梁幽館との練習試合から数日。私は年始に向けて大掃除をしていた。
(もうすぐ今年も終わりか……。この1年は色々な事があったな)
雷轟と一緒に新越谷野球部に入って8ヶ月。どれも昨日の出来事のように思い出せるくらいに鮮明で、濃い日々を過ごしてきた。それは私にとっても驚きの連続だったりもしたけど……。
(中でも印象に残っているのは雷轟が4番に昇格した事と、投手陣の凄まじい成長速度……。特に武田さんと息吹さんが凄い勢いで成長するんだよね……)
しかも息吹さんに至っては初心者。雷轟もまともに野球を始めたのは今年からだし、大村さんも初心者ながらもパワーは雷轟に次ぐ。そして2学期に入った照屋さんも初心者ながらも守備に関しては新越谷で1、2を争うレベルにまで伸びている。そう考えると新越谷に入ってくる初心者って凄い。そしてヤバい。
(携帯に通知が来てる……。武田さんからだ)
『今日は真深ちゃんが帰ってくる日なんだ!タマちゃんも来るって言ってたし、朱里ちゃんも家においでよ!!』
……そういえばそんな約束を(武田さんが一方的に)してたね。とりあえず武田さんに行く事を伝えて……っと。
(上杉さんと会うのも3年ぶりだし、なんか緊張する……)
アメリカの高校で好成績を残しているし、シニアでも清本並にホームランを打ってたし……。というか世界大会で当たるんだよね。
「あら、出掛けるの?」
武田さんの家に出掛けようとすると母さんが声を掛けてくる。
「うん。ちょっと友達のところにね……」
「そう……。それならこれは帰ってから渡そうかしら」
母さんが1つの封筒を私に見せてきた。
「それは?」
「シニアリーグの世界大会の通知よ。かなり重要な事が書かれているから、よく読んでおいた方が良いわよ」
そんな重要な事が書いてあるのかな……?
「いや、道中で読む事にするよ」
武田さんの家には電車で行く必要があるし……いや待てよ?上杉さんも来るのなら向こうで読んでも良いかも。
「……行ってくる」
「行ってらっしゃい。気を付けるのよ」
母さんに挨拶をして、私は玄関を出た。
「いらっしゃい!」
「こんにちは」
家に着いた途端ドアが開き、武田さんに歓迎の言葉を頂いた。多分偶然なんだろうけど、なんでそんなのピンポイントにドアが開くかな?
「まだ真深ちゃんは来てないよ。もうすぐ来るって」
「そうなんだ……っと、これ。つまらない物ですが……」
「わっ!良いとこのどら焼きだ!ありがとう!!」
「どういたしまして」
普通の女子高生ならもうちょっとお洒落なお菓子とか持ってこれたんだけど、生憎私は野球漬けだったから、こういったものとは無縁。だから母さんと六道さんの好物を買ってきた訳だ。
「あっ、朱里ちゃん」
「こんにちは、山崎さん」
武田さんの部屋に入ると山崎さんが座っていた。やっぱり女子の部屋って華やか感じがするなぁ……。私や二宮が普通じゃないだけなんだよねきっと。
ふとそんな事を思っていたら呼び鈴がなった。
「真深ちゃんかな?」
「そうだと思う!はーい!!」
武田さんがとてとてと玄関へ向かった。待っている間に山崎さんと会話する事に。
「朱里ちゃん達が出るシニアの世界大会って3月だっけ?」
「そうだよ。二宮や清本、金原、友沢とかも出るから、川越シニアの時を少し思い出すんだよね」
「そうなんだ……。真深ちゃんもその世界大会に出るって話をヨミちゃんから聞いたんだけど、本当なの?」
「うん。上杉さんはアメリカ代表で出場するんだ。今年のアメリカ代表は曲者揃いだって話も二宮から聞いてる」
上杉さんとウィラードさんだけでもかなり手強い事は間違いないんだけど、更に手強さが増すからね……。
「……私は同じ野球部として、朱里ちゃん達を応援するね!」
「うん……。ありがとう」
山崎さんは本当に良い子だよ。捕手としても引っ張ってくれるし、打撃方面では新越谷の中では上位クラスだし。
「真深ちゃん達来たよ~!」
つ、遂に来るのか……。上杉さんが……達?
「こんにちは。久し振りね。早川さん」
入ってきたのは上杉さんと……。
「お邪魔しまーす!」
「お邪魔します」
雷轟と二宮だった。何故?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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