3回裏。この回は下位打線だけど、9番には二宮がいるんだよね……。
(二宮は高校に入ってから9番に入る事がほとんどだ。それは決して打力が低い……という理由ではなく、相手投手を自分の打席が回ってくるまで徹底的に分析して、番が回ってきたら粘って投手の球数を稼ぎつつ、更なる分析を行う……)
白糸台ではそういう風に結果を残している。今年に入って二宮が9番以外を打っているのは混合試合で9番を投手が務める時くらいだろう。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
まずは7番打者を三振に。順調に抑えている筈なんだけど、二宮に回ってくるってだけでなんか不安なんだよねぇ……。
「また三振か……。1年生だけとは言え、今年白糸台に入った1年生は逸材揃いなんだがな……」
「それだけ早川ちゃんが凄いって事ですよね~。夏大会の時だって白糸台のレギュラーメンバーが苦戦していたくらいですし~」
「その時の映像も見たでござるが、あれはまさにきりきりまいという表現が適切でござった!」
「そうだね。今日の朱里ちゃんは絶好調みたい」
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
「これで八者連続三振だね~」
「でも9番には……」
「瑞希殿の打席でござるな」
「私も色々な打者を相手にしてきたが、二宮は敵に回したくないものだな」
8番打者を三振に抑えて、次の打者は……!
『9番 キャッチャー 二宮さん』
私にとって1番の天敵と言っても過言じゃない打者……。二宮瑞希その人である。
(球数を稼がれるくらいなら勝負を避けるべきなんだろうけど、それすらも二宮の思惑通りになっている気がしてしまうのが二宮の恐ろしいところだよ……)
(さて、数ヶ月ぶりに朱里さんと勝負ですね。皆さんの話によりますとストレートに見せ掛けた変化球にフォーク、SFFを多用してくる……との事ですね)
この勝負に勝てたら流れはまだ私達にある……。ここは絶対に抑えたい!
「早川の球は前に対戦した時の比じゃないな。特にSFFとフォークが見分け辛い分厄介だ」
「あ~あ、私も試合に出たいな~!」
「お、大星先輩、余りわがままを言うのは良くないですよ」
「全くだ。後輩にこんな事を言わせるな」
「瑞希ちゃん、打てるかな……?」
「この打席に限ってはわからないが、最後にはきっと打つ……。二宮瑞希はそういう奴だよ」
ズバンッ!
『ストライク!』
(これで二宮さんを追い込んだ……んだけど)
「…………」
(二宮さんって表情が表に出ないから、焦っているのかもよくわからないんだよね……)
カウントはツーナッシングなんだけど、二宮からはなんか余裕を感じるんだよね。顔には一切出てないけど……。
(一流の捕手なら打者の表情から次に投げる球を投手に指示するんだけど、二宮の場合は意識してか、しないでかまるで表情が読めないんだよね……)
二宮以上にポーカーフェイスが上手い人を私は知らないくらいだよ……。
(見送りカウントは全て使いきりました。ですが傾向敵に朱里さんが次に投げる球は……)
3球目は三振を取りにいくつもりでSFFを投げる。
(……三振を取りにいく変化球ですね)
カンッ!
『ファール!』
(SFFに合わせられた!?)
(……やはり二宮は一筋縄ではいかないね)
こっちの傾向を読んでいるとは言え、いきなりの変化球に対応出来る選手はそうはいない。況してや私の場合は偽ストレートからの変化球だしね。
カンッ!
『ファール!』
これもギリギリで打ってきたな……。これがあるから、二宮はスラッガーと同等かそれ以上に怖い打者なんだよね。しかも私の球筋とかも把握してるだろうから、尚更苦手意識が出てくるし……。
(それなら投げてやろうじゃん……)
(そういえば余り投げてないもんね。相手が二宮さんだから投げるのかな……?)
ただでさえスタミナに余裕がないんだ……。余り球数を稼がせる訳にはいかないんだよ!
5球目。投げるのはいつ以来だろうか?私が投げたのは……。
(この軌道と変化は……!)
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
(ナックルカーブでしたか……。最後に見てから投げている場面が余りなかったので、見落としていましたね。私もまだまだ甘いです)
(よし……!第1ラウンドは私の勝ちだ!)
二宮には最低でもあと1打席回ってくる……。それまでに如何に隙を作らないかがこの試合で重要になってくるだろう。
(次の回は4番からだし、追加点を取っていきたいところだね)
投手戦になると不利になるのは私の方だし、1点だけだと心もとないから、新越谷にはどんどん打ってほしい。まぁ鋼さんがそんなに甘い投手な訳がないんだけど……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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