今日は2回戦。対戦相手は夏大会の1回戦で戦った影森高校である。
「う~ん……」
「どうしよっか……?」
「あれ?朱里ちゃんと芳乃ちゃんはなにを悩んでるの?」
私と芳乃さんが頭を捻らせてると雷轟がこっちに来た。
「今日のオーダーとそれと一緒に決める偵察部隊だよ」
「影森はうちにとってもそこそこ因縁のある相手だからね。誰をどういう風に起用するか悩んでるんだよ」
「ほへー、なんか大変そうだねぇ……」
本当にね。夏大会の新越谷と影森との試合は良くも悪くも互いにとって刺激的なものだった。
影森高校は息吹さんのアンダースロー(中山さんのコピー)を見せた事によって相手は動揺し、挙げ句その息吹さんに死球を放つはめになるし、藤原先輩だって投球テンポを影森の早打ちに崩されたりしている。
向こうからすれば中山さんが必死で編み出したピッチングを息吹さんのセンスと山崎さんの技術であっさりと真似されて、中山さんからすれば苛立ちの対象であり、自身のスタイルを崩されてコールドゲームになってしまう。
……とこのように双方に少なからず因縁らしきものがあるのだ。
「……決めた!」
どうやら芳乃さんが今日のオーダーと偵察担当を決めたようだ。
「試合時間も近いし、すぐに発表するね!」
対影森戦のオーダーは……。
1番 ファースト 中村さん
2番 セカンド 藤田さん
3番 ライト 川原先輩
4番 サード 雷轟
5番 センター 主将
6番 キャッチャー 山崎さん
7番 ショート 川崎さん
8番 レフト 息吹さん
9番 ピッチャー 渡辺
「影森戦はこのオーダーで行くからね!」
「他試合の偵察は藤原先輩、照屋さん、大村さんの3人でお願いします」
「任せてください」
「偵察ってなんだかワクワクします!」
「そっちにも良い報告が出来るように頑張るわ」
3人共やる気のようだ。特に大村さんは偵察という言葉に張り切りを見せている。
(今回は上級生を1人連れて、先輩の意見というのも聞いておこうという理由で藤原先輩を選んだって芳乃さんは言ってたけど……)
来年の夏に影森戦があったら、その時は先発投手として指名しようかな……なんて思うくらいには申し訳なく思ってしまう。藤原先輩にとってもケリを付けたい相手だったらだけに余計に……。
「朱里ちゃん、私は自分の意思で偵察を名乗り出たのよ」
ふと藤原先輩がそのように言った。あれ?もしかして考えている事を読まれた……?
「確かに私のピッチングでは影森の打線を抑えきる事は出来なかったし、強くなった私の力を影森に見せ付けたいとも思ったわ。でもそう思っているのは私だけじゃないと思うし、影森戦の相性とかもあるもの。だから朱里ちゃんと芳乃ちゃんが決めた事に皆も反対なんてしないわ。偵察の方も上級生の意見があった方が良いって芳乃ちゃんが言っていたし、私で役に立てるのなら、それはとても光栄な事だもの」
「藤原先輩……」
この人は本当に凄い人だ。打力もクリーンアップクラスだし、新越谷の投手の中では数少ない速球派で立派にやっているしで肉体的にも、精神的にもこの新越谷で大きく成長していると思う。
「ありがとうございます」
「どういたしまして……で良いのかしらね?じゃあ白菊ちゃんと文香ちゃんを連れて行って来るわね」
「はい!」
やはり藤原先輩は堂々としているな。なんか色々な人の影響を受けていそうだけど……。
「……私達も理沙先輩達に良い報告が出来るような試合をしよう!」
『おおっ!!』
芳乃さんの号令で私達の気合が入る。いよいよ2回戦……影森戦の開幕だ。
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