私と雷轟が出会ったのは3年前……私が川越シニアに上がって、日々のリハビリを頑張っているその最中に……。
(野球だぁ……!)
なんか目をキラキラさせている少女がいた。後の雷轟遥なる人物である。
(もしかして入団希望者?それなら監督に話がいっている筈だけど……)
「……君、もしかして一緒にやりたいの?」
「うんっ!」
わぁ……。良い笑顔。そんなにやりたいのね?
「……ちょっと監督に呼び掛けるから、待ってて」
「ありがとう!」
またまた良い笑顔……。
雷轟の入団テストとして簡単な守備練習とその後に打撃を見る事になるんだけど……。
「あっ……!?」
正面のゴロに対してトンネル、ライナーに対しては捕球しきれず弾いてしまう。
(うーむ……。上半身はよく鍛えられてるけど、下半身がそれについていっていない。守備は駄目そうでも打撃方面は期待出来る……かな?)
「不合格!!」
えっ……?まだ彼女の打撃を見てないのに……。
「これだけの醜態を晒しているんだ。打撃を見るまでもない。帰ってくれ」
「そ、そんなー!?」
(あらら……。気の毒に)
ちなみにこの一件の直後くらいに川越シニアの監督が六道さんに代わった。
「残念だったね。まぁ見たところ初心者みたいだし、仕方がないかもね。うちのチームは余り初心者を歓迎していないみたいだから……」
「うう……」
め、滅茶苦茶落ち込んでる……。
「明日も良かったら来てよ。うちに入りたいなら監督を見返したいよね?私が練習メニューを組んできてあげる」
(彼女の上半身は大丈夫そうだから、下半身を……足腰を鍛えるメニューを中心に……私が課題としているメニューと同じ感じでいけそうかな?)
私がそう言うと雷轟は嬉しそうにお礼を言った。
(……いずれ私は野球を止めるかも知れないし、その前に選手を1人……私の意思を受け継いで野球を楽しくやってほしいものだね)
そして週末。
「バッセンは初めて?」
「う、うん……」
まぁ初心者だし、妥当と言えばそうなのかな……?
「バットを握った事は?」
「素振りなら毎日してるよ!」
雷轟は元気そうに答える。確かに握りはかなり様になっている。監督はもったいない事をしたね。
「じゃあ試しに打ってみようか。じゃあこの1番遅いケージから……」
私がそう言うと雷轟はケージに入ってバットを構える。
(左打ち……。構えは神主打法。ホームランを打ちたいって言ってたらしいし、昔のスラッガーである落合プロを意識してるのかな?随分昔の映像を見たんだな……)
マシンは投球フォームに入っているが、雷轟が打つ気配はない。見逃し。
「…………!」
(えっ……?)
雷轟の目が鋭くなった。その刹那……。
カキーン!!
(タイミングバッチリ……)
「当たった!ホームランだ!」
打球はそのままホームランゾーンに当たり、ホームランとなった。な、なんて打撃だ……!
(これはとんでもない逸材だ……。監督がバッティングを見る前に彼女を落としたのがとてももったいない)
ボロボロな守備を帳消しに出来る程のスイング……。ケージの球は1番遅いものだけど、あのスイングスピードは清本に匹敵するもの……。
(これが素人だって……?ははは!)
雷轟の行く末を見守りたくなったよ。
(野球を止める……?この子の頑張り、努力を見たい。中学は無理でも、高校に入ったらこの子と野球がしたくなった……!)
私は野球を止めようと思ったのが、飛んでいった。リハビリを頑張ってまた野球をしたい!
カキーン!!
『ファール!』
(これで何球目だろうか……?初めてバッセンで雷轟のバッティングを見たあの時から私は野球を続ける事が出来たんだよ)
(やっぱり朱里ちゃんは凄い……。思えば私がここまで野球を出来るようになったのも朱里ちゃんのお陰なんだよ?)
(雷轟がいたから……)
(朱里ちゃんがいたから……)
((私は野球が楽しくて仕方ないんだよ!!))
ありがとう……。雷轟!
カキーン!!
私の渾身の球は雷轟に打たれた。
『ホームラン!』
今の球は私にとっても最高の球だった……。それをスタンドに運ばれるとはね。
(まだ2年ある……。雷轟の成長を見守らせてもらうよ)
私と雷轟の1打席勝負は雷轟の勝ちで終わった。負けても気分が清々しいと思ったのは久し振りだよ。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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