最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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県大会2回戦!新越谷高校VS影森高校③

「新越谷の先発の子、アンダースローだったね」

 

「そう……みたい。でも関係ない。私の、私達影森の為に培ってきたフォームは猿真似とは違う……。夏大会のような無様な姿は見せないよ」

 

「そうだね。それに……」

 

「うん……。『あの人』が私の成長のヒントをくれた。その分まで頑張りたい」

 

「新技は1回戦では使わなかったけど、新越谷が相手なら必ず使わなきゃいけない時がくる」

 

「わかってる……。だから必要そうになったらそっちで合図を出して?」

 

「……わかった」

 

(影森の為にも、『あの人』の為にも、頑張らなくちゃ……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2回は両校3人で抑えて、3回。一巡して先頭は中村さんから。

 

「影森は一発が出る可能性が高い人間を歩かせている傾向にあります。初回はランナーなしでクリーンアップに回ってきたから、三者連続で歩かされた……。でも中村さんか藤田さんが塁に出る事が出来れば、川原先輩か主将には勝負してくる可能性が高くなります」

 

「つまり私か希が塁に出る必要がある……って事ね」

 

「そうなるね。中村さんはいけそう?」

 

「球種は今のところ夏とは変わっとらんし、向こうの守備を越えればいけると思うよ」

 

やはりそうなるよね……。

 

(それにしてもなんか嫌な予感がするんだよねぇ……。気のせいだったらそれに越した事はないんだけど)

 

私が感じた嫌な予感が当たる事になるのにこの時の私はまだ気付いていなかった。

 

「希ちゃーん!頑張ってー!!」

 

芳乃さんを中心に続々と中村さんを応援する。二巡目以降は各々に任せる事にする。中村さんの場合は下手な指示を出すよりも、本人に任せた方が良いからね。

 

(皆の期待に応えたい。私が狙うのは……!)

 

中山さんが1球目を投げた。コースはまたもや真ん中付近のやや低め。

 

(カウントを取りにくる変化球!)

 

 

カンッ!

 

 

初球を捉える。その打球は……!

 

「内野抜けたぞ!」

 

「ナイバッチ~!」

 

「流石希ちゃんだね!」

 

中村さんはうちの中で安打率が1番高い。だからこそ新越谷のリードオフガールなのかもね。永水での合宿を経て更に頼もしくなった。

 

「あれ?もしかして菫ちゃんと光先輩も続けば私も勝負してもらえるのでは……?」

 

「期待してるところ申し訳ないけど、例え満塁になっても雷轟は歩かされるだろうね」

 

「なんで!?」

 

君が規格外のスラッガーだからだよ。

 

(さて……。手堅く送りでいくかどうかだね。基本的な指示出しは芳乃さんや藤井先生に一任してるけど、もしもの時は力を貸してほしいって言ってたし、私なりに策を考えてみる必要もある)

 

芳乃さんはゲッツーだけは避けるように指示を出していた。藤田さんはバントの構えを取っている。そして中山さんが投球フォームに入った瞬間……。

 

(走った!?)

 

中村さんがスタートを切り、藤田さんはバントの構えを解いて打ちにいく。エンドランだ。

 

 

カンッ!

 

 

影森の内野陣は前進守備。恐らく藤田さんのバントか、浅い当たりを期待していたのだろう。しかし……。

 

(合宿の成果が出てきたね。あの当たりなら仮に捌かれたとしても二塁は安定。更に運が良かったら藤田さんも生き残れる)

 

内野に転がる鋭いゴロ。影森の守備レベルなら捌けは出来ると思うけど……。

 

『セーフ!』

 

二塁の中村さんはセーフ。

 

『セーフ!』

 

藤田さんも生還。これでノーアウト一塁・二塁。内野抜けてたら中村さんは三塁を狙えたけど、とにかく先制点のチャンスとなった。

 

(これなら最低でも川原先輩とは勝負しなくちゃいけなくなる。中山さんがなにを隠しているかは知らないけど、勝つのならここでそれを見せないといけないよ……!)

 

影森バッテリーがどう出てくるか……。それによってこちらも色々と考えていくとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ、今のは上手いね~。相手の守備シフトの上をいく当たりだったよ」

 

「バントの構えを見せて、その裏を欠くエンドラン……。堅実な野球をする白糸台は少なくともこの局面では出来ません」

 

「新越谷は最近永水と合同で合宿をやったって話は聞いてたけど、今のもその成果なのかな?少なくとも前までのあの打者にあそこまでのパワーはなかったし……」

 

(しかしこれで終わる程影森も甘くはないでしょう。本当の勝負はここからですよ。朱里さん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノーアウト一塁・二塁……」

 

「4番をずっと歩かせる事を考えると次の3番は勝負しなくちゃいけない……。どうする?」

 

「……ここで使う」

 

「……まぁそうなるよね。『あの人』と最後に会ってからの精度はどう?」

 

「正直まだ8割って感じ。未完成の技を使うのは好ましくないけど、それじゃあ新越谷には勝てない」

 

「そっか……。それなら私は貴女のボールを受けるだけ。思い切り投げて」

 

「うん……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「光先輩、チャンスですよ!」

 

「そうだな。ノーアウト一塁・二塁なら少なくとも光は敬遠出来ない」

 

「先制点取りましょう!」

 

「うん、行ってくる」

 

3番の川原先輩が左打席に立つ。

 

(いくよ……!)

 

(うん……!)

 

中山さんが構えて投げる。

 

(えっ……!?)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

(一応上手く投げられている……!)

 

(よし……!)

 

今の球は……まさか!?

 

「な、なんだ今の球は!?」

 

「下から上にホップしていったような……!」

 

(あれは間違いない。母さんの決め球だった『燕』と呼ばれていたストレート……!)

 

それを中山さんが何故……?

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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