最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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全国大会決勝戦!新越谷高校VS清澄高校⑨

(刀条さん……!)

 

(大村さん……。まさか貴女と野球で勝負する事になるとは思いませんでした)

 

大村さんが打席に入るなり、刀条さんと大村さんが視線を交わす。今の2人は野球をしているのにも関わらず、剣道で言うところの蹲踞をしているようにも見える。

 

(大村さんとこうして野球勝負をする事になるのは予想外でしたが、全中で貴女に負けた借り……ここで返させてもらいます!)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

「は、速い!」

 

「今までの刀条さんの球速とは違うわね……」

 

これが刀条さんのピッチングスタイルで言うところの要所で出す全力投球だろうか?

 

「…………!」

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

2球目のストレートを大村さんはカットしてファール。これでツーナッシングだ。

 

(さて……。時間は全て使った。ここから刀条さんの球を打てるかどうかは大村さん次第だよ)

 

(ツーストライクまで使いきりました……。遥さんと朱里さんが仰っていた一球入魂……次の1球に私の全てを刀条さんにぶつけます!)

 

以前大村さんが私にバッティングについて教えてほしいって言ってたのをふと思い出した。

 

 

「朱里さん!」

 

「どうしたの大村さん?」

 

「私にバッティングを教えてください!」

 

素振りをしていたら突然大村さんにバッティングを教えてほしいと言われた。

 

「私は別に良いけど……。大村さんのバッティングスタイルなら、雷轟に教えてもらった方が良いんじゃないの?」

 

「遥さんにも教えてもらっています。ですが違う視点から見えるものがあるのではないかと思い……」

 

「私に声を掛けた……と」

 

「はい」

 

まぁ私と雷轟じゃバッティングスタイルは真逆だもんね。パワーヒッターとアベレージヒッターではやり方が全然違う。

 

「……実は遥さんが一球入魂を心掛けると気持ちが入ってくると仰っていました。私にはその意味が掴めず……」

 

「一球入魂か……」

 

雷轟もまだまだ素人なのに、言う事だけは一人前なんだから……。

 

「まぁそこまで難しい事じゃないよ。自分が打つべき球に力と気持ちを注いでバットを振り抜いたら良い。大切なのは信じる事」

 

「信じる事……ですか?」

 

「自分の力を信じて初めて一球入魂の土台に立てる……って私は思うよ」

 

あくまでも私の意見。これとても大事。

 

「……ありがとうございます。あとは自分で何とかしてみせます!」

 

「私が力になれたのならなによりだよ」

 

大村さんも一皮剥けたなぁ……。

 

「これで遥さんに借りた漫画を参考にして……!」

 

……なんか不安になってきた。

 

 

……雷轟から借りた漫画とやらが少し気になるけど、大村さんは打つ時にはちゃんと打っている。影森戦がその内の1つだね。

 

「…………!」

 

「…………!」

 

「白菊ちゃんも刀条さんも凄い集中力……!」

 

これは雷轟と大豪月さんが2度に渡って勝負した時に発生した沈黙と互いから伝わってくる集中力。これが何を表すのかと言うと……。

 

「次の1球で……勝負が決まる!」

 

いち早く反応したのは雷轟だ。同じような経験を2度もしていればすぐにわかるか……。

 

(この1球に……!)

 

(次に刀条さんが投げてくる1球に……!)

 

((全力を注ぐ!!))

 

刀条さんが投げた3球目。球種はストレートだろうか?これまでの刀条さんが投げた球の中で1番速い球だ。

 

(私は大村さんに全力をぶつけた……。あとは前に飛ばされるか、空振りするか……。何れにせよ悔いのない1球です)

 

(凄い球です……。同じ時期に野球を始めた者同士、実力に差が出てしまっているのがこの1球で痛感しました……。ですが私だって負けません。チームの皆の為に、このストレートを打たせて頂きます!!)

 

大村さんがスイング始動。タイミングは完璧だ。

 

(空蟬!!)

 

 

カキーン!!

 

 

「打った!」

 

「大きいぞ!!」

 

打球はセンターへグングンと伸びていき、そのままスタンドへと入っていった。

 

『ほ、ホームランです!代打攻勢が上手くはまりました!大村選手の同点ホームラン!!』

 

『ホームランを打った大村選手はもちろんですが、最後のストレートを投げた刀条選手も良い守備ピッチングでした』

 

(昨年の全中と合わせてこれで2敗目ですか……。この次に相見えるのは野球か、剣道か……。次にぶつかる時は負けませんよ)

 

(刀条さん……。最高の1球でした。私が打てたのはマグレでしょうが、遥さんと朱里さんの一球入魂を意識したお陰です!)

 

ベンチに戻ってきた大村さんは影森戦の時と同じように皆から手荒い祝福を受けていた。

 

「痛っ!誰か本気で叩いてます!」

 

もしかして中村さん?そんなシーンまで再現しなくても……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何て言うか剣道部出身同士とは思えない対決だったね」

 

「刀条さんも投手として中々のレベルまで成長しています。流石、天王寺さんが育てた選手の1人ですね」

 

「その球を打った大村も打者として大きく成長しているな。データを見る限りだと雷轟と同じく守備方面に課題あり……と言ったところだが」

 

「大村は我が洛山に相応しい選手になりそうだな!」

 

「いや、大村さんは新越谷の選手だから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5回裏は大村さんが取ってくれた1点で終わった。なんとか同点に出来て良かったよ……。

 

(あと2回……。宮永さんに打席が回ってくるのは延長戦にならない限りはあと1度回ってくるかどうか……)

 

間違いなくここが踏ん張り所。勝つのは私達新越谷であってほしい……!




遥「白菊ちゃんのホームランで同点になったよ!」

朱里「しかし後続は続かず……。まだ刀条さんを攻略しきった訳でもなさそうだね」

遥「互いに譲らずの攻防……どっちがそれを制するのか!?」

朱里「次回はまたまた投手交代」

遥「新越谷4番手にして最後の投手……。その名も早川朱里!」

朱里「恥ずかしいから、その持ち上げ方止めて」

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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