最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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全国大会決勝戦!新越谷高校VS清澄高校②

「ナイスピッチだよ息吹ちゃん!」

 

芳乃さんがぴこぴこさせながら息吹さんのピッチングを称える。

 

「しかし最後に投げたあれは何なんだ?」

 

川崎さんが最後の1球に投げた球が気になって訪ねてきた。

 

「……息吹さんが投げたのはムービングファストボールっていう僅かな変化で打者を翻弄させる球だよ」

 

「それは変化球……なの?」

 

「分類としてはストレートになるかな。普通のストレートと織り混ぜる事でムービングファストの変化を予測させない……という戦術をプロ選手がよく使っているよ」

 

「そんな凄い球を息吹さんは隠し持っていたのですね……!」

 

「いつから投げられるようになったの?」

 

ムービングファストについての質問が止まらない……。答えないと終わらないであろう質問に息吹さんが答える。

 

「ムービングファストの練習をしていたのは私が投手に任命されてから少し経った時の事よ」

 

あっ、回想入る感じなんですね?

 

 

 

「ナイスボール!」

 

バッテリー練として最近投手の才が発覚した息吹さんが投げ込んでいた。

 

「それにしても色々な選手のコピーが出来るんだね」

 

「小さい頃から芳乃の玩具にされてきたからね……」

 

話を聞くと芳乃さんが息吹さんに様々な選手の投打法を真似してもらっていたらしい。私が入部してすぐの頃にも同じような話を聞いた事があるけど、息吹さんも大変だな……。

 

「……でもコピーだけだとなんかもったいないね。息吹さんもオリジナルの球種を身に付けた方が良いかも」

 

「私だけの……?」

 

「何でも良いんだよ。球種は問わない」

 

「とにかくやってみるわ」

 

それから3日後にムービングファストっぽいぶれ方をしたのが切っ掛けで毎日息吹さんなりに練習し続けた……。

 

 

……そんな経緯で全国大会の登板機会でも1度も見せなかったムービングファストを洛山や白糸台が相手だったとしても1打席はなんとかなるレベルで仕上がっている。これは先の大会が楽しみになってきたよ!

 

(私ももっと体力付けないとね……!)

 

「と、とりあえず攻撃でしょ!私の事は後で良いのよ」

 

「……そうだね。まずは先制点を取ろう!」

 

川口姉妹によって話題は変わる。まぁ向こうも既に準備が整っているし、待たせる訳にもいかないよね。

 

『1番 レフト 中村さん』

 

(片岡さん……。ミーティングのデータによるとコンディション次第で球筋が大きく変わる不安定な投手って話やけど、今日はどんな球を投げるとかいな?)

 

(今日の私は絶好調だじぇ。この決勝戦は天王寺さんの指示通りガッツリと抑えてやる!)

 

片岡さんの1球目……。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

「は、速い!」

 

(ムラのある片岡さんだけど、バッティングと同じでピッチング今日は最高のコンディションって訳か……)

 

この球速は梁幽館の中田さんクラスだ……。片岡さんもこの春から野球を始めた人間なのに、大したものだよ。でも……!

 

 

カンッ!

 

 

私達は大豪月さんの球を見てきた……。球を捉える技術が新越谷の中でも上位にあたる中村さんからしたら打つのは難しくない。

 

「ナイバッチ!希ちゃん!!」

 

「流石……としか言いようがないな」

 

結果はヒット。ノーアウト一塁で流れとしては良いんだけど、どうにもこのまま点が取れるとは思えないな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「清澄高校の連中はスタメンが全員野球をこの春から始めた人間ばかりのようだな」

 

「この春から!?あの投手もかなり速い球を投げるし、4番の子なんて和奈ちゃんみたいなスラッガーの才能があるよ!」

 

「……それを可能になるよう育成するのが天王寺さんの腕前です」

 

「アタシも天王寺さんにお世話になったからわかるんだけど、あの人の教え方はヤバいよ」

 

「そういえばいずみちゃんは天王寺さんに指導してもらったんだったね」

 

「それだけじゃなく、いずみだけじゃなく当時の川越シニアで9割以上は天王寺さんに指導してもらっていた……」

 

