偵察から藤原先輩達が戻ってきて、今日はそのまま解散となった。私は渡辺と帰路についている訳だけど……。
(どう声掛けしたら良いものか……。直接聞くのはなんか違う気もするし……)
私が頭を捻らせていると背後から声が聞こえた。
「星歌?」
私が知っている中で渡辺の名前を呼び捨てにしているのは金原と友沢の2人。しかしこの声はどちらでもない。だとすると……。
「やっぱり星歌……。久し振り」
「れ、蓮華ちゃん……」
「あっ、早川さんだ」
志木蓮華……。前に言っていた渡辺の幼馴染であり、柳大川越でスタメンマスクを被っているまさに浅井さんの後釜とも言われている選手だ。というか朝倉さんもいるし……。
「小学校以来だね」
「う、うん……。ち、中学からは疎遠になっちゃってたから……」
この2人……というより渡辺から気まずい空気が出てるね。
(もしかして渡辺がプレッシャーを感じる理由って……)
「今日の試合、見てたよ星歌」
「み、見ててくれたんだ……」
「朝倉さんと一緒にね」
エースの朝倉さんは柳大の……特に1年生の間で物凄く人気があると聞く。そんな朝倉さんと2人きりでいるってとても信頼されているよね。偵察が目的で、2人がバッテリーとはいえ……。
「星歌のピッチングを最後に見た時よりとは比べ物にならない程に成長していて驚いたよ」
「ありがとう……!」
「でも……」
一呼吸置いてから志木さんは続きを口にする。
「今のままじゃ自分達には通用しない……と断言するよ。あんなピッチングではね。捕手がよくそれで着いていけたものだね」
「……っ!」
志木さんの表情からは慢心の気配すらない。本当に影森戦での渡辺の球を打つ自信があるんだろうね。
「星歌は、星歌は……」
志木さんの一言で渡辺が震えていた。その一言が切欠で更にプレッシャーに押し潰されて、それが怪我に繋がる……。リトルでの私と一緒だった。
「落ち着いて渡辺」
「あ、朱里ちゃん……」
「確かに今日のピッチングではこれから先の県内の強豪相手や全国では通用しない。だからと言って焦りを見せてしまったら本末転倒だよ」
「星歌が……焦ってる?」
「川越シニアでミニゲームをやっていた時からその片鱗は見えていたよ。だから次の登板までには心に余裕を持っていこう」
「朱里ちゃん……」
渡辺に言いたい事は全部言った……。あとは本人次第だね。
「……という訳で柳大川越と当たるのなら決勝戦になるけど、その時は渡辺の本来のピッチングを見せるよ」
「……貴女は早川さんでしたね?星歌から聞いているとは思いますが、星歌の幼馴染の志木蓮華です」
「よろしく。凄いよね。柳大川越のスタメンマスクを被ってるんでしょ?」
あとはクリーンアップも打っていたりしてるしね。本当に浅井さんの代わりになってるんだなぁ……。
「……話を戻すけど、そっちと戦う時は今日の影森戦の時よりも更に成長した渡辺を見せる。その鼻っ柱をへし折ってあげるね」
「……それは宣戦布告と受け取っても?」
「ご自由に」
まぁチームメイトを悪く言われるのは私としても我慢ならないからね。これくらいはね?
「……朝倉さん、行きましょう」
「はいはい。じゃあ2人共、当たったらその時を楽しみにしてるね」
朝倉さんは少し早足で歩いている志木さんを追い掛けた。3年生が引退して部活の中では最上級生になったからか、冷静で、貫禄がある人だった。
「……朱里ちゃん」
「どうしたの?」
「星歌は……もっと強くなりたい。蓮華ちゃんの言う通り今のままじゃ通用しない。それに朱里ちゃんの言う通りそれでプレッシャーを感じてる。どうすれば良いのかな?」
私もつい最近までは今の渡辺と同じ立場だった。それでも乗り切れたのは自身のプレッシャーを受け入れ、その時に溜まるストレスを適度に発散させているから。
(まぁ私の場合は他にも色々あるけど……)
「……多分今の渡辺に足りないのは精神力かな。技術方面は今の練習でも充分に身に付いている筈だから」
「精神力……」
「あとは配球とかもあるだろうけど、その辺りは山崎さんとも話し合わないとね」
「……うん。ありがとう朱里ちゃん」
どうやら少し落ち着きを取り戻したようだ。
(柳大川越と当たるなら決勝……。しかし柳大川越は準決勝で梁幽館とぶつかるんだよね)
朝倉さんや志木さんがいるにせよ、梁幽館には橘や吉川さん達もいる。総合力でどちらが上か……。今の時点では想像すら出来ないよ。
遥「今回から東方魔術師さんが書いている球詠の二次創作である『新越谷の潜水艦少女』から志木蓮華ちゃんが本格参戦!」
朱里「口調とかに違いがないと良いけどね」
遥「蓮華ちゃんが悪役みたいになっているけど、大丈夫なのかな……?」
朱里「まぁ敵チームだし、多少はね?」
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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