関東大会が終わってもうすぐ1ヶ月。期間は世間一般で言うところの冬休みに入ろうとしていた……。
「さて、もうすぐ冬休みですね。野球部の練習日程ですが、年明け……三が日が終わるまでは基本的に自主練習とします」
『自主練習!?』
藤井先生の一声に私を含めた皆が驚いていた。確かにプロ野球でも年末から1月終わりくらいまではオフシーズンってイメージはあるけど……。
「その代わり三が日が終わればまた沢山練習しますので、そのつもりでいてくださいね。そして学生の本文は勉強!冬休みの宿題もしっかりとやっておいてくださいね」
良い笑顔で言う藤井先生の視線の先には一部……主に川崎さんの方を向いていた。期末試験も赤点ギリギリだったもんね……。
「……で、年内最後として24日に練習試合を組んできました」
「クリスマスイブに……?」
雷轟が疑問符を浮かべているけど、本来ならクリスマスとか関係ないからね?私達は野球が恋人なんだよ!
「た、対戦相手は……?」
「皆さんも縁があります……梁幽館高校です」
『梁幽館!?』
梁幽館が相手か……。そういえば梁幽館とも試合をするのは3度目になるんだよね。柳大川越、白糸台、そして梁幽館……。どこも強豪で、私達にとっては良い経験になった対戦相手だ。
「試合……と言っても向こうは新メンバーの調整が主ですので、変に緊張しなくても大丈夫ですよ。もちろん、勝つのに越した事はないですが……」
24日……クリスマスイブに梁幽館と練習試合をする事になった。
……で、梁幽館との練習試合に向けて各自で練習をしている訳だけど。
ズバンッ!
「ナイスボール!」
息吹さんが捕手役として私は投げ込んでいる。しかし……。
「う~ん……」
「どうしたの?」
「関東大会の決勝戦で二宮達に投げた球が投げられないんだよね」
「今投げた球はかなり凄かったけど、朱里の中では違うのね?」
「そうなんだよ。どうもあの時の感触じゃないって言うか……」
あの時に投げられた球を再び投げられるようになるには色々と条件が必要なのかも知れない。ただがむしゃらに投げるだけだと駄目なのはわかってはいるけど……。
(意識すればする程、あの時投げられた球とは程遠くなってしまうね。どうしたものか……)
「……まぁ色々試してみるしかないかな」
もしもあの時限りの球だとしても、私なりに上に辿り着く答えを見付けて、世界大会に臨まなきゃね。
「朱里……?」
「いや、なんでもないよ。あと10球、お願いしても良い?」
「良いわよ。私も捕手の勉強になるし、朱里が投げる球をコピー出来るかも知れないし……」
い、意外と強かだな息吹さん……。
翌日。梁幽館との練習試合……というか梁幽館側が選手の調整をするとの事でそれに備えて過去の映像を持ってきて、それを見る事に……。
(そろそろだとは思ってたけど、本当に選手として復帰するとはね……)
「あれ?朱里ちゃんだ」
「本当だ!」
「朱里ちゃんは自主練?」
映像を見ようと準備していたら武田さん、山崎さん、芳乃さんの3人が部室に入ってきた。
「ちょっと過去の映像を見ようとね……。3人は?」
「私とヨミちゃんは自主練で、芳乃ちゃんはその付き添い」
「朱里ちゃん、それっていつの映像なのかな……?」
な、なんか芳乃さんが食い気味でこっちに来る。怖いんですけど?
「し、シニア時代のやつだけど……」
「見せて~っ!!」
うおぅっ!?こっちに飛び付いてきた!?
「ま、まぁ丁度芳乃さんにも見せるつもりだったから、問題ないよ。武田さんと山崎さんも見る?」
「見たい見たい!」
「私も……興味あるかな」
「じゃあ決定だね!」
芳乃さんの指示の下、私はビデオカメラをセットして、シニア時代の映像を再生した。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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