「私達の1つ下の世代までの川越シニアは天王寺世代と呼ばれていましたね」

 

「……改めて川越シニアの連中が化物揃いだとわかったが、二宮達はそんな天王寺からは指導してもらってないのか?」

 

「そうですね。私と朱里さん、和奈さん、亮子さん、はづきさんは天王寺さんの指導を受けていません」

 

「へー、はづきも天王寺さんと関わっていなかったんだ?」

 

「あの人は苦手なんだよね……。だから極力関わらなかったの」

 

「はづきさんのそれは正しい判断ですね。天王寺さんの指導は麻薬のような中毒がありますから」

 

「ち、中毒!?」

 

「ま、まぁ瑞希ちゃんの言う中毒って言うのは大げさなんですけど、実際に他の人の指導だと物足りなくなるってシニアの人達は言ってました……」

 

「そうなんだ?でもアタシは何ともないよ?」

 

(そういえば以前天王寺さんがいずみさんを逃した……みたいな事を言っていましたが、清澄の人達はもしかすると……)

 

「どうした二宮?」

 

「……いえ、何でもありません」

 

(まぁ例えそうだとしても悪い事何1つとしてないので、何も問題ありませんね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、チャンスを広げるよ!」

 

目測でしか判断出来ないけど、片岡さんの球速は中田さん並。でもそれはただ速いだけ。タイミングを上手く合わせれば……。

 

 

カンッ!

 

 

このようにヒットに繋がる。

 

「ナイバッチタマちゃん!」

 

(中村さんの時もそうだけど、あっさりと打たれ過ぎな気がする。天王寺さん達で何か仕込んでるのかな……?)

 

私が気にし過ぎならそれに越した事はない……のになんだろうこの不安は?

 

『3番 センター 岡田さん』

 

先制のチャンスなのにそんな気が全くしない。むしろ不安が募るばかりだ。本当に何なんだこれは……?

 

(朱里ちゃん……。どうしたんだろう?)

 

 

カンッ!

 

 

主将が打った打球はサードへ。ライナーだけど、これは捕られそうだね。

 

(しまった……。力を入れ過ぎた!)

 

私達は主将が打った打球がアウトになると思い、ランナーもそれぞれ帰塁し始める。

 

(ふっふっふっ……。狙い通り!)

 

 

バチィッ!

 

 

(は、弾いた!?)

 

弾くとは思ってなかったのか中村さんと山崎さんは急いで進塁するけど……。

 

『アウト!』

 

まずは三塁フォースアウト。

 

『アウト!』

 

セカンドもアウト。

 

(そ、そんな事って……!)

 

新越谷で1番足が速いのは主将だ。最近では私や川崎さんも主将には負けない走力を身に付けているけど……。

 

そんな主将でも一塁は……。

 

『アウト!』

 

アウトになってしまう。

 

「と、トリプルプレー!?」

 

「マジかよ!あのサードがライナーを捕ってたらワンアウトで済んだのに……」

 

「そうね。ランナーも戻りかけてたし、打球を弾いたのが向こうからしたらラッキーだったのね……」

 

川崎さんと藤田さんがそんな会話をしてるけど、ラッキーにしては手際が良過ぎる。あれくらいのライナーなら雷轟でも捕球出来ると思うし……。

 

もしもトリプルプレーを狙ってあのライナーを弾いていたとしたら……!

 

(この試合、相当厄介なゲームになるぞ……!)

 

この守備も天王寺さんが仕込んだものだろうね。

 

(でもあの連携を狙ってやったとしたらこれまでの試合も失点はもっと少ない筈……。にも関わらず清澄は毎試合3~5点は取られている)

 

あの連携がどこまで完成されてるのか、それともこの決勝戦に合わせてきたのか……。謎は深まるばかりだ。




遥「チャンスなのに点が取れなかったよ!?」

朱里「トリプルプレーなんて滅多に見られるものじゃないよね」

遥「でも2回裏は私の打順からだよ!」

朱里「ちゃんと勝負してくれたら良いけどね……」

遥「私は決勝戦で打てないの!?」

朱里「可能性はあるね」

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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