イニングは進んで5回表。渡辺の集中力が途切れた訳ではないのに、柳大川越打線に捕まり始めた。
『ボール!フォアボール!!』
ツーアウトから立て続けに出塁されて、一塁・二塁のピンチ。更に打席には……。
(よりによって志木さんか……。いや、捉え方次第ではこの状況もチャンスなのかな?)
前のイニングでもヒット1本許していたけど、その時は上手く抑える事が出来ていた……。
(このピンチを凌げれば気持ちは楽になるだろうけど、果たして……)
私はライトから見守るしか出来ないからね……!
「ツーアウトながらも一塁・二塁のピンチだな。ここを凌げたら渡辺にとって大分楽になると思うが……」
「どうでしょうね。新越谷もまだ朝倉さんの攻略が出来てない以上楽になる……というのはまだ遠いです」
「打者は志木ちゃんか~。1打席目は審判に救われた部分もあるからね~。この2打席目は上手く抑えられるかどうか~」
「星歌ちゃん……」
『ストライク!』
初球は見逃し。球数を稼ぐつもりなのか、それとも……。
カンッ!
『ファール!』
志木さんは2球目を捉えて、打球は一塁線に。
(くっ……!)
ファーストの中村さんが打球に飛び付くも僅かに届かずファールとなる。
(惜しかった……。今のが捕れてたら渡辺にとってかなり楽になると思ってたのに)
(星歌ちゃん、星歌ちゃんのフォークで三振を取りにいくよ)
(わかったよ。珠姫ちゃん!)
3球目に投げたのは渡辺のオリジナルフォークかな?外野から見えるくらいわかりやすく変化してるから、そうなんだと思うけど。
(きた……!)
カキーン!!
(しまった!?星歌ちゃんの決め球を狙っていたんだ!)
志木さんが渡辺のオリジナルフォークを待ってましたと言わんばかりな感じでタイミングピッタリだ。打球は伸びていき……。
(そんな……!)
スタンドへと持っていかれてしまった……。志木さんによる先制スリーランだ。
(これは痛いな……。イニングも終盤だし、何より……)
「うう……!」
(渡辺が立ち直れないと不味い。志木さんによって渡辺を攻略されて、滅多打ちされる可能性がある……)
(星歌にとって1番自信のあるフォークを叩く事で、星歌の心を折り、つるべ打ち……。ここから一気にコールドゲームまでいかせてもらうよ)
渡辺の気持ちが切れたのか1番、2番と続けざまに打たれ、再びツーアウト一塁・二塁となる。
「タイム!」
山崎さんがタイムを掛けて、内野陣が駆け寄る。私も行こうかな……。
「蓮華ちゃん、ナイバッチ」
「ありがとうございます朝倉さん」
(留々ちゃん達も続けて打てた事から完全に心が折れたみたいだね。新越谷は投手を交代しないとこのままコールドにしちゃうよ)
「星歌ちゃんのフォークを志木さんには完璧に狙われたね。もっと慎重にリードするべきだったかも……」
「まだイニングは残ってるんだし、思い切り投げようぜ!」
山崎さんと川崎さんが励ますも、渡辺の耳にそれは届かない。それどころか渡辺は震えていた。
「も、もう無理だよ……」
(渡辺……)
ポツリと、渡辺が弱気な発言をした。志木さんに決め球を完璧に捉えられたのが堪えているんだろう。このままだと渡辺にトラウマを植え付けられ、下手すれば野球を辞めてしまうかも知れない……!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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