山崎さんをピッチャーライナーに抑えてあと1人。最後に打席に立ったのは……。
「よろしくね朱里ちゃん!!」
雷轟遥。私が野球を続ける大きな切欠になった人間だ。
(彼女が朱里ちゃんを影で支えていた子だね。和奈ちゃんにも負けない力強さと威圧感を感じるよ……)
身長が清本よりも大きい分フィジカル方面で雷轟が上回っている。今は清本が最強のスラッガーの座についているけど、それは経験の差……。そう遠くない内に雷轟が最強のスラッガーになっても可笑しくはない。
(尤もそれは国内のみの話。海外……それこそ野球王国アメリカには清本や雷轟のような選手は高校生の時点でもゴロゴロいる事だろう)
特にアメリカで活躍している日本人なんてのがもしも日本に戻ってきたなら国内最強の高校生になっているかも知れないしね。
(バッセンで見たあのパワーを、あの飛距離を、あの鋭いスイングを……。私はあれに惚れて雷轟を将来有望な選手に育て上げて、六道さんの前のシニアの監督を見返してやろうとも思ったっけ?)
肩で息をしているのを整える。ロジンを使って球が滑らないようにしてっと……。
(いくよ雷轟……!)
私は六道さんが構えている内角高めにストレートを投げる。
「…………!」
カキーン!!
しまっ!?
『フ、ファール!』
(ギ、ギリギリ切れたか……。それにしても強くなった清本にも負けず劣らずのスイングスピードだ。極限まで球筋を見極めてから打ってるし、これだから雷轟は厄介なんだよ)
(凄い……!この前見た時よりも成長してる!今すぐにでもプロに推薦したいくらいだよ!!)
(少し振り遅れた……。やっぱり朱里ちゃんは凄いや。でも次はホームランだよ!)
今この雷轟を打ち取れるか……それによって私が今後清本を打ち取れるかどうかも変わってきそうだ。私の持てる力の全てを尽くして抑えてやる!
「あ、あの朱里の球をピンポン球みたいに場外に飛ばすなんて……!」
「思えば初めて遥ちゃんのバッティングを見た時からこんな感じだったんだよね」
「ね、凄いよね」
「私の目指すスラッガー像……!遥さんを見ていれば自ずと私にとってもなにか見えてきますね」
「私も遥ちゃんと勝負したくなってきたよ!」
「凄ーい!あの早川さんの球をいとも簡単にあそこまで飛ばすなんて!あの子のサインもほしくなってきたよー!」
「出た。豊音のミーハー……。でも確かに凄いね。胡桃やシロも見に来れば良かったのに」
「エイスリンさんも都合が合えば良かったのにねー」
「まぁあの子達の分も私達が目に焼き付ければ良いよ」
「そうだね」
カキーン!!
『ファール!』
(くぅ……!私が投げる球をことごとく場外に飛ばしてくれちゃって)
お願いだから新越谷に戻ったら自重してね!
(しかしそろそろ持ち球が尽きてきた……。そろそろ抑えないとヤバいな)
(朱里ちゃんの持ち球があといくつあるのかは私にはわからない。どんな球でも全力で迎え撃つよ!)
(この2人は将来の球界を救いそうな逸材だね……。もちろん他にも数多くいるけど、この2人はその上をいくよ。果たしてどっちが勝つのかな?)
私がここまで野球を続けられるのは雷轟のお陰……。だから全力を尽くして投げているのに、それをも雷轟は弾き飛ばす。
(こんなに大きく成長しちゃって……!)
私は雷轟と出会ったばかりの頃をふと思い出した。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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