今日は3回戦。稜桜学園との対戦の日だ。
向こうのシートノックを見ている訳だけど……。
「ショート!」
カンッ!
ショートに向けた打球を難なく処理をしていた。普通ならそこまで騒がれるようなプレーじゃないんだけど……。
「凄いな……。左利きなのに、楽々と処理してるじゃないか」
「映像でも見てたけど、改めて見ると凄いわね……」
本当にね。しかもセカンドも左利きなのに同等に処理してるから、守備力は並以上になりそうだ。他の人達も上手いしね。
「あの、朱里さん。そろそろ説明良いでしょうか?」
「おっと、そうだったね」
以前稜桜の守備を映像で見た時に大村さんから『何故二遊間が左利きなのは常識外にあるのか』という質問を受けていたのを、私は試合当日に答えるって言ったんだよね。
「野球のセオリーだと左利きの二遊間はまずいないんだよ。打球を捕ってから一塁に投げる動作が大半のセカンド、ショート、あとはサードもかな……?それ等のポジションは右投げの方が圧倒的に速いし、理にかなっている」
一息置いてから、私は話を続ける。
「左投げだと二遊間や三遊間の難しい打球を捕球しても一塁へ送球するには体を反転しないと投げられないから、間違いなく動作が遅れてしまうんだよ」
(にも関わらず反転動作の速さや、後ろ回りで送球する事によって極端にラグを短くするとは……。あれは相当練習してきたね)
『…………』
あれ?なんか皆が私を見てるんだけど……?
「すっかり朱里は説明キャラが板についてきたな」
「解説がわかりやすかったです!」
川崎さんの発言に大村さんが同意している。私ってそんな解説役してる?主将も芳乃さんも首を縦に振って同意してるし……。
「……さて、そろそろ試合が始まります。向こうの守備力に負けないようにこちらも頑張りましょう」
「偵察に行っている3人の為にも勝とうね!」
『おおっ!!』
藤井先生と芳乃さんの声に皆の気合いが入る。夏に全国優勝を果たしただけあって頼もしいね。
「今回はエースと4番が不在のようですね」
「前に朱里が言ってた偵察側に回ってるのかな?」
「遥ちゃんの方は歩かされるかもって考えたら仕方がないのかも……」
「しかし相手チームの二遊間は異質ですね」
「2人共左利きだもんね~」
「生で見るのは初めてかも……」
「それだけでなくバッテリーも左利きです。稜桜学園は左利きの選手が多数いるみたいですね」
私達は後攻なので、皆が守備に付く。
「しまっていこーっ!」
『おおっ!!』
山崎さんの掛け声で再度気合いを入れていた。皆気合い入れ過ぎでしょ……。まぁやる気があるのは良い事だけどね。
(1番は投手の泉さんか……。阿知賀と同じようにエースが切り込み隊長の役割を担っているみたいだ)
こちらの先発は息吹さん。合宿での成長を経て稜桜の人達にどれくらい通用するか……。
(息吹ちゃん、まずは低めにストレートをお願い)
(わかったわ!)
息吹さんが投球動作に入る。今の息吹さんのフォームは息吹さんが自力で身に付けたオーバースローだ。
ズバンッ!
『ストライク!』
「…………!」
(……というか予想以上に凄くなってるね。山崎さんは低めに構えていたのに、ストレートが伸びて少しミットよりも高くいったもん)
(これが合宿の成果……。成長を実感するわね!)
(凄い……。凄いよ息吹ちゃん!)
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
ストレートだけで1番の泉さんを三振。今までの息吹さんだとまず出来ない芸当だった……。
(私も見習わないとね……)
本当に新越谷では学ぶ事が多いよ。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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