイップスがいつ治るかもわからない以上は息吹さんを投手一本にするか……。それでもうちは人数が少ないし、難しいところだね。
(まぁ人数の問題はこの大会が終わった後にでも考えるとしよう)
「でもどっちが先発するの?」
「その辺りは芳乃さんと藤井先生と相談するよ。詳しい事は試合当日に発表……って形になるかな」
「それでは夜も遅いので、休みましょうか」
「ゆっくり休んでいってね!」
『はーい!!』
芳乃さんと藤井先生以外の皆が部屋に戻っていくのを確認して私は……。
「先生、芳乃さん、ちょっと話が……」
「?」
「どうしたの朱里ちゃん?」
2人に私の今の状態を話す。
「成程、イップスですか……」
「迷惑かけてすみません」
「そんな……。一体いつから?」
「連合チームと練習試合をした日からだね。正確に言えば神童さんにホームランを打たれた時……」
「それを言わなかったのは早川さんなりの理由があるんですよね?」
「はい。全国大会も近かったので、皆には自分の練習に専念してほしかったからです。大会に間に合うのなら言う必要もないと思い、ギリギリまで黙っていました」
「ほ、他にそれを知っているのは……?」
「山崎さんだけかな。捕手である山崎さんには相談しておきたかった……という理由で事前に話してあるよ」
尤も山崎さんと2人の時は名前で呼ぶ約束をしちゃった訳だけど……。
「……とにかく早くイップスが治ると良いですね」
「幸い外野からの返球や送球は問題なく出来るので、外野としてなら私も出れそうです。あとは投手陣の軽い指導くらいなら出来るかと……」
「そっか……。それを考慮してオーダーを決めないといけないね」
「そうですね。鉄砂高校相手には藤原さんか息吹さんを先発にするという話ですが……」
「それなら私は……」
こうして夜がふけるまでオーダーの話し合いは続いた……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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