最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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世界最高の日本人打者

「真深ちゃんが……」

 

「日本人最高のスラッガー!?」

 

私がそう言うと2人は凄く驚いていた。自分の知り合いがそんな風に言われると驚くものなんだね。武田さんに至っては従姉妹な訳だし……。

 

「2人……というか武田さんはその辺りの事を上杉さんから聞いてないの?」

 

「う~ん……。真深ちゃんってあんまり自分の野球を話さないからなぁ」

 

「小さい頃は3人で野球してたけど、その時の真深ちゃんはヨミちゃんの投げる球をぽこぽこ打ってたってくらいしか……」

 

ぽこぽこって……。まぁ小学生になる前くらいの野球ならそんなものなのかな?それに武田さんは野球を辞めようとしていた時があったらしいし、上杉さんもその辺りは気を遣って会話をしているのかも。

 

(リトルリーグに入れるのは日本もアメリカも変わらず小学4年生からの筈……。上杉さんもその頃に引っ越したのかな?)

 

「……私目線で話すと上杉さんはアメリカのリトルシニアでは5番を打っていた。清本や雷轟レベルの長打力を持ちながらも、外野の守備も高水準。肩も強いし、私が知る限りだと彼女よりも上のスラッガーは日本人の中にいないだろうね」

 

清本や雷轟以上の打撃センスを持ち合わせている上杉さん。ここ3年は彼女の実力を生では見ていないけど、最近では清本も雷轟も負けていないだろう。

 

(まぁ二宮から去年と一昨年のシニアリーグの世界大会で彼女が活躍している映像をもらっているけど……)

 

その映像を見るだけでも伝わってくるよ。上杉さんのレベルの高さが、普段の努力が……!

 

「はぁ~。なんかこうして聞いてみると真深ちゃんが雲の上の人みたいに感じるよ……」

 

「そうだね。私も今日初めて知ったもん」

 

本当に上杉さんはその辺りの事を武田さんに気遣って話していないんだろうね。

 

「でも最高のスラッガーならなんで4番を打ってないんだろう?」

 

「理由は簡単だよ。彼女よりも優れたスラッガーがいたから。上杉さんはあくまでも日本人最高ってだけで、彼女よりも本塁打率が高い選手が4番を打ってるよ」

 

「も、最早別次元の会話だね……」

 

「名前なら聞いた事はあるんじゃない?クリス・ボストフ……という選手を」

 

私がそう言うと山崎さんが反応する。武田さんは首を傾げているみたいだけど……。

 

「聞いた事があるどころかテレビでも見たよ!女子野球史上最強のホームラン打者!!」

 

「そう。そのボストフ選手だね。彼女が上杉さんのいたリトルシニアで不動の4番打者。川越リトルシニアでいうところの清本と同じ立ち位置だよ。ポジションも一緒だし」

 

まぁあっちは清本とは違ってちっさくないし、それどころか上杉さんよりも大きいもんね……。

 

「……まぁ少し話が逸れたけど、上杉真深さんは私の知る限りでは日本人で最高のスラッガーって事だよ」

 

(そしてそれは清本が目指しており、雷轟の模範ともなる選手だとも思っている……)

 

そういえば上杉さんは3月のシニアリーグの世界大会でアメリカ代表として出場するんだよね。今年はボストフ選手を始めとする『魔の世代』と呼ばれている私達より1つ上の年齢の選手達がいないから、そういった意味でも日本代表の勝率は上がるだろう。

 

「……さてと、話を聞いている内に、なんか投げ込みをしたくなったな」

 

「私も!……でも今日はグラウンドが使えないんだよね?」

 

「私がリトルシニア時代によく自主練していた河川敷があるから、そこでやるつもりだよ」

 

「私も行っても良い!?」

 

「もちろん構わないよ」

 

「じゃあ私も行こうかな。2人の球を受けたいし」

 

……という事で私達3人は練習着に着替えて河川敷へと向かった。

 

そしてその翌日に……。

 

「真深ちゃんが朱里ちゃんと会って話がしたいって!」

 

「なんで?」

 

「年末に帰ってくるから、その時によろしく!」

 

あの?武田さん?私まだ良いって言ってないよ?

 

「あっ、私も行っても良い?」

 

「もちろん!」

 

なんか年末に上杉さんと会う事になりました……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……って話を今日したから、真深ちゃんにも話そうって思って』

 

「そう……。ヨミが早川朱里さんと切磋琢磨していたとは知らなかったわ」

 

『あれ?言ってなかったっけ?』

 

「珠姫以外は具体的な名前を出してなかったわよ」

 

『そ、そうだっけ!?』

 

「そうだったわ。全く、ヨミったら……」

 

(去年と一昨年のシニアリーグでは見掛けなかったから、野球を辞めたんじゃないかと心配したけれど……。そんな事がなくて良かった)

 

『真深ちゃんから見た朱里ちゃんってどんな投手だったの?』

 

「そうね……。たった1度きりの対戦だったけれど、その中で私が思ったのは『早川朱里は過去最高の投手』だったわ」

 

『……真深ちゃんからの評価も高いんだね』

 

「も?」

 

『朱里ちゃんも言ってたよ。真深ちゃんは『日本人最高のスラッガー』だったって……。それを聞いてから真深ちゃんが雲の上の存在になった気分だよ』

 

「ヨミ……」

 

『それと同時に真深ちゃんが……従姉妹がそっちでも活躍してるってわかったら嬉しくなっちゃった!』

 

「……ありがとう」

 

(それに早川さんが私の事をそんな風に思ってくれていたなんてね。これからはより一層練習に励めそうだわ)

 

『そういえば今年も年末にこっちに帰ってくるんでしょ?』

 

「ええ、そのつもりよ」

 

(久し振りに珠姫にも会いたいわね。最後にあの子に会ったのは小学校の頃だったし。それに早川さんとも……。ヨミと行動してたらまた会えるかしら?)

 

『その時に朱里ちゃん達とも会っていきなよ!』

 

「……良いのかしら?」

 

『もちろん!積もる話もあるだろうし』

 

「ふふっ、なにそれ……?」

 

(とはいえ願ってもない事ね。3月の世界大会で会えるかもわからなかったし……)

 

『あっ、もうこんな時間だ』

 

「……本当ね。ヨミとの話が楽しくてすっかり時間を忘れていたわ」

 

『じゃあまた電話するね!』

 

「ええ」

 

(次の帰省で早川さんと会えるのね……。今から楽しみになってきたわ)

 

「次に対戦する事があったら、その時は私が勝つわよ。早川さん♪」

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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