最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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橘はづきの成長

試合観戦をしていると芳乃さんからLINEが来た。

 

『私達の試合は無事に勝利で終わったよ!私達はこのまま学校に戻るけど、朱里ちゃん達がどうするかは任せるね!』

 

「芳乃から?」

 

「うん、試合にも勝ったみたい」

 

「よ、良かったぁ……。星歌達が抜けたせいで負けた……なんて事があったらどうしようかと思ったよ」

 

流石にそんな事は言われないと思うけどね……。それにコールドゲームを決めてたみたいだし、その心配は杞憂だったよ?

 

「了解。こっちはもうすぐ第1試合が終わるところだよ。観戦結果を3試合分まとめておくから、帰ったら見せるね……っと」

 

芳乃さんへの返信も済ませて試合観戦に戻る事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第2試合である秋津高校と県立浅間台高校との試合が終了した。浅間台が1対0で勝利。

 

「いや~、接戦だったね!」

 

「どっちが勝っても可笑しくなかったね」

 

金原と清本が言うようにこの2校の対戦は接戦で、試合レベルも高かった。

 

「どっちの高校も守備が上手かったわね。流石Aランクの高校っていうか……」

 

「星歌的には息詰まる投手戦が熱かったって思うな。あんな球を投げられたら……って思う時があるよ。第1試合の打撃戦も凄かったし……」

 

息吹さんも渡辺もそれぞれ第1試合、第2試合を通して色々メモを取っていた。

 

「さて、いよいよですね……」

 

「そうだね~。正直アタシ達はこれをメインに来たようなものだし☆」

 

二宮と金原が言うように第3試合の組み合わせはかなり注目されている。

 

「梁幽館高校VS熊谷実業……。埼玉県大会屈指の見所よね」

 

「どっちが勝ち上がってくるかわからないけど、間違いなく両方手強いね……」

 

熊谷実業は久保田さんが抜けたものの、打力は未だ埼玉随一だ。夏休みに練習試合をした時もその打力は健在だった。

 

対しての梁幽館は中田さんや陽さん達を始めとする有力な3年生が抜けた。その穴を埋めるべく、吉川さんや小林さん、西浦さんと高橋さんを中心にチームを組んできている。それに……。

 

「今日の試合は確かはづきちゃんが投げるんだよね?」

 

「大事な一戦を任されるなんてはづきも成長してるね~」

 

「最後にはづきさんの投球を見たのは7月末……。あれからも更に成長しているに違いありません」

 

7月に見た橘は投球フォームがサイドスローからスリークォーターになっていた。正直それだけでもかなり厄介になっているけど、更なる成長を考慮すると……。

 

(二宮はもしかしたら今の梁幽館のエース候補にもなっているかも……と言っていた。そのピッチングがあれからどれだけ成長しているか見せてもらうよ)

 

「あっ、試合始まるよ!」

 

清本の声に私を含めた皆が試合の方に注目する。梁幽館は先攻のようだ。

 

(本当に上位打線を任されているんだ……)

 

電光掲示板を見ると梁幽館の1番が橘になっていた。

 

(シニアまでの橘は金原や友沢、清本がいるとはいえ上位を任せられるレベルではなかった……。恐らく入学してからも相当な下積みをしてきたんだろう)

 

熊谷実業の先発は私達との試合で投げていた人だ。

 

あの人は久保田さん程ではないにしても速球派……。かなり速いから、梁幽館打線といえどもそう簡単には打てない筈。

 

 

カンッ!

 

 

橘は初球から打っていった。その打球は内野の頭を越えてヒットとなった。

 

「今の球は簡単に打てるコースじゃないような……」

 

「それを初球で完璧に捉えてヒットにする橘さん……」

 

渡辺と息吹さんが唖然としていた。正直私も驚いている。

 

(今の橘のバッティングは私自身が課題としてるもの……。それを簡単にやってのけるなんて……!)

 

まさか二刀流でも目指すつもりだろうか……?橘の、梁幽館の練習方針がわからなくなる。

 

その後梁幽館は橘のヒットを皮切りに打線が爆発し、この回だけで4点をもぎ取った。

 

『アウト!』

 

「これでスリーアウトですね」

 

「埼玉随一の打撃チーム相手にはづきちゃんがどんなピッチングをするのかな?」

 

「……なんかそれ以上の打撃チームである洛山で4番を打っている和奈がそれを言うと煽ってるようにしか聞こえないな~」

 

私もそう思う。さて、橘のピッチングの方は果たして……?

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

いきなり決め球のスクリューを連投。先頭打者を三振に打ち取った。

 

「相変わらずはづきの投げるスクリューはエグいねぇ。アタシは左打ちだから、あの手元をに来る感じがどうも苦手だな~」

 

「それにそのスクリューを三段階に分けて投げてるから、狙いを絞るのも難しいよね……」

 

「スクリューそのものにフォーム等の違いはありませんからね。はづきさん曰く握りを少し変えている……という話ですが、余程の視力がない限りは違いがわかる事はないでしょう」

 

(そうなんだよね……。そこが橘の投げるスクリューの厄介なところだ。1番変化が大きいスクリューは球速が遅いけど、カーブと同じくらいだし、1番速くて変化の小さいスクリューはスライダーと同等の球速だし、三段階の内の真ん中のスクリューは最近覚えたらしい変化球と同速……。他の球に狙いを絞るのは清本の言うように難しい)

 

しかも最近覚えた変化球が具体的になにかわからないしね。わかるのは真ん中のスクリューと同じ速度だという事だけ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

「え、えっと……。確か今は最終回だよね?今ので何個目の三振だっけ?」

 

「……今ので丁度20個目です。それどころか熊谷実業の選手は誰1人としてはづきさんの球に当てられていません。加えてはづきさんは全ての打者を3球で抑えています。四死球も一切ありませんね」

 

あの熊谷実業相手に橘は完全試合を成し遂げようとしていた。ヤバくない?

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

嘘でしょ?本当に完全試合を叩き出したよ……。

 

「はづきさんの持つ変化球を駆使して熊谷実業相手に63球で決めて、アウトは全て三振の完全試合ですか……」

 

「わ、私達とんでもない場に居合わせてない!?」

 

「あ、あのスクリュー打てるかな……?」

 

(正直熊実打線が荒く、変化球に弱いのも原因の1つだとは思うけど、まさか完全試合にする程とは……)

 

橘のピッチングは全部映像に収めているし、皆に良い手土産が出来たと考えるべきなんだろうか……?

 

何れにせよ強力なライバルが更なる成長を遂げたという事が今回の試合でわかった。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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