最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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満塁のピンチで厄介な打者に回りました。更に後ろにはもう1人厄介な打者が控えています。どうしますか?

イニングは進んで3回裏。私達も洛山高校も打ち合いを続けている。いや、打ち合い……というよりは。

 

「しまった!?」

 

「ドンマイドンマイ!切り替えて行くで!」

 

ファーストの盾ちゃん、サードの洋子ちゃんが洛山打線が放つ鋭い打球を溢してしまっている。

 

「良いよ良いよ。そうやって声を掛け合って!何人かは素人なんだから、ある程度は仕方ない!それぞれが出来る限りのカバーをしていこう!」

 

(そう……。天王寺さんの言う通り、何人かは初心者にも関わらず、今までは捕球に問題はなかった。それは天王寺さんがノックをして捕球技術を磨いてきたから……。でも洛山戦になると今みたいなエラーが露呈し始めた。理由は恐らく天王寺さんが洛山の人達みたいな鋭い打球を頻繁に打てないだからだと思うけど……)

 

だとしたらこの練習試合も始めから行われる予定だったのかな?

 

「……彼方は私に対して何か思う事、言いたい事があるみたいだね?」

 

「それは……」

 

「まぁ後で聞くさ。今は今起こっているピンチを迎えているユイを応援するよ」

 

「うん、そうだね……」

 

状況整理をすると、3回裏でノーアウト満塁、更に次の打者は……。

 

「よろしくね~」

 

3番の非道さん。2回は表裏両方無得点で終わったから、7対2のまま。仮に満塁ホームランを打たれたとしても、まだ私達が1点リード。ここで非道さんを歩かせて、4番の清本さんと勝負して1打席目のようにホームランを打たれたとしても、まだ同点……。1番安全なのは非道さん、清本さんを連続で歩かせ、押し出しで2点を与える事なのかも知れないけど……。

 

(ユイちゃん、志乃ちゃん……!)

 

2人はこの状況下で一体どうするんだろう……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノーアウト満塁で、3番の非道……。トリプルプレーを取らない限りはこの後も清本に続く訳だけど……?」

 

「……志乃先輩はこの局面、どうしますか?」

 

味方のエラーと、私の四球によってノーアウト満塁のピンチを迎えてしまう。志乃先輩は私に任せてくれる……とは言ったけれど、この練習試合に勝つ為に志乃先輩の意見を聞いておきたい。

 

「……私は非道と清本を歩かせて2点与えるべきだと思ってる。それ程非道と清本は厄介な打者だから」

 

(やっぱり志乃先輩も同じ事を思ってるみたいね……。私も3番、4番を歩かせて、後続を抑えに行った方が安全だと思ってる)

 

シニアの時は似たような事をして真深に打たれた苦い思い出がある。今の状況はそれに類似しているから、本当にそれが正しい選択なのかわからなくなってくるわ……。

 

「……あくまでもこれは練習試合。ウィラードのやりたい事をやれば良い。私はそれに従うだけだから」

 

「志乃先輩……」

 

「でも後悔するような選択はなし。勝負するにせよ、歩かせるにせよ、ウィラードが後悔しない選択肢を選べば良い……」

 

そう……よね。私が後悔しない選択肢を取る事……。それが1番大切なのよね。

 

(それなら私は……!)

 

今、この状況において、私にとっての、遠前高校野球部にとっての最善を志乃先輩に伝える。

 

「……成程。強引に解釈すればそんなやり方もあるって事?」

 

「やっぱり強引ですかね?」

 

「まぁあの2人は過去の統計から見てもバカスカとホームラン打つし、他の打者からは今のところホームランになるような当たりは打たれてないし、うちの野球部の事を考えるとありかも知れない」

 

「じゃあ……!」

 

「うん、それで行く」

 

「ありがとうございます!」

 

タイムを終えて、私達バッテリーが取る行動は……!

 

「立ち上がった!?」

 

「満塁敬遠!?」

 

(成程ね~)

 

この3番の非道さんと……。

 

『ボール!フォアボール!!』

 

4番の清本さんを……!

 

「また立ち上がった!?」

 

「二者連続で……!?」

 

満塁の状況下で歩かせる事。

 

「バッテリーは中々思い切った事をしてきたな。満塁で敬遠……それも二者連続なんて野球史上初めてだ」

 

「普通なら満塁の時点で勝負せざるを得ませんからね」

 

「それ程あの3番と4番が危険だったって事……?」

 

「それもあるだろうけど、この場合はうち等の守備練習を兼ねている……という事を利用した、後続を打たせて取るって理由もあるだろうね」

 

「そっか!5番以降は打たせてるから……!」

 

「非道と和奈を相手にするとあの局面では間違いなくホームランだから、それを避けて2点を与えたって訳」

 

流石、天王寺先輩ね。私達の意図に気付いて、丁寧に説明してくれている……。

 

「まぁ盾達があそこの場面でエラーしなかったらそもそもこんな事になってないんだけどな!」

 

天王寺先輩のぐうの音も出ない正論によって盾先輩と洋子先輩が気まずそうに目を逸らすか、苦笑いしていた。それは今後の課題として頑張っていけば大丈夫だと思うけれど……。

 

(……何にせよ、ここからは皆を信じて打たせて行くわよ!)

 

満塁から敬遠なんて事を2度もやってしまった事に後悔はない……。むしろ清本さんに私の手の内を晒さなかった事から、世界大会で彼女を抑えやすくなったと考えればプラスなのよ!

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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