最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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全国大会1回戦!新越谷高校VS鉄砂高校③

試合は進んで4回。雷轟のホームラン以降は互いに譲らず無失点で切り抜けている。

 

(しかし息吹さんは思った以上に頑張ってくれてる。あと1イニング投げさせたら藤原先輩に交代……というプランでいけそうだね)

 

そして佐藤投手の攻略も中々難しく、要所で重い球や超スローボールを織り混ぜてタイミングを狂わせてくる。ミーティングで話した通りなのに、対策を実行するのは簡単ではない。

 

『鉄砂高校!ランナー出ましたが、還す事が出来ずにスリーアウト!川口息吹、味方の1点リードを守ります!!』

 

向こうの攻撃はなんとか無得点で終わった。ランナーが二塁にいたからちょっと危なかったけど、皆の守備力が上がってきているお陰でここまできているのだ。勿論息吹さんの投手力も上がっている。

 

4回裏の私達の攻撃は5番の山崎さんからだ。

 

「タマちゃん、かっ飛ばせーっ!」

 

「打てるぞーっ!」

 

打者一巡してるからか、佐藤投手の球にうまく当てられるようになってきている。あとはあの堅い守備力を突破出来るか……なんだよね。

 

(……私は朱里ちゃんが転校するかも知れない話を聞いてから上手く打てていない。県大会で優勝出来たのはヨミちゃんや朱里ちゃんや遥ちゃんを中心とした皆のお陰……なのに、私自身はその影に埋もれてしまっている)

 

山崎さんが打席に立つ時になんか俯いていたような……。体調が悪いとかじゃないよね?

 

(朱里ちゃんが私に弱さを見せてくれた時は私が朱里ちゃんの力になれる事を喜んでいた……。私が朱里ちゃんの為に県大会で出来なかった事を……!)

 

佐藤投手は初球にパームボールを投げる。コースは低めギリギリなんだけど……。

 

(この全国大会で、私のバッティングで新越谷を助ける!!)

 

 

カキーン!

 

 

「打った!」

 

「外野の頭を抜けたぞ!」

 

「長打コースだ!!」

 

山崎さんの打った打球はセンターオーバーとなって、前進守備をしていた為に長打となる。これは三塁まで行けるんじゃ……?

 

『山崎選手!二塁を蹴ったーっ!!』

 

「はぁっ……!はぁっ……!」

 

センターから鋭い送球が飛んできた。三塁はギリギリかも知れない。それでも山崎さんは三塁ベースまで全力で走っている。そしてクロスプレー。判定は……。

 

『セーフ!』

 

「やったーっ!」

 

「ノーアウト三塁!」

 

「追加点のチャンスね!」

 

我等が新越谷ベンチは山崎さんのスリーベースに喜んでいた。私は三塁コーチャーなので、三塁まで走ってきた山崎さんと……。

 

「ナイスラン」

 

「朱里ちゃん……!」

 

 

パンッ!!

 

 

ハイタッチを交わした。私自身こういう事はやらないタイプの人間だと思っていたけど、こんな熱い展開を目の当たりにしたら私も熱くなるってものだよ。

 

(そう考えると私も新越谷に入って変わったな……)

 

続いて6番の藤原先輩。パワーなら雷轟の次にあるんじゃないかと私は思っている。だからひょっとしたら……!

 

(球の見極め方は朱里ちゃんに、タイミングの取り方は遥ちゃんに聞いた……。あとは佐藤さんの球を打てるか……!)

 

藤原先輩に対して佐藤投手は超スローボールを投げてきた。

 

(超スローボール。この球を打つには頭の中で遥ちゃんに教えてもらったリズム打ち……のーのー打法を試すチャンス!それを私なりに改良して……!)

 

藤原先輩は目を瞑っていた。なんでだろう……?

 

(今!!)

 

 

カキーン!!

 

 

藤原先輩が目を見開き、その瞬間バットで超スローボールを捉えたその打球は……。

 

『ホームラン!』

 

スタンドへと運ばれていった。まさか本当に藤原先輩がホームランを打つとは……。本当に雷轟の次にパワーあるんじゃない?

 

『な、なんと藤原選手によるツーランホームランです!』

 

『佐藤選手の超スローボールにタイミングを合わせて打った良いホームランでした』

 

でもこれで3点目。これで勝ちに大きく近付いた……!

 

「ナイスバッチ理沙!」

 

「ええ!」

 

主将と藤原先輩が仲良さそうにハイタッチしていた。三塁コーチャーである私はそれを眺めて少し微笑ましく思っている。

 

その後ヒットは出るけど、追加点には至らなかった。やっぱりまだ詰めきれてないね。

 

 

~そして~

 

試合は7回まで進んで3対0のまま。息吹さんが奮闘して鉄砂高校を上手く抑えている。息吹さんがここまで無失点で抑えているのが凄すぎる……。このまま完投させたいのは山々なんだけど……。

 

「お疲れ息吹さん」

 

「……私ももっと体力を付けないといけないわね」

 

スタミナの限界がきて息吹さんはベンチに下がり、藤原先輩が登板。藤原先輩がいたサードには武田さんが入っている。

 

「でも6イニング投げるのなんて初めてでしょ?」

 

「珠姫のリードのお陰かも知れないわ」

 

「優れた捕手と組んだ投手は本来よりも調子良く投げられる……って話を母さんから聞いた事がある。多分その推測は間違っていないよ」

 

実際母さんも六道さんと組んだ時は調子良く投げられていたって言ってたし、私も山崎さんや二宮と組んだ時は1人で投げ込むよりも球数多く投げられる気がしてたから、その辺りも正しいんだと思う。

 

「それよりも今は藤原先輩のピッチングを見ようか」

 

「理沙先輩にも朱里がピッチングを教えてるんだっけ?」

 

「教えてる……って言うよりは藤原先輩のピッチングスタイルと得意とする球種を元にちょっとしたコツを言っただけだよ」

 

そんな藤原先輩の1球目……!

 

(こ、これは……!)

 

 

ズバンッ!!

 

 

『す、ストライク!』

 

審判も、球を捕った山崎さんも、勿論相手打者も藤原先輩の投げた球に驚いていた。恐らく私と練習を見ていた主将以外の全員……つまり新越谷の皆もさぞ驚いているだろうね。そして……。

 

『ゲームセット!』

 

私達新越谷高校が鉄砂高校に勝利した瞬間だった。




遥「1回戦突破!」

朱里「幸先良く勝つ事が出来たね」

遥「理沙先輩、大活躍だったね。打ってはホームランで2打点と抑えで投げてはパーフェクトリリーフ……」

朱里「完璧に鉄砂の打線を抑えたね」

遥「理沙先輩は何を投げたんだろ……?」

朱里「それは次回に説明するよ」

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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