もうすぐ8月も終わり。9月には秋大会があるし、それに向けて練習を考えていかないとね。
今日は一応自主練という事になっている。全員揃っているみたいだけど……。
「こんな感じ……ですか?」
「うん、それを心掛けるだけで良い球を投げられるようになってくるよ」
グラウンドの端の方で川原先輩と渡辺が投球練習をしている。なんでも渡辺自身がもっと球に勢いを付けたいとの事で川原先輩に教えてもらっていた。
(この2人もすっかり新越谷に慣れてきたね。秋大会のローテーションも藤井先生と芳乃さんと考えておこう)
芳乃さんと藤井先生は話し合いをしているらしい。秋大会に向けての合宿の段取りかな?
藤原先輩や息吹さんも投手としての成長速度は凄まじいし、私も負けてはいられない。
「力も大事なんだけど、手首を鍛えると長打力が増すと思うよ」
「手首か~」
「私達1年生は遥と白菊を除けば長打力に欠けているものね。珠姫や希も一発を課題にしているみたいだし、そこを補えば先輩達が引退しても安心かも……」
隣では雷轟と川崎さんと藤田さんが長打力について話していた。大村さんみたいな駄目な教え方をしないように釘を指しておいたから、あの2人にはまともに教えてくれるだろう。
(川崎さんの方は左打ちの練習もしているみたいだし、中村さん、川原先輩に続いて左の強打者が誕生すると心強い)
外野の方を見てみると主将が息吹さんと大村さんに捕球技術を簡単に教えていた。いつぞやの光景と同じだね。
「よし!今の感じを意識してやってみてくれ」
「はい!」
「次、息吹!」
「は、はい!」
大村さんも息吹さんもあの頃に比べてイージーミスをしなくなった。息吹さんは投手の練習もあるから大変ではあるけど、上手く身に付いた技術と息吹さんの持ち味でもあるコピーを併用していけば良い感じのユーティリティプレイヤーになるかもね。
(むしろ雷轟があれをやった方が良いような気がするけど、練習では問題ないんだよね。試合でミスするだけで……)
練習に限れば雷轟はエラーをしなくなった。守備方面は本番に弱い雷轟がどのようにしたらそれを克服出来るか……。
(……まぁまだ1年生だし、3年の夏までに完成させれば問題なさそうかな?)
あとは主将達の代最後の夏でやらかさなければ……とか考えちゃうな。そもそも雷轟は守備の下手さを補うレベルの長打力がある。いっそDH制が導入されたらこんな悩みもすぐに解決は出来るんだけどね……。
中村さんと藤原先輩は黙々と素振りをしていた。2人共何か思うところがあるのだろうか?会話の1つもない。
最後に武田さんと山崎さんはランニングをしていた。
「もうすぐ9月だね~」
「そうだね。9月頭の連休には合宿があるし、月末には秋大会が始まる……」
「夏大会の勢いのまま秋大会も優勝出来たら良いな」
「簡単じゃないと思うけどね……。でもそれは皆の総意でもあるよ」
2人は秋大会でも勝ちたい……みたいな話をしていた。私達新越谷は夏で引退した人はいないけど、他校は3年生が引退して、新しい戦力を補充して、残された人達も成長して……。
(正直私達が全国優勝出来たのは運が良過ぎた部分もある……。特に県大会は理想が綺麗にはまったからね。本来ならこうはならない)
守備の隙を突かれたり、雷轟が歩かされたりされると後続が続かず負けていた可能性が高い。
(打撃方面では雷轟に依存してたり、投球方面では武田さん達の成長が凄かったりと打撃には課題が、投球には更なる成長が色々ある)
武田さんもそうだけど、藤原先輩のジャイロボールや息吹さんのムービングファストボールが初見には通用した。
白糸台相手とか神童さんが先発だったら私達は勝てたんだろうか?私じゃなくて武田さんが先発だったなら打たれる事はなかったのかも知れない……。
「勝ちたいね……!」
「夏大会は全国優勝まで行った私達も更に強くなってる……。条件は互角以上だよ!」
確かにそれは同じなのかも知れない。あとは覚悟の問題か……。
(秋大会……。県内なら橘や友沢との再戦だ。今回はどんな結果が待ち受けているか、楽しみでも不安でもある)
秋大会も通過して、春の全国大会に出場したいものだ。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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