最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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番外編 二宮瑞希の白糸台生活 夏大会編 1年目 84

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

宮永咲さんにホームランを打たれたものの、朱里さんは後続の打者を三振に抑えました。

 

「悔いの残るピッチングになっちゃったね……」

 

「このまま新越谷が負ければ、朱里が負け投手になるのか~」

 

「初めてですね。朱里さんが負け投手になるのは……」

 

「そうなのか?」

 

「はい。リトルシニア通して、朱里さんは負け投手になった事がありません」

 

リトル時代も宮永さんに打たれただけで、それ以外の打者に対しては問題なく抑えていました。先程の鏑木さんのように……。

 

「まだ新越谷の負けと決まった訳じゃないよ!ね?瑞希ちゃん!」

 

朱里さんに敬意を抱いているはづきさんはこの状況下でも新越谷の勝ちを疑っていないように見えました。それははづきさんが朱里さんのいる新越谷を応援しているのか、それとも埼玉代表の意地なのか……。恐らくはどちらもでしょうね。

 

「……まぁ最終回で1点負けてるとはいえ、打順は1番からだ。十分にチャンスはあるだろう」

 

「新越谷の上位打線はハイレベルだからな!きっと逆転するさ!」

 

 

カンッ!

 

 

大豪月さんがそう言った瞬間、先頭の中村さんが初球から打っていってヒットとなりました。

 

「新越谷もこの局面にきて、清澄の守備に気付いたみたいですね」

 

「清澄の守備?」

 

「今中村さんが打ったように、清澄の守備陣でハイレベルな守備を見せるのはサードの鏑木さんと今投げている刀条さん……。逆にその2人に気を付けてさえいれば、清澄の守備は並レベルに過ぎません」

 

「だからこうして打てたんだね……」

 

少し遅いくらいですが、まだ逆転のチャンスはあります。

 

 

コンッ。

 

 

次の山崎さんが一塁線に送りバント。

 

『アウト!』

 

「これでワンアウト二塁……。スコアリングポジションにランナーが溜まってチャンスだよ!」

 

「しかしこうなると二遊間へのライナーに注意だな。下手を打つと、一気にゲームセットだ」

 

無論そうならないように新越谷も動くでしょう。次の打者の岡田さん次第でこの試合の命運が決まりそうです。

 

 

カンッ!

 

 

「打球はショート!」

 

「中村さんのスタートが良いお陰か、三塁はセーフだね!」

 

「ここで岡田が内野安打を決められるかどうかで、試合の展開が決まる……!」

 

ファーストミットの捕球音と、岡田さんのヘッドスライディングの音がほぼ同時に響きます。

 

『セーフ!』

 

判定はセーフ。これでワンアウト一塁・三塁になりました。

 

「こ、これ本当に逆転出来るんじゃ……?」

 

「4番の雷轟さんが歩かされても、満塁だよ!」

 

「懸念点があるとすれば、一塁が埋まっている事か……?」

 

一塁が埋まっている事で併殺が取りやすく、そうなれば清澄が逃げ切る事になります。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

「えっ……?」

 

「勝負した!?これまで歩かせていたのに……」

 

この局面で雷轟さんと勝負する理由を挙げていけばランナーを溜める方がリスクが高い事、雷轟さんの次に控えている藤原さんも雷轟さん同様のパワーヒッターである事、この局面で併殺を狙いにいっている事でしょうか……?

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

「2球連続でストライク……。どうやら本当に勝負するみたいだな」

 

「でもなんで急に……?」

 

「……もしも岡田さんが出塁出来なかったら、雷轟さんは歩かされていたでしょう。一塁を埋めるという大義名分の為に」

 

「だとすると、岡田さんのあのヘッドスライディングが試合を分岐したって事……?」

 

「その可能性はかなり高いでしょう」

 

 

カキーン!!

 

 

雷轟さんが放った一打は上空に羽ばたいていくいく鳥のように飛んでいきました。

 

『ゲームセット!!』

 

雷轟さんのサヨナラホームランによって、2対4で新越谷高校の勝利……。新越谷が全国優勝を果たしました。

 

「……良い試合だったな」

 

「ウム、まさに決勝戦に相応しい試合だったぞ!」

 

「ですね~」

 

神童さんと大豪月さん、非道さんがこの試合を賛辞し……。

 

「1つ何かが違ったら埼玉県代表は私達咲桜だったかも知れないだけに羨ましく、眩しい光景だよ」

 

「新越谷に勝ちさえすれば、我々梁幽館も……とつい思ってしまうな」

 

「来年は後輩達がきっと仇を取ってくれる」

 

田辺さん、中田さん、陽さんは来年の夏(或いは今年の秋)に後輩達がこの光景を願い……。

 

「この一眼レフであの胴上げのシーンを押さえましょう!」

 

はづきさんが新越谷の胴上げシーン(上げられているのは朱里さん)をカメラで撮り……。

 

「これは私達も負けてられないな」

 

「だねー。あっ、その写真後でアタシに頂戴はづき」

 

「帰ったら早速練習……だね。私も雷轟さんには負けてられないよ。はづきちゃん、私もその写真ほしいな」

 

「学ぶ事が多い試合でした。これ等を活かして更に精進するまでです。はづきさん、私にもその写真をください」

 

亮子さん、いずみさん、和奈さん、そして私は朱里さんに負けないように、これからもっと頑張っていくと決意を新たに燃えています。

 

(次に勝つのは白糸台ですよ……)

 

新越谷の胴上げシーンを尻目に、次は負けない事を改めて誓いました。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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