最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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全国大会準々決勝!新越谷高校VS洛山高校④

試合は進んで5回。洛山側は武田さんの仕掛けるジャンケンに勝っては負けの繰り返し、私達も負けじと黛さんの球を打ち続ける。

 

念の為に言うと武田さんも黛さんも別に調子悪い訳じゃないからね?洛山の打線と守備が良い意味でも悪い意味でも可笑しいだけだからね?

 

(しかしうちの打線も死んでない。皆上手い具合に打っている。雷轟に至っては今日全打席ホームラン打ってるし……)

 

互いに譲らず(ノーガードでの打ち合い)の展開で13対11で私達が2点リードしているけど……。

 

(こんなに打たれて武田さんも黛さんも全く動揺してないのが可笑しいんだよね……)

 

武田さんはこの試合を楽しんでいる節があるし、黛さんは顔色1つ変えないポーカーフェイスだ。

 

「大豪月さ~ん」

 

「……フム、そろそろ良かろう!」

 

非道さんと大豪月さんの一言で洛山の守備で相手の守備が変わる。

 

(いよいよか……)

 

『洛山高校、シートの変更をお知らせします。ピッチャーの黛さんがレフト、レフトの大豪月さんがピッチャーに入ります』

 

案の定大豪月さんの登板。その瞬間に歓声が球場中に鳴り響く。

 

『凄い歓声です!大豪月選手がマウンドに上がった瞬間球場に鳴り響きました!』

 

『大豪月選手は全国でも知名度がトップクラスの選手です。今日の試合でも大豪月選手のピッチングを見に来た……という観客は多いでしょう』

 

打順は6番から……。少しでも大豪月さんのストレートに慣れれば打てるチャンスはある。

 

「いくぞ新越谷!更に強化された私のピッチングを!」

 

大豪月さんは構えると思い切り体を捻った。トルネード投法か……。

 

「な、何あれ!?滅茶苦茶体を捻ってる!」

 

「あれはトルネード投法って呼ばれるフォームだね」

 

「トルネード?」

 

「体を捻らせてその勢いでボールを投げる投法です。まさか生で本物のトルネードを、しかも高校生が投げるのを見られるとは思いませんでした」

 

藤井先生が言うようにトルネードは高校生で投げるのは大豪月さんだけ。去年までなら宮永プロがトルネード投法だった。プロでもトルネードはそう多くないしね。

 

『ストライク!』

 

(マジかよ……。練習試合で投げた時よりも更に速くなってやがる!)

 

先頭の川崎さんは三振に倒れてしまう。

 

『7番 ライト 早川さん』

 

(私の打席か……)

 

トルネード投法の弱点の1つとしては勢いが付きすぎてコントロールが上手く定まらない事。況してやあのトルネードが覚えたてならなおのこと。まぁトルネードが大豪月さん本来のピッチングの可能性はあるけど……。

 

(それなら少し粘れば四球を狙える筈!)

 

 

ガッ……!

 

 

『ファール!』

 

おっも……!しかも腕が痺れてきたし。速くて重い球とか勘弁してほしい。こんな球を練習試合の時に雷轟は打ったのか……。

 

(ほう?これを当てるとは中々の奴だ……!)

 

ふと芳乃さん達の方を見てみると特にサインは出ていない。ノーサインなら私に出来る事を精一杯やろう。

 

(それなら私が狙うのは……!)

 

 

コンッ!

 

 

『バント!?』

 

守備の意表を突いた三塁線へのセーフティバント。向こうは深めに守っているから、セーフになる確率が高い。

 

サードが慌ててボールを拾い送球。流石、全国クラスのサードは肩が強い!でも……!

 

『セーフ!』

 

(ふぅ……。間一髪だ)

 

この後投げる可能性がある以上余り体力を使いたくないけど、リードを広げるチャンスでもある。

 

「ナイス!朱里ちゃーん!!」

 

「確実にチャンスを作っていきたい……!」

 

次は藤田さんか。セオリーでいくならここの場面はバントなんだけど……。

 

(ここは1つ動いてみますかね……!)

 

(朱里のあのサインは……)

 

「何か仕掛けるつもりらしいが、私には関係ない!」

 

大豪月さんが投げる瞬間に……!

 

「朱里ちゃんが走った!」

 

(大豪月さん相手に盗塁とは良い度胸だね~。何が狙いかは大体予想出来るけど、とりあえず刺させてもらうよ~)

 

『ストライク!』

 

(よいしょっ……と~)

 

ミットに収まった瞬間に非道さんは二塁へと送球。大豪月さん程ではないにしても、非道さんの肩も全国の捕手の中でもトップクラスだ。このままでは確実に刺される。

 

(でもそれも想定内……!)

 

私は送球を見て一塁へと戻りに行く。そしてセカンドの人が一塁へと送球しようとするが……。

 

「わっ!」

 

かなり高く投げられて巨体が集まる洛山で唯一の低身長の清本は精一杯ジャンプするも、その送球に届かずに後ろに逸れていった。狙い通り!

 

本来ファーストというポジションは背の高い人がよくやる印象だけど、清本みたいに低身長の選手がファーストをやっている場合は皆がその小さい的に狙って投げるようになるから、一定以上の捕球率があれば小さくてもファーストを任せられる。

 

しかし洛山の選手は一部を除いた人達の守備が凄く荒い。予想外の行動を1つ起こすだけでこのように乱れてしまう……というのが私がやった小細工だ。

 

これでワンアウト二塁。大豪月さんのストレートを打って追加点がほしいところだ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大豪月の球に着いてこられるのは新越谷で雷轟だけだと思っていたが……」

 

「朱里さんはバッティングも一流ですからね。川越シニア以外の場所で野球をやっていたら間違いなく4番を打てるレベルでしょう。今回はバントでしたが、次の打席ではヒット以上の成果を出せるかも知れません」

 

「新越谷が洛山に勝つには後続が大豪月の球を打てるかどうかにかかっているな」

 

「そうですね。たった2点のリードではあっという間に洛山にひっくり返されます。……ですが当てる事さえ出来ればきっと突破口を掴めるでしょう」

 

「その心は?」

 

「バットに当てればきっと何かが起こります。特に洛山の守備力においては……!」




朱里「試合展開は大きく進んで5回表」

遥「13対11……。なんか凄い展開になってきたよ!」

朱里「雷轟もずっとホームラン打ってるもんね」

遥「やっと勝負してくれて嬉しいんだ!」

朱里「良かったね」

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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