新学期!
「ここが……私達が通う遠前高校……なんですよね?」
「そうだよ!」
「生徒数も少ないですね……」
「これでも十数年前はそれなりに人数はいたんだけどね……。多分数年もしない内に廃校になると思う……」
出来れば廃校阻止に私達が協力出来れば良いんだけど……。難しいよね。
始業式だけだったので、学校はすぐに終わった。私のクラスも人数少なかったなぁ……。20人いないんじゃないかってくらいだったし、真深ちゃん達のクラスはそれよりも少ないって聞く。もう実質分校レベルだよね……。
「野球部の部室もボロボロね……」
「それは私達がこれから綺麗にすれば良いのよ」
「それは真深ちゃんの言う通りなんだけど、問題は人数なんだよね……」
「まだ誰も来ていませんね。もしかして部員が1人もいないなんて事は……」
そ、そんな事はないよ!今は野球女子だって増えてきてるんだから、在校生が少ないこの学校でも野球をやりたい子はきっといるよ!
「おや?入部希望者かね?」
後ろから声がしたので、振り返ると同じ制服を着た子が何やら色々持って来ていた。
「は、はい!私達は……」
「ああ、言わなくてもわかってるよ。左から上杉真深さん、ウィラード・ユイさん、そして風薙彼方さん……だよね?」
「は、はい……」
(私達の事を知っている……?)
(確かに私達はアメリカの高校で成績を残したけれど、この学校ではその事に触れられてなかったから、ここまで知名度は届いていないものだと思ってた……)
「いやはや、今日辺り来るだろうと踏んでたから、助かったよ。君達が入部してくれたら丁度良い具合に人数が揃うよ!」
「あ、あの、貴女は……?」
ポカーンとしている私達の中で、いち早く復活した真深ちゃんが彼女に尋ねた。
「おっと、自己紹介がまだだったね。私は天王寺……。この遠前高校野球部を全国制覇まで導かんとする者さ!」
『ぜ、全国制覇!?』
す、凄い自信家だよ……。
「……まぁ全国制覇は無理でも、全国出場まではいけるレベルだと思ってたけど、君達が入部してくれるのなら、全国制覇まで一気に近付けるね」
お、思い出した……。この天王寺さんは様々な高校に転校しては、野球の楽しさを伝え、前の夏大会では全国準優勝、その前は全国ベスト4、その前は全国ベスト8……と彼女が集めた部員達でそれ等を成し遂げた偉業者だ!
「それで……?ここに来ているという事は入部希望って事で良いんだよね?」
「うん!私達はこの遠前野球部に入部します!」
「OKOK!じゃあ入部届けの方は私の方で用意しとくから、それに記入してくれぃ!」
天王寺さんは手に抱えていた物を降ろして、何か考え込む姿勢になった。
「これであと2人……か」
「あと2人で9人ですか?」
「ん?いやいや、人数自体は私達を入れて11人だよ。今日は皆に休んでもらってるから、私しかいないけどね」
「人数そのものは揃っているんですね」
「私はマネージャーと選手育成を兼任してるし、他の面子は野球経験0の子達だからね。君達3人の加入は心強いけど、あと2人……。あの2人が私の見付けた金の卵達を更に上手く鍛えてくれると思うんだよ」
野球経験0なのに、どうして金の卵ってわかるんだろう……?
「…………」
「あれ?あそこに誰かいるよ?」
私達を覗いている人影が……って!
「……いなくなっちゃった」
「多分あの2人の内のどちらかだろうなぁ。私が行動を始めた秋頃からずっと監視してるんだよね。いい加減素直になれば良いのに」
「素直に……?」
「訳ありで野球を辞めてる2人なんだよ。凡その見当は付くけど、多分私じゃ説得出来ないから、困ってるんだよ……」
天王寺さんが手を焼いている人達って誰なんだろう……?
「野球部、最低限の人数揃ったみたいやで」
「そう……」
「水鳥の思った通り、アパートに越して来た3人が野球に入ったみたいやわ」
「はぁ……」
(もう私は野球を辞めたんだ。2度と野球なんてやるもんか……)
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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