じゃんけんの結果、私達は先攻となった。そして今日1番の主将が初球から吉田さんのストレートを捉えるけど……。
「お願い!」
ショートの金子さんのファインプレーに阻まれる。最近ショートの活躍しか見てないと思うの私……。
「上手いわね……」
「ショートの金子さんは姫宮の中でも頭1つ抜けていますね。金子さんと吉田さんが3年生引退後の姫宮を引っ張っているのでしょう」
(でもずば抜けているのはあの人だけ……)
カンッ!
藤田さんの打った打球サードゴロだけど、処理するのがやや遅れている。過剰に庇わない分稜桜よりもチームワークがあると見て良い。尤も稜桜もこれからな部分は見えるけど……。
(それに友沢や三森3姉妹の場合はその守備力を信用、信頼して他の人達は守備に付いている感じがあるけどね)
昨日の美園学院は3姉妹の守備力の高さと守備範囲の広さを信頼して他の内野手は外野寄りに守り外野の守備力を総合的に高くしている。そうなると3姉妹が引退した後の美園学院が気になるところだね……。
『アウト!』
サードの人が慌てるも、金子さんがフォローに入る。こういうチームワークが高いところは後々厄介になるかも知れないね。
「あっちのショートとピッチャー、元新越谷なんでしょ?」
「ああ……」
「不思議ですね。新越谷の同期でキャプテンが2人いるのは……」
「そう……だな」
ふとベンチを見ると川崎さんと大村さんが主将とそんな会話をしている。デリケートな部分だからなるべく触れない方が良いと思ったけど、そんな軽々しく切り込んでも良いのかな……。
「あの投手はどんな感じだったんですか?」
「彼女が投手をやっているのはこの秋大会からだと思うぞ。確か私と同じ外野手だった筈だ」
主将の言うように吉田さんが投手をやっているのは秋大会から。姫宮は1回戦と3回戦の後半に投げていたけど、本来のポジションはセンターの割合が多い。つまりは急造の投手である可能性は高いけど……。
『アウト!』
「あの投手、結構落ち着いているね」
「元々吉田さんは投手に向いている選手だったのかもね。藤原先輩と同じように投手の才が開花している可能性が高い……」
「もしあの2人が新越谷に残っていたらもっと強くなれたのかもな~!」
そうなると今でも全国優勝までしているのに、更にレベルアップするね。……いや、そうなると別のifがあるのかな?例えば私と雷轟が新越谷にいなかったりとか、或いは私と雷轟の存在そのものがこの埼玉にいなかったのかも……。
「でもそれだとあんたは試合に出られないわよ?」
「それは困る!」
確かにそうなると川崎さんがベンチスタートの可能性があるね。……というか不祥事がなかったら部員も今の倍近くはいたかも知れない。
「……気になる?」
「……もしかしたら選択次第では私もあの2人に着いて行っていたのかもなって。私達は運良く夏大会に出られて全国優勝まで果たせたけど、あいつ等は出場停止期間中だったんだよな」
「変なところにこだわるわね。別になんとも思ってないんじゃない?」
「えっ?」
「それに私はそれどころじゃないわ。折角4番投手の夢が叶ったんだから。こんな機会はもう2度とないかも知れないし、この瞬間を全力で楽しむわ」
「……頼んだぞ」
……主将の方は多少金子さんと吉田さんを気にしている感じがするけど、藤原先輩はそんな主将を落ち着かせている。新越谷を引っ張っているのは主将だけど、そんな主将を支えているのは藤原先輩。この2人は良いコンビだ。
「初回は無得点……。なんか新越谷も姫宮も動きが固い気がするな~」
「姫宮の方は投手とショート以外は全体的に守備力が低めですね。それを上手くショートがカバーしています」
「カバーって言っても精神面でのカバーをしているように見えるね」
「それが姫宮の強さ……といっても過言ではないと思います」
「……で、新越谷の方は?」
「新越谷……というよりは岡田さんがこれまでよりも遠慮が見える気がしますね。金子さんと吉田さんが元新越谷なのが何かしら関係している可能性が高いでしょう」
「瑞希はそれを調べたりしたの?」
「もしも私が新越谷の選手だったら多少なりは調べますが、そんな無粋な事はしません。やろうと思えば出来ますが……」
「やろうと思えば出来るんだ……」
(やっぱ瑞希ってそういう趣味のある変態のような気がしてきたな~)
「……いずみさんから失礼な視線を感じるのですが?」
「気のせいだって☆」
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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