阿知賀との練習試合が終わり、次は熊実と練習試合。
熊実の先発投手は今の私と同じ左投げ右打ちの選手だった。
「朱里の投打を初めて見た時から思っていたけど、左投げ右打ちって普通じゃないんだよな?」
「そうだね。私の場合は左投げに転向したから今の投打だけど」
「本来なら朱里ちゃんも左打ちにした方が良いんだけどね……」
芳乃さんが苦笑いしながら言うように本来左投げ右打ちというのは余り良い例ではない。
例えるなら左投げの二遊間が普通ではないようなものだ。野球ゲームではそういう選手の育成もやった事があるけど、あれはあくまでもゲーム。
実は以前川崎さんに左打ちの特訓をした時に私も左打ちのイメトレをしつつ、家では左打ちの要領で素振りをしている。お披露目は秋大会くらいになるかな……?
「まぁその辺りも追々なんとかしていくよ」
「今度はちゃんと事前に言ってね?」
「ぜ、善処します……」
芳乃さんから凄みを感じる……。まだ川崎さんの左打ちの件に関して根に持っているのだろうか?
話を戻して熊実戦。この試合では引退した久保田さんが塁審に入っていたり、試合後の練習では様々なポジションでノックを受けたりしていた。本人曰く……。
「私にもプロ野球やいくつかの大学から声が掛かっているが、何れも評価してくれたのはバッティングとフィジカル……。投手としての私は評価するに値しないそうだ」
という事だ。更に……。
「まぁそれも仕方ないと割り切っている。投手としての私は洛山高校の大豪月の下位互換だからな。今からプロや大学に投手として見てもらうように練習を始めるとそれこそ完全に大豪月に負けてしまう……。まだ打撃面を評価してくれる内に私は野手として頑張るとするよ」
……とも言っていた。これに関しては大豪月さんがそれ程のプレイヤーなのか、久保田さんが大豪月さんに萎縮してしまっているのかはわからないけど、久保田さん自身も大豪月さんとの差別化が出来るように今も日々頑張っているって事だろう。
そんな久保田さんは今はサードに入って練習している。隣にはメインポジションが(一応)サードである雷轟がいた。
カンッ!
三塁線に強い打球。だけど決して捕れない打球じゃない……んだけど……。
スカッ。
「あっ」
久保田さんはトンネルしていた。まぁ彼女は今まで投手だった訳だし、多少はね?
「ふむ……。打球勘がいまいち掴めないな」
「こういうのは思い切りが大事なんですよ!」
自信満々に雷轟が解説している。もう私にはフリにしか聞こえないんだけど……。
スカッ。
「あっ」
見事なフリを雷轟はした。久保田さんも大笑いしてるし……。ただでさえ雷轟は歩かされるようになったのに、守備でもお粗末だとまたベンチスタートにするよ?
その後も久保田さんは色々なポジションを体験して、帰宅時間になると熊実までランニングして帰る事にしたらしい。ここから20キロくらいあるんだけど……。
(こういう部分も私は見習うべきなんだろうか……)
阿知賀の高鴨さんも山を走るのを日課にしてるらしいし、体力を付ける為にはそれくらいの無茶をしなくてはいけないのかな?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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