最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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練習試合!新越谷高校VS梁幽館高校⑧

カキーン!!

 

 

初球から雷轟は打っていき、その打球は場外まで飛んでいく。しかし……。

 

『ファール!』

 

レフト線切れてファール。

 

(一発が出たら同点……。今日3回もトンネルしてるんだから、ここで打って取り返してよ?)

 

 

カキーン!!

 

 

『ファール!』

 

またもや大ファール。こうして見ると雷轟が押してるようにも見えるけど、橘もまだどこか余裕を残している。一瞬の隙が生まれればそこを突いた方が勝つ……。これはそういう勝負だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2球続けて大ファール……。遥も凄いね~!」

 

「遥ちゃんも凄いけど、ファールで踏み止まらせているはづきちゃんも凄いよ。私も……あの中に混ざりたい!」

 

「この試合に混ざるのは無理だけど、この後にやる新越谷と梁幽館の合同練習にアタシ達も混ざっちゃう?」

 

「そ、それが出来たら良いな……!」

 

「そんな簡単に事が運ぶとは思いませんが……。試合が終わり次第交渉してみましょう」

 

「やった♪流石瑞希、話がわかるね~!」

 

「付き合いが長くなれば、その分性格もわかってきますよ。和奈さんに至っては幼い頃から接点がありますからね」

 

「そうなんだ。ねね、瑞希って昔っからこんな感じなの?」

 

「そ、そうだね……。少なくともリトルに入った時点で瑞希ちゃんは瑞希ちゃんだったよ」

 

(言える訳がないよ……。『あの時』から瑞希ちゃんは豹変して、今の瑞希ちゃんになっちゃったって……。その原因だって私のせいなのに……)

 

「……和奈さん、顔に出ていますよ」

 

「あっ……。ごめんね……」

 

「別に気にしていません。それに『あの時』に起きた出来事がなければ私はここにはいなかったでしょうから」

 

「……?『あの時』ってなに?」

 

「別に隠すような事ではありませんが、少なくとも話す必要もないのも事実です」

 

「ええ~!?気になるな~!」

 

「い、いずみちゃん……」

 

「……まぁ無理して聞いても良い内容じゃないっていうのはわかったよ。ごめんね瑞希、和奈」

 

「私は気にしていません。それよりもこの試合の行く末を見届けましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カキーン!!

 

 

『ファール!』

 

(これも打ってくるのかぁ……)

 

(さっきから悉くはづきの投げる球を飛ばしてくるわね。投げる球も、コースも次々と潰してくる……!)

 

雷轟はパワーに注目しがちだけど、真骨頂はその粘りにあるのかも知れない。粘って粘って相手の逃げ道を潰して、その先に投げられた球を、追い込まれた投手が最後に投げた球を確実に、完璧に捉える……。これを偶然でやっているから、質が悪い。

 

これは上杉さんが得意としている打撃術であり、彼女の場合は雷轟とは違って意図的に、そして相手の1番自信のある決め球を叩く。

 

(でも上杉さんの場合は雷轟や清本みたいなホームランだけじゃなく、金原や友沢みたいな安定性のあるヒットも打つんだよね。サイクルヒットも時々打ってるみたいだし……)

 

打席で対峙しただけではホームランを打つのか、ヒットを打つのか判断出来ない……。そんな上杉さんは粘りの強さや、左右広角に打ち分ける技術、そして状況に応じてホームランやヒットを打つ事からアメリカにおいて『変幻自在の広角姫』等と二つ名で呼ばれているらしい。

 

(ええいしつこい!)

 

(ふぬっ……!)

 

 

カキーン!!

 

 

『ファール!』

 

これで10球連続で場外へ飛ぶファールか……。雷轟も凄いけど、ここまで場外に飛ばされ続けてるのに、未だに真っ向勝負をしている橘も凄い。普通なら雷轟を歩かせても可笑しくないからね。

 

(落ち着きなさいはづき!ここは1球外に……)

 

(……駄目ですよ依織先輩。ここで逃げるのは悪手です。ここで雷轟さんを抑えられなきゃ、私達は勝てません)

 

(はぁ……。和美と言い、あんたと言い、なんでこうも我の強い投手ばかりなのかしら。先輩達の落ち着きを見習ってほしいわ)

 

更に橘は続けてストレート、カーブ、スライダー、偽ストレート、そして3種のスクリューを繰り返し投げているけど……。

 

 

カキーン!!

 

 

『ふ、ファール!』

 

どれも場外に飛ぶファールボール。風とかもあるけど、ここまでファールになる事がある?そろそろ20球になるよ?

 

(な、中々入らない……!)

 

(し、しぶとい……!)

 

しかしいつ決着が着いても可笑しくない。勝者が雷轟なのか、橘なのか……。ボール球一切なしのこの状況……果たして勝つのはどっちなのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カキーン!!

 

 

『ファール!』

 

「ま、またファール!?」

 

「雷轟さんもはづきさんも執念で野球をしていますね。普段ならこういった泥臭い野球を梁幽館は許さないでしょうが、練習試合と言う名目で、尚且つはづきさんを信用していないと出来ない事です」

 

「一瞬たりとも目が離せないね……!」

 

「そうですね。その一瞬が大切です」

 

「……しっかし学校の外には何個場外に飛んだボールが転がってるんだろ?」

 

「そこは気になるところですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(次で20球目……。ここで確実に抑えにいく!)

 

(……となるとスクリューね。全力で来なさい!)

 

20球目。投げられたのは今日1番のスクリューだった。

 

(空振れ!!)

 

(絶対に……打つ!!)

 

 

カキーン!!

 

 

20球目に捉えたスクリューは、センターの遥か上空へと飛んでいき、ホームランとなった。

 

「やった……」

 

「こ、これで同点だ!!」

 

雷轟の粘りがこのホームランを生んだ……か。橘も惜しかったね。

 

(あ~あ、打たれちゃったか……。でもこの次は負けないよ雷轟さん……いや、遥!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アウト!ゲームセット!!』

 

ちなみにこの試合は延長戦がなく、橘と武田さんの好投によって3対3で終わった。

 

得点全部がホームランってヤバイよね……?




遥「梁幽館戦終了!」

朱里「なんとか引き分けに終わったね……」

遥「それよりも上杉さんの二つ名が格好良い!」

朱里(これ、上杉さん本人はどう思ってるんだろう……?)

遥「私も二つ名欲しいなー!」

朱里「雷轟の二つ名ねぇ……?『ピンポイントトンネルガール』とか、『空回りエラー姫』とか?」

遥「そんなの嫌だ!!」

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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