全体休憩を30分程してから、次は内野陣による守備練習。狩宿さんが担当をするようだ。
「これから内野手の皆様には常時守備体制でいても問題ないように練習します」
「そ、それって股割り……ですか?」
狩宿さんに質問したのは雷轟。川崎さんや藤田さんも同意の目で雷轟を見ていた。そんなにキツかったのか股割り……。
「そうですね……股割り程ではありませんが、それに近しい事をしてもらいます」
そう言って狩宿さんは大の字で立った。
「足はこの体制で腕を組んでください」
狩宿さんの指示に従って内野陣の6人は狩宿さんと同じように立って腕を組む。
「とりあえずこの状態を30分間続けてください」
(これで30分か……。思ったりよりも楽な練習で良かったよ)
(……とか思ってそうな人がちらほらいますね。そう思っている人がこの練習で根を上げるんですよね)
私が次にする投手練習までまだ時間があるし、休憩延長がてら見ていこうかな?
10分、15分くらいが経過した頃だろうか?内野陣に変化が起きていた。
(な、なんだこれ……!?)
(あ、足が震えてきてる……!?)
川崎さんと藤田さんが足を震えさせて、それに気付いて驚愕していた。顔に出てないけど、中村さんと藤原先輩もキツそうだ。武田さんもしんどそう。
何故皆がこのようにキツそうにしているのか?ただ立っているだけなのに……と思うところだけど、人体は立っていると左右のどちらかに必ず重心がいくように意識しているから、ただ立っているだけなら然程辛くはない。
しかし両足の重心を合わせて連続で立ち続けるのは不可能に近いとも言われている。現に内野陣が震えているように大の字で立ち続けるとああなってしまう。
(予想通りの反応を見せてくれる人達ばかりですね……おや?)
ふと狩宿さんがある場所に視線を移す。
(ふわぁ……。立ってるだけだと退屈かも)
そこには欠伸をしている雷轟がいた。なんか1人だけ余裕そうだな……。
(まぁ雷轟は中学の頃から足腰を鍛える為にずっとランニングをしてきたもんね。あれくらいなら問題ないのかな?)
だからと言って欠伸をするのは駄目だけど……。
「随分と足腰を鍛えていますね。普段は何かなさってるんですか?」
「あ、ありがとうございます!日課として筋トレとランニングをやっています!」
急に話し掛けられたのか雷轟は少し戸惑っていた。にも関わらず体制は崩れていない。
「そういえばはっちゃん……薄墨さんが言っていましたが、貴女は最強のスラッガーを目指しているそうですね?」
「はい!」
「それならこの練習のもう1段階上に挑戦してみますか?」
もう1段階上?雷轟以外の5人はあれでもキツそうなのに、あれよりも上があるの?
「や、やってみます!」
「良い返事ですね。それでは……」
雷轟が上に挑戦すると返事をした瞬間、狩宿さんがどこからかバーベルを取り出して雷轟に持たせた。
『ええっ!?』
「わっ……!?」
「貴女はバーベルを持ちながらその体制でいてもらいます。無理そうなら言ってくださいね」
いやいや、あんなの無理でしょ。身体壊すって!
「ぐぐぐぐ……!」
でも雷轟は頑張っていた。大したものだよ……。
「まぁそれで物足りないなら、スクワットしながらやっても良いですよ?」
狩宿さんが笑顔で物凄い提案をしていた。さてはこの人鬼だな?
「なんてそんな簡単には出来ないですよね……」
あっ、よく見たら狩宿さんが苦笑いしている。彼女なりのジョークのつもりだったのかな?
「ぐぬぬぬ……!負け……ないっ!!」
「え?」
嘘でしょ……?雷轟がスクワットを始めたよ!負けず嫌いなところがあるとは思ってたけど、これは筋金入りかも……。
「お、おいおい。遥の奴凄い事になってるぞ……」
「私達も遥に負けてはいられないわ」
「そうやね……。遥ちゃんがあんなに頑張ってるのに、私達が先に根を上げる訳にはいかんけん!」
川崎さん、藤田さん、中村さんが雷轟の頑張りに触発されて、震えながらも踏ん張っている。雷轟の影響力凄い。
(これは……予想外の現象が見られましたね。流石、姫様が新越谷でマークしていた内の1人というところでしょうか。フィジカルではあの中でも郡を抜いています)
その後もバーベルを持ちながらスクワットをしている雷轟は終了まで休む事なく続けて、他の5人も負けじと体制を保っていた。
「つ、疲れた……」
そりゃバーベルを持ちながらスクワットしてたら疲れるでしょうよ。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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