最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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関東大会準決勝!新越谷高校VS梁幽館高校⑧

「朱里ちゃん、頑張って~!」

 

「1打サヨナラのチャンスよ!」

 

ベンチから物凄い声援を受けています。滅茶苦茶プレッシャー感じるから程々にしてほしい……。

 

(まぁなるようにしかならないか……)

 

右打席に立ち、吉川さんと対峙する。

 

「…………!」

 

(こうして直に対面してみると凄い圧と集中力を感じる。皆はよく吉川さんから打てたなぁ……)

 

私次第で試合が決まる……なんてのはリトルでも、シニアでもなかった。そもそも川越リトルシニアは常勝チームだから、ビハインドの状況ってほとんどないんだよね。そんな中でプレー出来るのもまた経験なのかも……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ツーアウト二塁・三塁で朱里さんの打順ですか……」

 

「夏大会での早川の印象としては難しいコースにも上手く対応出来る打者……という感じだが……」

 

「その印象で間違ってはいませんよ。ですが……」

 

「何かあるの?」

 

「朱里さん自身が試合を左右する打者になるのが初めて……という点が問題になる可能性があるという事です。朱里さんは新越谷の中では足が速い方ですが、ライトに飛ばせば静華さんの送球によってライトゴロになりますし、二遊間の2人は夏大会に出場していた白井さんと高代さんにも負けてない守備力を持ち、吉川さんはゾーン状態……。条件が良くないですね」

 

「その吉川が踏ん張れるかどうか……か」

 

「それもあるでしょう。ですので朱里さんに要求されるのはファースト以外の内野手の頭を越す当たりを打てれば新越谷の勝ち、それ以外なら梁幽館の勝ちです」

 

「随分はっきりと言うな?」

 

「仮に朱里さんが歩かされるとして、次の川崎さんは朱里さんに比べれば期待値はかなり低いです。過去の成績を見る限りですと川崎さんは広角に飛ばせる打者ではありません。新越谷のベンチ中で他にショートを守れる人がいるのなら、代打として一発のある大村さん、川原さんか、安定した成績を出している照屋さんを出すべきでしょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(和美、ここはどうするの?)

 

(私はくさいところ突かせて、最悪歩かせても構わない……と思う)

 

(わかったわ。それでいきましょう)

 

まずは初球。高めのコースにストレートが投げられる。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

(コースはギリギリだったけど、入ってたか……)

 

最終回のツーアウトだし、カウントは無駄に出来ない……。可能な限り食らい付く!

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

なんとか当てられたけど、追い込まれた。

 

(次は1球外してくるか、それとも勝負を決めにくるか……!)

 

運命の3球目……!

 

 

ズバンッ!

 

 

(しまった!?手が出なかった!)

 

これもコースはギリギリ。判定は……!?

 

『ボール!』

 

(あれがボールなのか……!)

 

(あ、危なかった……)

 

ふぅ……。本当に心臓に悪い。ヒヤヒヤものだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

「これで10球目か……。吉川も早川も本当にギリギリな戦いをしているな」

 

「実際にどっちが勝っても可笑しくない……」

 

「スリーボールになっていますし、バッテリーは朱里さんを歩かせる選択もありです」

 

「吉川の性格上、ここは勝負続行だろうな」

 

「パッと見だと抑えられる可能性の方が高いから、それはあり得る……」

 

(確かに雷轟さん程の危険性はなく、読み合い次第では勝てる打者なので、無理にピンチを広げる必要はありません。朱里さんはそれを見越してここまでしている可能性がありますね……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

(またファール。そろそろ前に飛ばしたいんだけど……)

 

吉川さんの投げる球が重くて中々飛ばないんだよねぇ……。

 

「朱里ーっ!頑張れーっ!!」

 

「朱里ちゃーん!!」

 

(……思えばここまで仲間の声援が大きく聞こえるのは初めてな気がする)

 

シニアの時は声援こそ聞こえるものの、どこか淡白というか、相手投手に止めを刺せとか、コールドゲームを決めろとかそういうのが多かった。もちろん例外はいたけどね。

 

(でも今はこの声援が嬉しい。この声援を聞いたら力が湧いてくる……)

 

次で15球目。吉川さんはスライダーを投げてきた。

 

(仲間の期待に……応えたい!!)

 

 

カンッ!

 

 

『打った!』

 

『打球は!?』

 

両チームから聞こえる声。私が打った打球は……。

 

「ショート!!」

 

ショート!?ヤバい!あそこの守備力はかなり高い……。抜けろ……!

 

「抜けろーっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「抜けたっ!ランナー急げーっ!!」

 

ショートは打球に飛び付くも、抜けていく。と、とりあえず同点にはなりそうだ……。

 

(でも延長戦になると不利なのは私達だ……。出来ればこのままサヨナラ勝ちにしたい!)

 

三塁ランナーの雷轟がホームイン。二塁ランナーの主将も三塁を蹴った。

 

「バックホーム!!」

 

レフトが捕球し、矢のような送球を放つ。村雨程じゃないけど、肩強いな……。

 

 

バシィッ!

 

 

(絶対にサヨナラ勝ちにしてみせる!)

 

主将と小林さんによるクロスプレー。は、判定は……!

 

『……セーフ!セーフ!!』

 

セーフ……という事は!?

 

『ゲームセット!!』

 

わ、私達の……サヨナラ勝ちだ!!

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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