最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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混合試合!赤チームVS白チーム⑩

2回表。武田さんのピッチングは好調でツーアウトになったんだけど、そこから連打をくらいランナーが二塁・三塁のピンチである。そして次の打者は……。

 

『8番 キャッチャー 山崎さん』

 

(よりによって山崎さんか……)

 

山崎さんは武田さんの球をこれでもかと言わんばかりに把握している。正直勝負するのは避けるべきだろう。しかし……。

 

(私のリードを山崎さんに見てもらう良い機会だ。それに山崎さんも武田さんと勝負したいだろうし、武田さんも山崎さんと勝負したいと思うしね)

 

(ピンチの場面でタマちゃんとの勝負……。なんだかワクワクしてきたよ!)

 

(ヨミちゃんとの勝負……。練習試合とはいえ真剣に勝負するのって実は初めてなんじゃないかな?)

 

初球は内角にミットを構えて、強ストレートのサインを出す。

 

(初球……強ストレート!)

 

 

カンッ!

 

 

山崎さんは初球から打ってきた。

 

『ファール!』

 

打球は三塁線切れてファールとなった。次は反対のコースにカットボール。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ボール!』

 

(今のコースは際どかったけど、ボールか……。山崎さんもよく見たね)

 

(朱里ちゃん、次はどうするの?)

 

(3球勝負は難しいってわかってたし、もう1球外すよ。でも空振りを取るあの魔球でお願い)

 

(うん!)

 

3球目は低めに落ちて空振りを狙えるあの魔球。まぁあくまでも空振りを取れたら儲け……って感じだ。

 

(この感じ……。くるのは間違いなくあの球!)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ボール!』

 

(スイングはなしか……。見送り方に余裕があるね)

 

4球目。普通のストレートのサインを出す。

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

(今のも打ってきた……。しかし追い込んだ。あの魔球で三振を取りにいくよ)

 

(OK!)

 

山崎さん曰くあの初見の右打者はピーンボールから落ちてくるあの魔球を見るまでは仰け反るらしい。次に投げるのはそのコースにあの魔球。

 

(!?……これはあの球がくるね!)

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

(まぁバッテリーを組んでいた山崎さんにはお見通しだよね。こうなったらどこまで粘られるかわからないけど、全てのコースに投げるつもりでいきますか!)

 

ボール球にはあと1球投げられる。使い所を考えないとそれが無駄に終わってしまうから、慎重に投げないとね……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1つのミスも許されない戦いですね」

 

「ああ、緊張感が違う。武田も今までで1番の球を投げているしな」

 

「ヨミちゃんと珠姫ちゃん……。そして朱里ちゃん。これはどっちを応援したら良いんだろう……」

 

「チームとしてなら山崎さんを応援するべきですが、新越谷としてはどちらにも頑張ってほしいところですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(新越谷がここまで強くなれたのは間違いなく武田さんと山崎さんの存在が大きい。そして……)

 

(ねぇタマちゃん。私が野球を続けられているのはタマちゃんのお陰なんだよ?)

 

(私が美南ガールズでの厳しい練習に耐えてきたのもいつかまたヨミちゃんと野球をする為……。ヨミちゃんとの約束があったからガールズでも頑張れた)

 

(そんな私達が新越谷で野球をして、大会に出場出来て、全国まで来れて、優勝まで辿り着けたのは……)

 

(朱里ちゃんや遥ちゃんを始めとする皆が支えてくれたから……)

 

(そして朱里ちゃんが私の球を受けてくれる。そのお陰で……)

 

(ヨミちゃんとの真剣勝負……という舞台を作ってくれたんだね)

 

武田さんも山崎さんも確かに優れた選手、そして名バッテリーだ。しかし2人が更なる成長をするのなら側にいるだけでは駄目なのだろう。

 

(もしかして六道さんはこういう機会を想定して今回の企画を考えたのかな……?)

 

考えるのは後にしよう。今は山崎さんを抑える事に集中だ。

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

(しかし粘ってくるな。武田さんも山崎さんも肩で息をしているし……)

 

次で20球目になる。そろそろ終止符を打たないと後のイニングに響く恐れがあるね。

 

(強ストレート……いける?)

 

(うん……。私は大丈夫)

 

真ん中低めに強ストレートのサイン。

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

ありとあらゆるコースに投げたけど、山崎さんは全部カットしてくるな……。

 

(武田さんの1番自信のある球でいくよ)

 

(……それならもちろんあの球で!)

 

(そうなるよね。最高の球できてよ)

 

21球目。武田さんが投げたあの魔球は……。

 

(嘘っ!?こんな大きな変化……見た事がない!)

 

今まで投げた中で1番大きな変化をしたあの魔球。

 

(くっ……!なんとしても止めてみせる!)

 

私も必死になってあの魔球の捕球を試みる。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

山崎さんは空振り三振。あの魔球は想定を大きく越えた変化量を見せた。だから打てなかったのだろう。

 

しかし1度ミットに収まるも、私は抑えきれずに地面に落としてしまう。しかし山崎さんはその場を動かない。それどころか武田さんやランナーの人達、バックの人達も微動だにしない。

 

(まぁ武田さん史上1番の球を見たんだ。無理もないか。私もその内の1人だし……)

 

いち早く復活した私は地面に溢したボールを拾って山崎さんにタッチする。これでスリーアウトだ。

 

(最高の球だったよ武田さん。そしてその球を投げる切欠を作ってくれた山崎さんもナイスファイト)

 

この熱い対決を作ってくれた武田さんと山崎さんに称賛の言葉を私は心の中で呟いた。




遥「ぐすっ……。良い対決だったね」

朱里「なんで泣いてるのさ……」

遥「だってヨミちゃんも珠姫ちゃんも凄くって感動したんだもん!」

朱里(まぁ捕手が私じゃなくて二宮か非道さんだったらもうちょっと楽に抑えられたと思うけどね……)

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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