大会まであと3日。練習帰りに私と雷轟はバッセンに寄っている。
カキーン!!
(相変わらず飛ばすなぁ……)
最早日常だよねこれ。
「ふぅ……」
「お疲れ。久々のバッセンだけど、どうだった?」
「良い感じだよ!打撃調整にはもってこいだよね」
今回は雷轟の打撃調整をメインに、フォームの確認や簡単な速球対策として私も利用しに来た。
「次は朱里ちゃんだね。頑張って!」
「まぁ程々に」
私は別にスラッガーではない。野手としての私はどちらかと言うと繋ぐタイプの打者に分類されるだろう。
カンッ!
私は飛ばすのではなく、確実に当てる事を重視している。金原や友沢のように安定して内野の頭を越すバッティングが出来るようになりたいところだ。清本もほぼ同じ事が出来るらしいけど、あれは例外。
(それに橘も打撃方面で大きな成長を遂げており、梁幽館でも上位打線を任せられるレベルになっているって二宮が言っていたしね……)
というか梁幽館で上位打線を任せられるレベルって川越シニアでもクリーンアップクラスだからね?いつの間にそんな成長してたの……?
カンッ!
(今のは外野までは飛んでいったけど、梁幽館の二遊間の白井さんと高代さんや、三森3姉妹、そして友沢が相手だったら多分捕られてるな……。しかし奥に飛ばせば前進守備をしている外野手の守備範囲内になりそうだし)
梁幽館戦で私がやられた守備シフト。あの時の私はファーストの頭を越したけど、それをカバーするかのようにライトが捕球体制に入っていた……。この辺りの飛距離もコントロールし、調整しないといけないのに、これが中々に難しい。金原や友沢なら楽々こなすんだろうなぁ……。
カンッ!
今度は前過ぎた。定位置の内野に処理されてしまう……。
(秋大会までになんとかしようと思ったけど、これは難しいかな……)
仕方ない。私はピッチングの方に集中して、打撃の方は状況に応じて臨機応変に対応していこう。
「あれ?朱里ちゃんはもう良いの?」
「私の方は少し確認したかっただけだし、あとは雷轟に譲るよ。初めてバッセンに来た頃よりは大分マシになったけど、まだまだフォームが不安定な部分が見えるからね」
「はーい」
清本や上杉さんは長年培ってきた打撃技術で今の地位まで登り詰め、あれ程のパワーを身に付けた。雷轟は筋トレの量が並の何倍も多く、そこから平均よりも遥かに上のパワーを身に付けた。
前者と後者の差は身に付けた切欠が野球チームに入ってからの練習であるか否か。
(逆に言えば雷轟が清本や上杉さんに劣る一端の理由がコロコロと変わる雷轟の打撃フォーム……。1つに絞る事が出来れば2人との差はかなり縮まる筈)
臨機応変に対応してアドリブでフォームを変えて相手投手を上手く攻略するのが今の雷轟のスタイルだから、もしもフォームを1つに絞ればその長所もなくなる……。雷轟に対しての解答がかなり難しい。
カキーン!!
今打ったフォームだってこれまでとは違うフォーム。本当に色々な打撃フォームを身に付けようとしているの……?
(……これ以上は雷轟自身が見つけるべきなのかもね。雷轟がなりたいと言っていた最強のスラッガーになる為の解答を)
もしかしたら今みたいに様々なフォームを実践してるのだって雷轟なりの最強のスラッガーへのアプローチかも知れないしね。
(私は私で誰にも負けない為にもっと頑張らないと……!)
まずは1番の課題であるスタミナ……だね。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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