試合は進んで5回表。2対0で私達がリードしている。
(予定ではこの回にコールドゲームになる7点差以上は付けたいところだけど……)
理想的な状況になっている。ノーアウト満塁のチャンスで、打席には……。
「よーし!満塁ホームラン狙うぞ~!」
雷轟遥が大きく素振りして左打席に入る。
(雪ノ下さんのピッチングは確かに素晴らしいものだった……。変化球の数は神童さん以上と言っても良いし、ストレートも速い部類に入る。これだけでも私より優れた投手なのがわかる)
しかしそんな雪ノ下さんの弱点……スタミナ不足が露呈して、三巡目の私達の打線に捕まり、ノーアウト満塁というチャンスが生まれたのだ。
「雪ノ下さんを上手く捕まえる事が出来たね!」
「それにしても朱里は良くわかったわね。雪ノ下さんの弱手が……」
「今の雪ノ下さんはかつての私と同じだからね。だから容易に気付く事が出来た……」
今の総武が2枚エースとしているのも雪ノ下さんのスタミナ不足が原因の1つとなっているだろう。
「雪ノ下さんの弱点は大きく分けて2つ。1つ目は先程言った体力だね。データで見た雪ノ下さんの投球数を見てもしかして……と思って前の打席の中村さんになるべく球数を費やすようにお願いしたんだ」
思えばあの時の中村さんを抑えた時から既にその片鱗は見えていたんだよね。
「そして2つ目……これは三浦さんにも当てはまるんだけど、馬鹿正直にストライクゾーンに投げ過ぎな事かな」
「えっ?でも何球かボール判定もあったわよ?」
「三浦さんの場合は制球力のなさでそう見えてただけで、本人は常に3球勝負を試みてたのがデータを見てわかったんだ」
「三浦さんの場合は配球も結構ストライクゾーンに片寄ってたもんね。だから変化球の変化する軌道がわかれば連打するのも難しくなかった……」
私の解説に芳乃さんが付け加える。流石芳乃さん。私の言いたい事がわかってるね。
「……で、話を戻すと三浦さんも雪ノ下さんもプライドが高い投手だから、ボールゾーンへ意図的に投げるような事はしなかったんだ」
「少なくとも格上相手には通用しなさそうな戦術ね……」
「これは余り関係ないけど、捕手の人がまだ野球経験が浅いんだよね。だから2人の球をただ捕っているだけになっている」
「ただ捕っているだけ……?」
「捕手の人がある程度経験を積むだけで雪ノ下さんと三浦さんを相手にするのは結構辛くなってくるよ。主に配球や投手のペース配分、あとはキャッチングをなんとかすればそれだけで県大会は勝ち抜けるかもね」
本当、捕手の人……由比ヶ浜さんには頑張ってほしい。その調子で総武高校を全国出場の常連にしちゃえ!聖皇学園を余裕で下すレベルになっちゃえ!
カキーン!!
「あっ、遥ちゃんが打った!」
「グランドスラムね」
「このペースだと裏で息吹さんがキチンと抑えればこの回でコールド勝ちだね」
「が、頑張るわ!」
雷轟が満塁ホームランを放ち、その後も後続の打者が次々と雪ノ下さんの力ない球を捉え続けた……。
「これは決まりましたね」
「雷轟のグランドスラムが切欠で更に新越谷の打線が爆発したな」
「今の新越谷は洛山に負けてない勢いですね。こればかりは雪ノ下さん側にも原因がありますが……」
「5回表だけで12点か……。仮に川口息吹が打ち込まれても5点までは取られても大丈夫ときたもんだ」
「総武の内野手の頭をギリギリ越す当たりをしてくるのは厄介ですが、新越谷も対策をキチンとしているみたいですし、痛打される心配もないでしょう」
『ストライク!バッターアウト!!』
5回裏。息吹さんの好投によって三者凡退。最後の打者に至っては三振に抑えてゲームセット。12対0で私達がコールド勝ちを決めた。
遥「まさかのコールド勝ちを決めたよ!」
朱里「雷轟も2本塁打6打点の大活躍だったね」
遥「でも雪ノ下さんの変化球は初見だと結構てこずったなぁ……」
朱里「総武高校はこれから大きく成長するよ。この試合を経てね」
朱里(むしろそうなってくれないと私的に困るし……」
遥「次回は話が一気に飛んで準決勝まで進むよ!」
朱里「元々関東大会は短めに書く予定だったけど、それによって私達新越谷が関東大会ベスト4が約束されている訳か……」
遥「お楽しみに!」
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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