イニングは進んで4回。十六夜さんは二宮のアドバイスを聞いた後はカーブとシンカーを投げ続け連続三振を取り続けている。
一方で郭さんも清本のホームランで火が点いたのか、十六夜さんに負けまいとストレートとフォークを中心に日本代表の打線をきりきりまいにしている。
両者譲らずのピッチングを続けて清本の打ったホームランを最後にヒット1本打たせていない。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
4回表。2番から始まる打順を十六夜さんは連続で三振。そして次の打者は……。
(台湾代表の4番、陽春星さん……!)
(台湾一のスラッガー……!)
十六夜さんは陽春星さんに打たれた後からは好投を続けてきたけど、彼女に十六夜さんの今のピッチングが通用するのか……。それ次第で今後……特にアメリカ代表との戦いに関わってくる。
「台湾一のスラッガーとの2度目の対戦だね……。どうなると思う?」
「……余りこういう事は言いたくありませんが、今の十六夜さんでは彼女を抑えるのは無理でしょう」
渡辺さんが二宮に十六夜さんと陽春星さんの対決の行方を尋ねると、二宮は十六夜さんが打たれる……そのような事を口にした。
「えっ?で、でも今の十六夜さんは相手打線をきりきりまいにしていますよ!?」
「そ、そうよ!何故そんな冷たい事を言うのかしら?」
二宮の発言に朝日さんと夕香さんが意を唱える。まぁ気持ちはわからなくないけど……。
「……正直、私も二宮瑞希に同意見」
「夜子……?」
「1打席目に十六夜瑠花からホームランを打った時もそうだけど、彼女は台湾代表の打線の中でも他の打者とは格が違う……。他の打者が基本的に大振りなのに対して、陽春星だけは相手投手に応じて臨機応変にスイングを変えている。4点取られてからの十六夜瑠花は確かに目覚ましい投球をし始めたけど、それだけで抑えられる程台湾一のスラッガーは甘くない」
夜子さんの言うように、相手は台湾一のスラッガー。清本や上杉さん、雷轟にも並ぶ程の実力の持ち主だ。……この3人に雷轟がならぶと違和感しかない。あの子はまだ野球を本格的に始めてからまだ1年経ってないから!
「じゃあこの打席は……」
「十六夜さんが勝負を選ぶなら、十六夜さんの実力次第となるでしょう」
もしも打たれるのならそれまでです……と二宮は付け足した。味方だろうとトコトン厳しいよね。まぁそんな二宮だからこそ、白糸台でも鋼さん達が着いて行ってるんだろうけど……。
ズバンッ!
『ストライク!』
(よし……。なんとか追い込んだ!)
(1球外へ外しましょう。低めにカーブを)
(はい!)
ツーナッシングに追い込んでから、バッテリーは外角低めへカーブを投げた。
ここで陽春星さんについて1つ捕捉。彼女は清本や金原のように悪球打ちを得意としている打者で、更に彼女の得意な球は低めに曲がるカーブやシンカーといった斜めの変化球……。
これ等の条件が揃っている状況下で陽春星さんが見逃す筈もなく……。
「…………!」
「「!?」」
投げられたコースに対して不敵に笑い……。
カキーン!!
強引に捉え、その打球は1打席目と同様に、上空へと消えていった……。
(このホームランが今後の十六夜さんに響くか、そして今後の十六夜さんの課題になるだろう)
私はそう思いながら、陽春星さんがベースを回る姿を眺めていた。
「今のは正に痛恨の一打……と言ったところね」
「そうね。郭上鈴さんのギアも上がってきているし、日本代表とっては苦しい展開になっているのは間違いないわ」
「まぁここからだよね~。日本代表は~」
「……そうですね。私達アメリカ代表は去年、一昨年の日本代表には辛勝したものの、逆境からの追い上げは凄まじかったですから」
「それは恐らく、今年のこのメンバーからも、そうなりそうです」
「そうだね~。それに日本代表の一部の選手はまず眼が違うからね~。あれは正に勝負を見据える事の出来る眼だよ~」
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
陽春星さんにホームランを打たれたものの、十六夜さんは崩れる事なく後続を抑えた。
(後悔の……残るイニングになっちゃったな)
「瑠花ちゃん?」
「……なんでもないです」
4回表終了。5対4で私達が負けているこの状況……。裏の私達の攻撃で清本に回るとは言え、キツい状況は変わらない。果たして逆転の芽は出るのか……!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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