最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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世界一を目指すには

ウィラードさんは私達の予想通り、打たせて取るピッチングを中心に、洛山打線を相手にした時と同様ウィラードさんが韓国代表の中でも警戒している打者以外には三振を取りに行っていない。

 

 

カンッ!

 

 

≪ショート!≫

 

≪了解しました≫

 

 

バシッ!

 

 

『アウト!チェンジ!!』

 

「ロジャーさんってやっぱ世界一のショートって呼ばれるだけあって滅茶苦茶上手いよね~。簡単には捌けないゴロを難なく処理してるもん。その後の送球までも速いし、落ち着いてる」

 

「ロジャー・アリアさんですか……。彼女のプレーからはどこか気品が見えますね。上流貴族育ちなだけあります」

 

「確かにプレーが綺麗に見えるね~。ユニフォームの汚れも彼女だけは別の何かにも見えるよ~」

 

まぁ確かに他のショートの選手ではあんな綺麗な、上品なプレーは出来ないだろう。別段真似する必要も特にないけど、あの無駄のない動きは何かしら参考になる部分はあるかもね。金原の言う別の何かというのは気になるところだけど……。

 

「ロジャーさんだけはアメリカ代表の中でも別格って感じがするよね」

 

「確かに他のアメリカ代表の選手達は所々荒々しさが見えるね。それが一切ないのはロジャーさんと……上杉さんくらいかな。纏ってる空気が違う感じがする」

 

ロジャーさんはともかく、上杉さんは純正の日本人だからアメリカ代表が放つ雄々しさに近い何かを感じないんだと思う。その雄々しさは良く言えば逞しいというか……。

 

「それにロジャーさんはこの試合では下位打線だけど、パワーもあるんだよね~。日本の高校なら間違いなく4番を打てるレベルだもん」

 

「それこそ日本の高校で彼女が4番に立てないのは洛山くらいのものでしょう。彼女の役割を考えるなら洛山では1番か2番になるでしょうが……」

 

改めて聞くと洛山高校はどこか可笑しい気がする……。

 

「その洛山の1番と2番は同じくアメリカ代表のシルエスカ姉妹が務めてるんだっけ?和奈と非道さんの話だと」

 

「うん……。あの2人、この世界大会でも1番と2番を任せれているみたい」

 

「丁度この回は1番から始まるから、彼女達が洛山で何を得たのかを見るチャンスだよ~?」

 

非道さんが言うように、この回は1番のエルゼ・シルエスカさんから……。去年の……というよりは洛山に入る間での彼女は所謂陽さんと同じタイプの打者だったけど……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪ナイスプレー!ロジャー!!≫

 

≪褒めても何も出ませんよ。それに私はいつも通りにプレーしているだけで、特別な事は何もしていません≫

 

≪さて……。この回は1番からだ。リードも僅差だから、一気に突き放せ!!≫

 

「先頭はエルゼちゃんからね」

 

「なんだか洛山との練習試合を思い出すわ……」

 

「お姉ちゃん、頑張って!」

 

「任せなさい!」

 

≪……マミ達は何を言っているのかしら?どこの国の言葉を喋っているの?≫

 

≪彼女達が話しているのは日本語ですね。真深さんは日本人ですし、ユイさんも日本人の血を半分受け継いでいるハーフで、ユイさんは流暢な日本語を話しますよ。それにシルエスカ姉妹も日本に留学しているので、ある程度は問題なく話せると思います≫

 

≪ロジャーは日本語が話せるのか?≫

 

≪ええ。日本語だけでなく、対戦相手の母国語である韓国語も話せますし、他にも合わせて10ヶ国くらいの言語は話せます≫

 

≪我々はアメリカ代表……。せめてこの世界大会が終わるまでは母国の言葉以外は話しちゃ駄目だ!≫

 

≪パトリオさん、それは流石に支離滅裂ですよ≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エルゼちゃんは長打力はあるんだけど、基本的に出塁がメインになるんだよね~」

