2回表。この回は4番の雷轟さんから……。作戦決行の時ですね。
「よーし!朱里ちゃんからホームランを打つぞー!!」
「遥の奴張り切ってるな」
「朱里ちゃんとの真剣勝負を楽しみにしていたものね」
当の雷轟さんは張り切っているみたいですが、この陣形と朱里さんのピッチングを越えられますか?
「では皆さん、手筈通りにお願いします」
『了解!』
私が指示を出すと、バッテリーの私達とセンターの夜子さん以外のポジションが変わります。
「あれ?向こうの守備が……」
「ポジションが変わるのか。随分早いな……」
「……ってあれは大胆過ぎない!?」
ほとんどのポジションが交代している事によって、赤チームは狼狽えています。
「大方瑞希の入れ知恵だろうな。他にあんな小癪な手腕を発揮するのはあの中にはいない」
天王寺さんは私の狙いに気付いているみたいですね。あとは六道さんもでしょうか?
(非道さんがもしかしたら同じ事を思っているかもだけど……)
「ははー、そういう事か……。瑞希ちゃんも随分思い切ったね」
やはり六道さんも気付いていましたか。
「六道さんは何か分かったんですか?」
「まぁね。でも内緒だよ!」
しかし気付いていながらも、彼女達にこの陣形の意味は教えないようです。
「いや、赤チームが勝つ為に教えてくださいよ……」
「私と天王寺さんは監督支援にあって監督じゃないんだよ。あくまで解答を見付けるのは自分達だからね!」
この試合は選手達が各々の判断で動くように言われています。目的は恐らく来年に行われる県対抗総力戦に向けているものだと思われますが……。
『4番 ライト 雷轟さん』
改めて試合再開です。
(練習では感じなかった威圧感……。それだけ本気だって事だよね。光栄だよ)
(朱里ちゃんに勝つ……!他の事は考えないよ!!)
(雷轟さんも朱里さんも凄い気迫ですね。互いに一歩も譲らない……といった感じでしょうか)
こんなヒリヒリとする圧をぶつけられる他の選手の気持ちを考えてなさそうですね。私は別段気にしないので、構いませんが。
(とりあえず内角低めに構えて様子を見ましょうか)
私が構えると朱里さんは頷き、投球動作に入りました。制球も問題なさそうですね。
ズバンッ!
『ボール!』
(振って来なかったか……)
(危ない危ない……。空振りを誘うフォークだったんだね)
空振りを誘うフォークのつもりでしたが、釣られてはくれませんでしたね。選球眼も中々です。
(朱里さん、次はここです)
(了解)
コースは真ん中高め。スラッガー相手にはハイリスクなコースですが、朱里さんならばリスク以上のリターンが得られるでしょう。
(私の次の手は……これだ!!)
(速い……。ストレート?)
雷轟さんはストレートだと思ってスイングを始動していますが、これはそんな打者から空振りを誘う球……。
(えっ?嘘っ!?)
ズバンッ!
『ストライク!』
(やられた……。まさかSFFだったなんて……!)
雷轟さんは読みが外れて悔しそうにしていました。朱里さんから打つのはかなりの難易度が高いのですから、そこまで気落ちする必要はないのですが……。
(次はここにお願いします)
コースは真ん中に……。力を込めて投げてください。
(コースの真意は二宮にしかわからない……。何にせよ全力で投げよう。私は雷轟遥に勝つ)
(朱里ちゃんとこんな風に勝負出来るなんて嬉しいよ。私にとって朱里ちゃんは私に野球の楽しさを教わったから、雲の上の存在だったから……。朱里ちゃんのお陰で野球が好きになれたんだよ!)
(いくよ雷轟……!)
(私は全力で迎え撃つよ朱里ちゃん!)
ど真ん中へと投げられる球は……。
ズバンッ!
『ストライク!』
私のミットに吸い込まれます。この2人の対決の度にこのような空気が流れるのは些か心臓に悪いですね。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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