最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

1141 / 1797
全国大会決勝戦!新越谷高校VS清澄高校⑦

ブルペンから戻ると刀条さんがマウンドに登っており、片岡さんはセンターを守っていた。

 

『アウト!』

 

刀条さんは片岡さんとは違うタイプの投手だから、抑え込まれているのか……。早いところ同点にしたいのに、厳しい状態が続くなぁ。

 

「先発の片岡さんよりは遅いんだけど、クセ球が厄介で……」

 

「ファインプレーを連発させる鏑木さんを中心に守備力の高さを実感させられるピッチングって事か……」

 

実際に刀条さんの投球を映像で見ていたけど、あれは鉄砂高校のようにハイレベルな守備力があって初めて成り立つものだ。清澄の守備は鉄砂に比べると拙い部分が目立つ。

 

(それ等を鏑木さんや刀条さんの守備力でカバーしていく……という感じのようだね)

 

『ボール!フォアボール!!』

 

4番の雷轟はやはり歩かされるか……。まぁ安全策を取るのは当然か。

 

『5番 ピッチャー 藤原さん』

 

(次は雷轟遥の次にパワーがある藤原理沙か……。甘く入るとホームランを打たれかねないから、バッテリーは慎重に入ってくれ)

 

(はい)

 

『ボール!』

 

(映像で見た以上のクセ球ね。迂闊に打つと内野ゴロの山になりそう……)

 

刀条さんのピッチングスタイルとしては常に7、8割の力で投げて、要所で力を入れて投げる事で打者を打ち取る。もしも彼女が鉄砂高校にいたら私達は1点も取れなかったかも知れないね。

 

 

ガッ……!

 

 

藤原先輩もクセ球だと把握した上で引っ掻けてしまう。わかっていてもあの球を打つのは難しそうだ。

 

 

ポロッ。

 

 

(えっ?)

 

サードの鏑木さんがフワッと上がったイージーフライを落とす。これはまさか……!

 

「雷轟!藤原先輩!急いで走って!!」

 

「朱里ちゃん?」

 

雷轟と藤原先輩が戸惑いながらも走り始める。鏑木さんは素早い動きで落としたボールを拾って二塁に投げる。

 

『アウト!』

 

か、肩強っ!鏑木さんじゃなかったらセーフになってた可能性があったよ……。

 

『アウト!チェンジ!!』

 

一塁もアウト。またもや鏑木さんのプレーによってゲッツーをもらってしまう。あと3イニングであのクセ球を雷轟以外の人間で最低でも2人が攻略しないといけない。

 

更に一塁が埋まるとゲッツーを取られやすい。特に三塁線に飛ばせばそれがほぼ確定となるだろう。

 

(天王寺さんが手塩にかけて育てた選手の中でも鏑木さんと刀条さん……。この2人は厄介極まりないな)

 

特に鏑木さんはパワーヒッターでありながらも守備方面でも隙がない。データによれば外野も守れるみたいだし、本当に初心者なのか疑いたくなるね全く……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「またあのサードによって阻まれてる!」

 

「これが元々鏑木さんの中に潜んでいた野球の才能……でしょうね。それを天王寺さんが上手く引き出したのでしょう」

 

「天王寺さんって何者……?」

 

「私達が所属していた川越シニアで選手育成を主に活動していました」

 

「本人もレギュラー狙えるレベルで上手いんですよねー。アタシも天王寺さんの実力見てびっくりしたし……」

 

「そのような人物が何故選手としてプレーをしなかったんだ?」

 

「……私なりの考察ですが、天王寺さん自身が人に野球を教える事に快感を覚えたからじゃないかと思います」

 

「か、快感!?」

 

「つまり天王寺さんはそういう趣味のある変態?」

 

「へ、変態って……」

 

「それを言うなら瑞希の情報に対する執着も紛れもない変態のそれだよね☆」

 

「失礼な事を言わないでください。私は変態ではありません」

 

(いや、金原の言いたい事はなんとなくわかるぞ……)

 

(なんか危ない眼をしながら情報収集してそうですよね~)

 

(ウム、それもまた才能だな!)

 

「……何故か失礼な視線を感じるのですが?」

 

「気のせいだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5回表。再び私達はポジションを代える。投げていた藤原先輩がサードに、サードにいた武田さんが投げる事に。

 

(本当は私が先に投げる予定だったんだけど、武田さんがどうしても私が試合を決めてほしいって言ってたからな……)

 

本当にプレッシャーを感じる事この上ない。

 

「よーし!投げるぞーっ!」

 

「随分張り切ってるねヨミちゃん」

 

「うん!決勝戦で投げられるのが嬉しくて……」

 

「朱里ちゃんも投手全員が投げる事に意味があるって言ってたからね」

 

「そんな提案をしてくれた朱里ちゃんが、私達の為に頑張ってくれた朱里ちゃんがこの試合を決める投手になってほしいんだ」

 

「……そうだね。それは私も同じだよ」

 

(これは私達が朱里ちゃんに対して出来る最大の恩返し……!)

 

(全国優勝投手は朱里ちゃんにこそ相応しいんだよ)

 

な、なんかバッテリーが私の方を見てるんだけど……?

 

(……この回は1番から。これまでの武田さんなら余程調子が悪くない限り打たれる事はないので筈。鬼門は宮永さんだろう)

 

『新越谷高校、またもや投手交代です。サードにいた武田選手がマウンドに上がりました』

 

『武田選手は元々新越谷のエースですからね。変わった形での登板ですが、清澄の上位打線とも渡り合えるでしょう』

 

武田さんの1球目……。投げたのはあの魔球だった。

 

『ストライク!』

 

(映像で見るよりも曲がりが大きいな……。変化球打ちが苦手な優希には打つのは無理そうだ。それなら……!)

 

(天王寺の言う通りこれを打つのは私には無理だじぇ……。それなら強ストレートとやらを狙う!)

 

片岡さんがバットを短く持った。これはストレートか強ストレート狙いだろうね。

 

(そんな片岡さんには多分これが刺さる筈……!)

 

(了解!1球ツーシームからの……!)

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

((止めは朱里ちゃんから教わったあれで!))

 

(ストレート……。もらったじぇ!!)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

(なっ!空振り!?ストレート打ちが得意な私が……?)

 

(さっき武田が投げたのは朱里が得意とするストレートに見せ掛けた変化球……。ストレートが得意な優希に上手く刺さってしまったか)

 

予想通り偽ストレートで上手く片岡さんを三振に。続く2番の花田さんも凡退に抑えた。ツーアウトランナーなしの場面で迎えるのは……。

 

『3番 キャッチャー 宮永さん』

 

(宮永さんの3打席目か……)

 

今の武田さんなら抑えられると信じているよ……!




遥「試合は佳境に入ったね!」

朱里「宮永さんの3打席目を武田さんが上手く抑えられるか……。これ以上点を取られるとキツいかもね」

遥「私が勝負してもらえたら……!」

朱里「新越谷が勝つ為には刀条さんのクセ球をうちの打線が打てるかどうか……って感じだね」

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

  • 見たい
  • 見たくない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。