いよいよ洛山高校との練習試合……。私、ユイ、彼方先輩の3人を出すという事は、相当に強いチームだと予測される。
「天王寺ちゃん、今日はよろしくね~」
「こちらこそ、よろしく頼むよ非道」
天王寺先輩は洛山高校のキャプテンと握手をしていた。
「…………」
「どうしたの真深?」
「ユイ……。対戦相手のキャプテンの人がどこか掴めない人だと思っていたところよ」
「確かに……。怪しげな雰囲気の持ち主よね。独特の空気があの人から流れてる気がするわ」
「それが非道さんの持ち味だからね」
ユイと話していると、後ろから声が聞こえた。
「久し振りね。真深、ユイ」
「お久し振りです。真深さん、ユイさん」
「エルゼちゃんにリンゼちゃん!?」
「驚いたわね。まさか洛山に2人がいたとは知らなかったわ」
エルゼ・シルエスカとリンゼ・シルエスカ……。シニアからの付き合いで、2人共上位打線を任されるレベルの選手だ。
「まぁ私達は真深達が遠前高校に留学した事は知っていたけどね」
「えっ?私達が遠前高校に留学する事は誰にも言ってない筈だけれど……」
そう、私達がアメリカを離れる事はギリギリまで世間に知られていなかった。2人のように親しい間柄の人には留学する事そのものは言っていても、どこの高校に行くかまでは言っていないのだ。
「……私達は非道さんにスカウトされて、この洛山高校に来ました。私達の事をよく調べていたみたいで、真深さん達の事も同時にチェックしていたんです」
「……ここだけの話、実際真深は非道さん達に注目されていたみたいよ?」
「えっ!?」
私が?彼方先輩でも、ユイでもなくて……?
「正確には野球部を引退した大豪月さんが……かしら?まぁ真深の豪快な打撃を見るとその気持ちはわかるわ。それに加えて小技も一級品と打撃方面に関してはトッププロレベル、それに加えて守備も高水準だから、洛山高校野球部の指導役に抜擢される可能性もあったみたい」
確かに高校に進学する際も日本の高校からは幾つかオファーが来ていた。その中には匿名のものもあったけれど、まさかそれが……?
「……まぁ可能性の話をしても仕方ないわ。真深が洛山高校に留学しなかったから、私とリンゼはここにいる。特にリンゼの成長は凄まじいわ。良い意味で洛山野球部に染まった……と言うべきかしらね」
「リンゼちゃんが……」
私の知るリンゼちゃんはアベレージヒッターで、小技を主に得意としていて、犠打の数と、四死球による出塁がシニアで……いや、アメリカで1番多かった。そんなリンゼちゃんが超打撃チームに鍛えられたとしたら……。
(もう私達の知るリンゼちゃんはいない……という事ね)
「お姉ちゃん、彼方先輩にも挨拶しないと……」
「そうね。じゃあ2人共、続きは試合で語りましょう」
「ええ……」
この練習試合……色々と荒れるかも知れないわね。
「よーし、じゃあ洛山戦のオーダーを発表するよ!」
いよいよだね……!
「1番と2番はこれまで通り、恭子と雫に行ってもらう。ポジションの方だけど、雫はそのままショート、恭子はライトを守ってもらう」
「今回はライトでの出場か……」
「了解っす」
これまでの練習試合では多少の打順変更はあったけど、恭子ちゃんと雫ちゃんはずっと固定だもんね。これはキチンと打順による成績を残している証拠だよ。
「3番はファーストで盾」
「私が3番……という事は……?」
「4番に真深。ポジションはレフトね」
「精一杯頑張ります」
真深ちゃんも4番での出場……。今までは代打で1、2回出てただけだから、真深ちゃんも本格デビューだね!
「5番にはユイ。今回は先発で行ってもらうからね」
「任せてください!」
ユイちゃんは張り切っている。私も早く投げたいなぁ……!
「6番は志乃。クリーンアップから降格したけど、志乃の安定した打撃術は買ってるからね」
「別に気にしてない。というか留学勢と草野が飛ばし過ぎなだけ……」
確かに盾ちゃんは今までずっと4番を打ってたもんね。ホームランも10試合で15本もホームラン打ってるし……。
「7番はセンターで亜紀!」
「ベンチで寛いでる由紀の分まで頑張ります」
「亜紀、私は別に寛いでないわ。天王寺先輩からの指令で休んでいるだけよ」
由紀ちゃん、ベンチの背凭れに凭れながら煎餅を食べてる時点で説得力皆無だよ。どう見ても寛いでるよ。他の皆も苦笑いしてるか、呆れているよ……。
「8番と9番は洋子と昌で。今回はこれで洛山高校との打ち合いに臨む!気合い入れていこう!!」
『おおーっ!!』
激しい打ち合いが予測されるこの練習試合……。出来る事なら、勝利をこの手に掴みたい!!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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