最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

1161 / 1797
練習試合!新越谷高校VS白糸台高校③

1回裏の私達の攻撃。鋼さんが投げる球は中々に速く、攻略が難しそうだ。

 

(厄介なのがただ速い……という訳ではないという事だね。それが新井さんに匹敵する球速なのがまた……)

 

『ストライク!』

 

カウントツーナッシング。アベレージヒッターの中村さんでも手が出し辛いコースに決められている。

 

(追い込みましたね。最初の打者は景気良く三振を取りにいきましょうか)

 

(わかったよ瑞希ちゃん!)

 

3球目。鋼さんが投げたのはさっきの2球に比べるとやや球速が劣る。変化球だろうか……。

 

(うっ……!)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

「嘘……。希が3球で……」

 

「最後に鋼さんが投げたのはスライダーだね。それもかなりキレのある球だ」

 

あれは間違いなく全国レベル……。本当に中学まで無名だったのか怪しいくらいだ。

 

(先頭打者……それも新越谷で1番ミートがある中村さんを三振に出来たのは大きいですね。この後も山崎さん、岡田さんとミートがある打者が続きますし、慎重に投げていきましょう)

 

(流れが悪いな……。どうにかして鋼さんの突破口を開きたいところだけど……)

 

鋼さんの球種があのスライダーだけだとは考えにくい。二宮の事だから二巡目に入るかピンチになるまでは次の球種を公開しないピッチングをさせる可能性がある。いや、それすらも逆手に取って野球をするのが二宮だ……。あらゆる可能性を視野に入れてこの試合に臨む必要が出てくるね。

 

 

ガッ……!

 

 

2番の山崎さんと3番の主将もこのように鋼さんの投げるストレートとスライダーを詰まらせて打ち取られる。

 

(見た感じだと制球力はそこまでなさそうだ。それを上手く二宮がカバーしているって感じか……)

 

しかしこうも連続で打ち取られるとこのまま点が取れないような気持ちに陥ってしまうから、鋼さんが2球種で抑えている内に最低でも同点にしたい。

 

「こ、これはいよいよ追加点をあげる訳にはいかなくなったよ」

 

「頑張ろうね星歌ちゃん」

 

渡辺は乱調しがちの投手だから、山崎さんにはなんとしても渡辺の手綱を握っていてほしい。二宮もその機会を伺っている筈だしね。

 

(前に先発させた時も悪い部分はなかったから、この試合も乗り切って投げられれば良いんだけど……)

 

(星歌さんはシニア時代に乱調によって崩れる事が多々ありました。それさえなければ背番号をもらえただろうと六道さんも言っていましたね。この試合で乱調を起こすかどうかは山崎さんのリードにかかっていますし、リードもしていますから、その時が来るのを待つのも一手ですね)

 

2回表の向こうの攻撃は6番から。渡辺は6~8番を凡退に抑える。

 

(この回は3人で終わってしまいましたか……。星歌さんもシニアから練習を欠かさずしていたようですし、初回に点を取れたのはありがたいですね。もしかしたらここから点が取れない可能性も考慮する必要がありそうです)

 

「ナイスピッチ渡辺」

 

「珠姫ちゃんのリードのお陰で乱調状態にならずに済んでるよ」

 

「それでも気を抜かない事。何が原因で向こうの打線に捕まるかわからないからね。2軍とはいえ相手は春夏4連覇を取っていた高校なんだから」

 

正直あの試合だって先発が神童さんだったら私達は負けていた。何を意図して新井さんを先発させたのかわからないけど、私達からしたら運が良かったのだろう。

 

(さて……。4番の藤原さんと6番の川崎さんはストレートに強いですし、スライダー中心の配球で攻めましょうか。それに5番の川原さんはノーデータ……。最低でも2回は回ってきますので、その時にデータを取らせてもらいますよ)

 

2回裏は藤原先輩の打順から。4~6番の3人はストレートに強め。スライダーを中心に投げてくるピッチングをするだろうから、上手く狙い打ちしてほしいね。

 

(初球からスライダーでいきましょう)

 

(うん!)

 

鋼さんの1球目。キレのあるスライダーを投げてきた。狙い球絞りは基本的にじゃんけんに近い。鋼さんの場合は現状2球種だから、グー(ストレート)とチョキ(スライダー)しかないから、それに合わせて打っていけば……。

 

 

カンッ!

 

 

「やった!スライダーを捉えた!!」

 

打球は三遊間へ。普通の相手なら抜けて長打を狙える当たりなんだけど……。

 

 

バシィッ!

 

 

「と、捕った!?」

 

ショートが打球を捕ってそのまま一塁へ投げる。

 

『アウト!』

 

藤原先輩の当たりは悪くなかったけど、それをショートの守備が上回りアウトとなってしまった。

 

「あのショート守備が上手すぎ……」

 

「そうだね。しかも……」

 

「しかも?」

 

「ショートを守っているのは佐倉日葵さんなんだ」

 

「えっ……?」

 

「そんな……!」

 

私の言葉に反応したのは芳乃さんと山崎さん。主将も声に出さないだけで険しい表情をしていた。

 

「上手いよね守備。でもそれがどうかしたの?」

 

その一方でどういう事かわかっていない人達の中で代表して雷轟が私に質問する。

 

「本来ショートを守るのは今セカンドを守っている佐倉陽奈さんで、セカンドは本来佐倉日葵さんが守るポジション……って言ったら事の重大さがわかるかな……?」

 

「そ、それって……」

 

「どういう訳かは知らないけど、あの姉妹は本来守るポジションとは逆に守っているんだよ」

 

それにしても佐倉日葵さんは捕球方面に難があるっていう話だったけど、今の守備にはムダがなかった……。白糸台は徹底して個々の弱点を克服させているようだ。




遥「鋼さんが攻略出来てない……」

朱里「速いストレートとスライダー。更に球種を隠している可能性があるから厄介だね」

遥「次回は私に打順が回ってきます!」

朱里(また歩かされそう……)

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

  • 見たい
  • 見たくない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。