「……では柳大川越戦はこのオーダーでいきますが、なにか質問はありますか?」
「はーい!」
「なんでしょうか?大星さん」
「なんで私が5番で、バンガードが4番なの?これまでずっと私が4番だったのに……」
「ふっふっふっ……。ミズキさんも遂にこの白糸台の4番にワタシが相応しいと気付いたみたいデース!」
「……単純に朝倉さんの球種に対する相性で決めました。この試合のクリーンアップの3番新井さん、4番バンガードさん、5番大星さんですが、ストレート、SFF、カットボールに対する本塁打率が1番高いバンガードさんを4番に、バンガードさんには劣るものの、速球系の球種に強い新井さんを3番、速球系よりは抜き球系の方が相性の良い大星さんを5番に置きました」
「あ、相変わらず瑞希ちゃんは色々考えてるなぁ……」
「お陰で部長として立つ瀬がないな……。監督も楽が出来るって喜んでたぞ」
「そういえば黛ちゃんとこうして絡むのって初めてだったよね~。ほら黛ちゃん、自己紹介自己紹介~」
「えっ、あっ、えっと……。ま、黛千尋です。よ、よろしくお願いします……」
非道さん達と出会い、黛さんの紹介を改めてしてもらっている訳だけど……。
「皆の言いたい事はなんとなくわかるよ~。マウンドにいる時の黛ちゃんと今の黛ちゃんが全然違うってね~。黛ちゃんは極度の人見知りで、恥ずかしがり屋なんだよ~。未だに私と大豪月さんと清本ちゃん以外にはこんな感じなんだよね~」
「だ、大豪月さんには私を拾ってもらった恩がありますし、非道さんとは同じクラスで野球の事を含めて関わる事が多いし、清本さんは私の癒しですし……」
(マウンドにいる時の黛さんは凛々しく、まさにポーカーフェイスという言葉が当てはまる。それは私も見習いたいくらいにね。しかし今目の前にいる黛さんは清本を彷彿させるレベルで気弱で人見知りみたい。なんか初めて清本と出会った時を思い出したよ)
あと黛さんの人見知り云々の下りでサラッと言ってるけど、清本が黛さんの癒し担当みたいになってるのは突っ込まない方が良いんだよね……?
「黛の意外な一面を見たところで、まもなく白糸台と柳大川越の試合が始まるぞ」
「神童さんはもちろん白糸台の応援だろうけど、早川ちゃん達新越谷はどっちを応援するの~?」
「そうですね……。やはり埼玉代表として柳大川越を応援しますね。それと同時に二宮にも頑張ってほしいという部分はありますけど……」
「朱里ちゃんは二宮さんの事も応援してるんだね」
「まぁ清本もそうだけど、付き合いが長いからね」
おまけに二宮とは中学も一緒だったから、清本よりも付き合いが長いとも言える。
「あっ、試合始まるよ!」
『プレイボール!!』
審判の合図にて試合が始まる。先攻は柳大川越だ。
「白糸台の先発は鋼だな」
「柳大川越の捕手である志木さんは分析タイプの投手なので、ストレート1本しかない新井さんは格好の的になる可能性が高いからだと思います」
「私が白糸台の立場ならその心理を逆手に取って敢えて新井ちゃんを先発にするけどね~」
成程……。そういう考え方もあるのか。二宮も非道さんも分析タイプの捕手だけど、同じ分析タイプでもそこから広がる戦術もピンきりって事がわかったよ。
『アウト!』
先頭の大島さんを鋼さんはストレートとスライダーを駆使して打ち取る。
「今の大島さんってかなり打率が高かったよね?」
「そうだね。埼玉県内の野球部の1年生の中でも1番打率が伸びてる。6割に乗りかけだった筈……」
宛らそれは梁幽館の陽さんを見ているようだった。ポジションも同じだし、大島さんなりに格上の打撃を参考にしたんだろうか?
(しかしそれを難なく打ち取る鋼さん……。二宮のリードもあるだろうけど、鋼さんも白糸台の中で1番伸びている選手なだけはあるって事だね)
その後2番、3番と鋼さんのストレートとスライダーを引っ掻けて凡退となった。
「初回ノーヒット無得点……。これはまた投手戦が予測されそう……」
「それはどうだろうな」
「神童さん……?」
この試合は投手戦が予測されるかと思いきや神童さんが意味深な発言をする。
「昨日白糸台に顔を出した時に二宮から聞いたが、柳大川越のピッチングを分析するのは二宮1人でやって、他は自由にやる……と言っていた。今の白糸台には新井、大星、バンガード、鋼とパワーヒッターが多いし、4人共朝倉の球種に強い。下手すれば大量得点もざらにある」
「それがどうなるかは志木ちゃんのリード次第って事だね~」
神童さんと非道さんはそのように言う。朝倉さんには頑張ってほしいところだけど……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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