「……朱里ちゃん、私は朱里ちゃんを信じるよ」
「山崎さん……」
山崎さんは私を信じてくれている……。それなら、その期待に応えなきゃ廃っちゃうよ!
「……ありがとう。今は二宮達を抑える事に専念させてもらうよ」
(山崎さんに心配を掛けない為にも、私が更なるレベルアップをする為にも、このピンチを凌ぎたい……!)
というかこれ以上粘られると私の体力がもたないよ。という訳で抑えにいきます!
(あの人が投げていた偽ストレートを思い出せ……。あの人が投げていた球をイメージして、この1球に込めるんだ……!)
私は振りかぶって投げた。
「…………!これは」
「静華ちゃん……?」
「今の朱里殿はあの方を連想させるでござる……」
「あの方……?」
「誰の事なんだ?」
「……今は言えないでござる。拙者以外にあの方を知っているのは朱里殿と瑞希殿くらいでござるよ。今はアメリカに在住中でござる」
(来年には日本に来る……と言っていたけど、それが本当なら次の夏大会は大荒れするでござる……)
「……1つ言えるとしたら、朱里殿が次に投げる1球は今までに見た事がないものになるでござる」
「そ、そんな凄い球を投げるんだ……!」
「おお~、清本ちゃんが今までに見た事のない表情をしてる~」
「…………!」
(……今の朱里さんからは今までの朱里さんとは比べ物にならない何かを感じますね。余りこういうのは信じないのですが、現に朱里さんからはあの人の影が重なって見えます)
(これが私の全力……!あの人から教えてもらった集大成をこの1球に捧げる!)
私が投げる偽ストレート……それを更に進化させる!
(速度、軌道から察するに朱里さんが投げてきたのはストレートか、ストレートに見せ掛けた変化球。もしも後者なら今の私では当てる事は出来ません。狙いはストレート1本に絞りましょうか)
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
(……後者の方でしたか。今の1球はあの人を連想させる良い球でした。あれを投げ続けられると日葵さんや陽奈さんでも打つのは不可能でしょう。偶々投げる事の出来た1球である事を願うしかありませんね)
やった……!2打席連続で二宮を三振に抑える事が出来た!
(今の感触を忘れないように、意識して投げてみよう……!)
これであの人の投げる偽ストレートに一気に近付いたぞ!
「まさか瑞希ちゃんが2打席連続で空振り三振だなんて……」
「……私が知る限りでは見た事がないな。私も二宮相手に空振り三振は連続で取れないだろう。早川朱里は二宮の予測を大きく上回る投手だったという事か」
「今の早川ちゃんはかなり手強いね~。清本ちゃん次第で完全試合食らっちゃうかも~」
「う、打てるかな……。あの球は今までの朱里ちゃんとは全くの別物だよ」
「……これは報告案件が増えたでござるな。映像に残しておいて良かったでござるよ」
「……静華ちゃん?」
「いえ、なんでもないでござる。この試合も決着が付きそうですし、拙者はこれでお暇するでござるよ。ニンニン♪」
ドロンッ!
「おお~。消えたね~」
「……彼女も中々謎に包まれた人物だな」
(忍者って言ってたのはまさか冗談じゃないのかな……?)
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
(凄い……。凄いよ朱里ちゃん!ストレートに見せ掛けた変化球の球速が格段に跳ね上がった!)
(この現状は偶々上手くいっているに過ぎないけど、シニアの世界大会までには完成させておきたいな……)
次に相手になる強敵……上杉真深さんを抑える為に!
『ゲームセット!』
二宮を三振させてからも白糸台の打線を連続三振。1対0でなんとか逃げ切り、関東大会は私達新越谷の優勝で幕を閉じた!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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