最後に風薙さん視点が入ります。≪≫は英語です。
試合は7回表まで進み、1対5のまま私達がリードしている。やはり雷さんの満塁弾が効いたね。
「4点差ありますので無理をせず、朱里さんの思うように投げてください」
……と、二宮は言っていた。
無理をしているつもりはない……。台湾代表との試合の時もそうだったけど、この世界大会の舞台に立つと力が湧いてくる……そんな感じがするんだよね。
(それが何かはわからないけど、そのお陰で私は気持ち良く投げられる……!)
実際はクローザーでの採用だったり、二宮が捕手である事だったりと他にも色々あるんだけど、この世界大会は私が気兼ねなく全力で投げられる環境という訳。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
(台湾代表を相手に投げた時よりも朱里さんの球が威力を増していますね。このキレは神童さんに匹敵します)
ズバンッ!
『ストライク!』
(まだストレートとストレートに見せ掛けた変化球しか見せていないにも関わらず、オーストラリア代表の打線を完全に抑え込んでいます。変化球はアメリカ代表を相手にするまでは温存という形を取るのでしょうか?)
(アメリカ代表が観に来ている事を考慮すれば、私の球種は極力温存したい……。もしも偽ストレートが通用しなくなったら投げざるを得ないけど、今のところは問題ないかな?)
それに対アメリカ代表との試合に備えて私も……新しい球を取得したからね。
『ストライク!バッターアウト!!』
「最終回で早川ちゃんが登板で、二者連続三振……。これは決まったね~」
「そうですね。ここから早川さんが打たれる事はないでしょう」
「それにしても……。早川さんってば台湾代表を相手にした時よりも球威が増してない?」
「だね~。アメリカと決勝戦で当たる頃になると早川ちゃんは手が付けられない存在になるかもよ~?」
「……そうはいきませんよ。最後には、私が早川さんを打ってみせますから」
「真深……」
「流石真深さんですね。頼もしいです」
(それに早川さんもそうですが、私としては瑞希さんの方も脅威的です。早川さんが私達を相手に投げないとしたら、瑞希さんこそがアメリカ代表の1番の敵になるでしょう)
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!ゲームセット!!』
「ふぅ……」
(よし……!現状はまだ偽ストレートでなんとかなる。願わくば次に当たる予定のキューバ代表にもこれが通用すれば良いんだけどね)
キューバ代表はこの世界大会でも優勝候補……。アメリカ代表と同等……いや、年によってはアメリカ代表を凌ぐ実力と選手層がある。出来るなら勝ってアメリカ代表と戦いたい……!
(朱里ちゃんのピッチング、凄かったなぁ……。これは私もうかうかしてられないや)
春休みに入り、遠前高校の方も休養期間だと天王寺さんが言ってたから、私はアメリカに来ている。真深ちゃんとユイちゃんを始めとするアメリカ代表と、朱里ちゃんと瑞希ちゃんがいる日本代表の応援に来たのだ。
「私も次の夏大会か、県対抗総力戦で朱里ちゃんと投げ合いたいな……」
≪彼方……?≫
≪間違いない。カナタだ!≫
私の後ろで私を呼ぶ声が英語で聞こえた。この声ってもしかして……。
≪えっ……?ボストフ!ジータ!≫
私と真深ちゃんのシニア時代でのチームメイト……クリス・ボストフとジータパーラーの2人だった。
≪久し振りですね≫
≪カナタ達がアメリカを出た時以来だったか?≫
≪うんうん。久し振り!2人共元気そうで何よりだよ!≫
≪カナタはシニアリーグの世界大会の観戦か?だがアメリカ代表は今日試合はない筈だが?≫
≪真深もアリアやウィラードと一緒に日本代表の試合観戦に行くと言ってましたが……。彼方も目的は同じですか?≫
≪まぁね。結構長い期間アメリカにはいたけど、私だって日本人だし。それに……≫
≪それに?≫
≪日本代表の投手の1人は私が関わった子だからね!≫
≪……興味深い話ですね。ここではなんですし、どこかで食事でもしながらその話を詳しく聞かせてください≫
≪良いね!互いの近況報告も兼ねて色々話そう!≫
≪もちろんだよ!≫
この2人と話すのは結構久し振りだからね、シニア時代では親友だった2人と話すのってなんだか嬉しくなるよね!
(折角だし、あとで真深ちゃん達にも挨拶に行こっと)
本当に……色々楽しみだよ!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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