 

「過去のデータでもその傾向はありますね。白糸台で言うところの日葵さんと役割が同じです」

 

「そして2番のリンゼさんが確実に繋いでいく……か。この辺りも白糸台の佐倉姉妹と似通ってるね」

 

改めて分析してみるとエルゼ・シルエスカさんと佐倉日葵さん、そしてリンゼ・シルエスカさんと佐倉陽奈さんはほとんど役割が同じだった。

 

強いて相違点を挙げるなら、白糸台の佐倉姉妹は妹の日葵さんが長打力がある選手で、姉の陽奈さんは小技がメインなのに対して、シルエスカ姉妹は洛山に留学している影響なのか、どちらも長打力がある選手だという事。妹のリンゼさんはアメリカ内では『小技のスペシャリスト』とも呼ばれているね。

 

尤も白糸台側も陽奈さんが課題としている長打力を様々な形でカバーしている可能性も捨て切れないけど、実際のところ白糸台で彼女がどういう練習をしているか……。

 

 

カキーン!!

 

 

「あっ、打った!」

 

「外野の頭を抜けるスリーベースだね~」

 

シルエスカ姉妹の姉の方……エルゼ・シルエスカさんは例えるなら陽さんに長打力を更にプラスした打者だとも言われており、足も速く、リンゼさん程じゃなくても小技が出来る。本当に隙のない姉妹だよ全く……。

 

「……で、次はシルエスカ姉妹の妹の方だね。ここはスクイズで確実に点を取りに行くか、四球狙いで更にチャンスを繋ぐか……だよね」

 

「それは恐らく洛山に留学する前のリンゼ・シルエスカさんでしょうね。洛山に留学した彼女は新たに長打力を身に付けた……という話を聞きます。ですので……」

 

 

カキーン!!

 

 

「えっ?初球から行った!?」

 

リンゼさんが初球から捉えたその打球はライトスタンドへと伸びていき、そのまま入っていった……。

 

「……このように甘い球なら軽々とスタンドへと運ぶパワーを身に付けています」

 

「嘘……。確かあの妹の方って去年のアメリカ代表メンバーの中で1番パワーがなかったって話なのに……」

 

金原が言う事もまた事実。リンゼさんは去年の世界大会のアメリカ代表の中で1番非力だった。だからこそ繋ぐ打撃術に長けている訳だったけど……。

 

「……私も洛山に入っていれば和奈さんみたいなパワーが身に付いていたでしょうか」

 

ボソッと二宮が何かを呟いていたのを私は聞かなかった事にした。きっと私の耳に聞こえてきたのは幻聴だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナイバッチリンゼ!」

 

「うん。ありがとうお姉ちゃん!」

 

≪ちょ、ちょっとリンゼってばいつの間にそんなパワーを身に付けたの!?≫

 

≪え、えっと……。洛山……日本の高校に留学してから、そこで練習を繰り返して、そうしたらいつの間に……。正直私自身も驚いています≫

 

≪これは驚きましたね。ですが味方としては頼もしい限りです≫

 

≪……そうね。ユイ、マミ、韓国代表の連中に止めを刺して来なさい!≫

 

≪はいっ!≫

 

≪わかりました≫

 

(私達の試合を観に来ている早川さん達にホームランボールでもプレゼントしようかしら?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後もアメリカ打線は止まらず、10対3でアメリカ代表が韓国代表をコールドゲームに仕留めた。

 

「~♪」

 

あと上杉さんが放ったホームランボールが偶然にも清本が構えていたグラブに収まって、それからの清本はずっと機嫌良さそうに鼻歌を歌っていた。

 

(日本代表が世界一を勝ち取るにはあの強力なアメリカ打線を抑えるのと、本気を出したウィラードさんをどう攻略するかに掛かってそうだね……!)

 

アメリカ代表と決勝戦で当たるにはあと2勝……。絶対に勝たないとね。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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