最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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もう1度……!

「そっか……。水鳥さんは後悔してない?」

 

「…………」

 

「後悔してないのなら、何も言わないよ。でも……」

 

「……私が、後悔してるように見えると?」

 

「少なくとも私の目にはそう映ってる」

 

今の水鳥さんは心のどこかで野球を辞めてしまった事を後悔しているように感じる。それはリトル所属時代に1度も瑞希ちゃんに勝てなかったからなのか、それとも……。

 

「ねぇ、私の投げる球を受けてよ」

 

「いきなりなに?」

 

「水鳥さんが野球を辞めたのなら、もう無理には言わないよ。でも最後に私の投げる球を見てほしいの……!」

 

(なんのつもり……?)

 

「ほら、ちゃんとグラブも2つあるから!」

 

私は鞄からグラブを2つ取り出す。

 

「はぁ……。わかったよ。1球だけ付き合ってあげる」

 

「本当!?」

 

「そうでもしないと延々と絡まれそうだから仕方なく……」

 

やった!

 

「18・44の距離から投げるからね!」

 

(実戦形式……というかこれ捕手用ミットじゃないよね……)

 

「いくよ……!」

 

「!?」

 

(威圧感が半端ない……。風薙彼方……野球をやってて、アメリカで知らない人はいないと言われた世界最強の剛腕投手……か)

 

この1球に私の、水鳥さんへの気持ちを込めて……!

 

 

ズバンッ!

 

 

「っ!?」

 

 

ポロッ。

 

 

(この球……!私が知る限りで1番速い。しかも捕球出来なかった……?)

 

「ありがとう、水鳥さん。最終的には溢しちゃったけど、私の想いを受け止めてくれて、本当にありがとう……!」

 

捕手をやってた水鳥さんはもう誘うのは無理そうだし、天王寺さんと一緒に新しく捕手を探すか、来年に入ってくる1年生達に期待してみよう。

 

「……待って」

 

「水鳥さん……?」

 

「これ、捕手用のミットじゃない。ちゃんと捕手用のミットなら捕れてた」

 

あっ、そういえば私が持ってきたのはどっちもキャッチボールする為のグラブだった……。

 

「明日、野球部のグラウンドに行く。その時にもう1度貴女の投げる球を受けてあげる。今度は完璧に……」

 

そう言って水鳥さんは去って行った。これって良い方向に話が進んでいるのかな……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。部活の時間になってグラウンドに行くと、そこには捕手用ミットを持った水鳥さんが来ていた。

 

「……早く投げて」

 

私を睨むように、急かすようにそう言った水鳥さん。

 

「今度は……完璧に捕る」

 

(……!この感じ、もしかして……?)

 

私は今の水鳥さんから感じる気迫、そしてミットを構える姿から期待する……。私の本気を受け止めてくれるって……!

 

「うん!いくよ……!」

 

(!?彼方先輩から感じる威圧感……これまで感じたものよりも凄まじいわ)

 

(恐らく今から投げられるのは……彼方先輩が今まで投げたどの球よりも……!)

 

真深ちゃんとユイちゃんは察したみたい。今の私が今までで最高の球が投げられる事を……!

 

 

ズバンッ!

 

 

「……っ!」

 

「と、捕った……?」

 

(この感じ……忘れてた。捕手をやってて1番楽しいのは、投手の投げる球を捕球する事だって事を……!)

 

捕った……。捕ってくれた……!水鳥さんが!私の球を!!

 

「水鳥さん!!」

 

「わっ……!」

 

私は水鳥さんが私の投げた球を捕ってくれた事が嬉しくて、感極まって思わず水鳥さんに抱き付いた。

 

「ありがとう!ありがとう……!」

 

「なんでお礼を言うの……?」

 

「だって、だって嬉しかったから……!」

 

「あっそ……」

 

プイッと目を逸らした水鳥さんだけど、その顔はどこか嬉しそうにも見えた。

 

「おーい……。青春してるところ悪いんだけど、結局水鳥はどうするのかね?」

 

私と水鳥さんのやり取りを見てた皆を代表して天王寺さんが声を掛けてきた。

 

「……しばらく時間ちょうだい。色々とやる事があるから」

 

「それって……」

 

「……それが終わってからなら、入部しても良い」

 

「本当に!?」

 

「別に、私が区切りをしっかりと付けて、結果を残してから野球を辞めるつもりだから、勘違いしないで……」

 

「それでも良いよ!本当にありがとう!!」

 

「ちょっ……!だから抱き付かないで……」

 

(まぁもう1度だけ、もう少しだけ、野球を続けよう。キリの良いところまで……)

 

水鳥さんが入部してくれた事が、私の全力を捕ってくれる人が出来て、嬉しさのあまりに再度水鳥さんに抱き付いた。

 

「良かったですね。彼方先輩」

 

「うんっ!!」

 

これで遠前野球部がスタート出来るよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それで野球部に入ったんか?」

 

「……まぁね。あの時は色々と中途半端な状態だったから、野球を辞めるにしろ、やりきってから辞める事にする」

 

「成程な……。まぁ別に水鳥が良いって思ってんのなら、良いんとちゃう?」

 

「あと外藤も野球部に入ってもらうから」

 

「は……?」

 

「言ったよね?私が野球部入部入る事になったら、外藤も道連れにするって……。管理人代理権限で外藤も入部確定。断ったら家賃上げる」

 

「……こんな何にも噛み合ってない職権乱用初めて聞いたわ」

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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