最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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成長の為に

「それでは各々で課題となる練習を始めてください」

 

朝食を食べ終わり、軽く身体を解してからポジション練習に入る。私は息吹さんと一緒に投手練だ。

 

「いつでも投げて良いよ」

 

「わ、わかったわ!」

 

(芳乃や朱里、石戸さんに神代さんと十曽さんからもらったアドバイスを参考に……。左投げの場合は左足に重心を乗せて、肘の位置……懐を深く取って、下半身主動で前へと移動……。肩がスムーズに回るように体を傾けて……!)

 

「真上から振り下ろす!」

 

息吹さんは真上から振り下ろす事を意識しているのか、それを大きく発言。

 

 

ズバンッ!

 

 

「どうかしら?」

 

(昨日から左投げを始めたとは思えない凄いセンスだ……。制球力が課題になるけど、球の勢いはかなり良い。これは右投げの時よりも勢いが出るのも時間の問題だろう)

 

そうなると息吹さんが左投げで得た経験値をそのまま右投げの時に移す事が出来たのなら……ストレートも、シンカーも、ムービングファストも、そして息吹さんのコピー投法で投げる武田さんのあの魔球や強ストレートだってこれまでとは段違いの威力と化す。

 

「肘の使い方が昨日よりも良くなってるね。これなら球の勢いを上手く出せると思う」

 

「朱里や石戸さん達の教え方が良いだけよ」

 

(いやいや……。息吹さんのセンスと成長速度が半端じゃないからだよ。これは私も負けられないな)

 

「芳乃のおもちゃにされてた時に左投げの投手の練習も少しやったのが関係あるかも知れないけど……」

 

まぁ……それもなくはないかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんぬーっ!!」

 

休憩がてら雷轟の練習を見に行くとバーベルを持ちながらスクワットをしている雷轟がいた。

 

「昨日よりも安定してスクワットが出来ていますね。これはとんでもないフィジカルが完成するかも……」

 

雷轟達内野陣の練習を見ている狩宿さんがポツリと呟く。雷轟はやはり規格外な存在なのだろうか?

 

「は、遥も中々大変な練習をしているわね……」

 

「しかもこの後雷轟は打撃練習もするみたいだよ。あの50球連続で場外に飛ばすやつ……」

 

「あ、あそこまで出来る気がしないわ……」

 

全くだよ。こんな規格外な練習が出来る人なんて他に……清本なら出来そうかも……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバンッ!

 

 

「ナイスボール!段々安定してきたね」

 

「そう……なのかしら?余り実感がないのよね」

 

息吹さんは天然で左投げをマスターしようとしている。私や友沢でも1ヶ月近くは時間を費やしたのに……っていうかそれでも早過ぎるって二宮も言ってたくらいだよ。

 

(このセンスや成長速度は今まで見た中で1番だ……。私達の練習を見ている岩戸霞さんもびっくりしてるし)

 

実は息吹さんは両利きなのでは……?

 

(これなら合宿最終日くらいには息吹さんを元の右投げに戻して投げさせると覚醒するんじゃ……?)

 

息吹さんに負けないように私も頑張らないと!

 

「次は私が投げても良いかな?」

 

「……それなら私が早川さんの球を受けても大丈夫ですか?」

 

私も投げようとしたら石戸霞さんが捕手を名乗り出た。

 

「わ、私はそれで大丈夫ですけど……。でも息吹さんは?」

 

「川口さんはこの鏡を見ながらシャドウピッチングをしてもらいます。もちろん左投げでお願いしますね」

石戸霞さんは例の如くどこからか大きめの鏡を取り出した。シャドウピッチング用のやつかな?

 

「わ、わかりました!」

 

息吹さんはそのままシャドウピッチングを、石戸霞さんは私から18・44メートル離れた位置でミットを構えている。これは投げろという事で良いんだよね?

 

(二宮と山崎さん以外に投げるのは初めてだけど、なんだろう?妙な安心感がある……)

 

私は振りかぶって石戸霞さんのミット目掛けて投げる。

 

 

ズバンッ!

 

 

(ふんふむ……)

 

む、無言が怖い……。

 

(朱里様の投げた球はただ受けるだけでは伝わりにくい……。これは茜様の指導の賜物でしょうね。打者が立っていて初めて球の凄さが伝わる部類の……茜様が高校時代やとても短いプロ野球選手時代に得意としていた球……。母娘の血ね)

 

「どんどん投げてもらっても大丈夫ですか?」

 

「わ、私は大丈夫です」

 

な、なんだろうか?石戸霞さんと話すと妙に緊張する……。昨晩にあんな話をしたせい?

 

(息吹さんがあれだけ成果を出しているんだ……。私も負けられない。更なる成長の為にも、新越谷のエースになる為にも私は変わらなきゃいけないんだ!)

 

(不味いわ。朱里様からプレッシャーを中心とする負の感情が漏れ始めている……。精神面で朱里様のケアをした方が良いのかしら?それともお祓い?小蒔ちゃんや他の六女仙の子達にも相談しないといけないわね)

 

石戸霞さんから視線を感じる。昨日感じた視線と同じものを……。

 

(もしかして私は母さんと比べられているのかな?母さんは母さんで、私は私なんだ。早川茜の娘としてじゃなくて早川朱里として私を見てよ!)

 

(!?……負の感情が強くなった。これは本格的に不味いわね)

 

負けられない……!負けたくない……!何かに押し潰されそうだよ。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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