カウントは1、2……。カウント上では有利になりましたが、雷轟さんの場合は抑えるその時まで有利不利がハッキリしない厄介な打者です。
「うわっ!今のストレート速いよ!」
「間違いなく朱里の中で最速だろうな」
球速自体は全国的に見て中の上くらいですが、簡単打てる代物ではないのもまた事実……。連投出来るかがこの試合の行方を占う事になるでしょう。
「あんな朱里ちゃんを見るのは初めてだよ……」
「アタシ達も見た事ないかもね。少なくともシニアではあんなイキイキとしてなかったよ」
確かに今の朱里さんはどこか楽しそうに投げていますね。リトルシニア時代では見受けられなかった表情です。
「雷轟さんは朱里ちゃんの力を引き出すカンフル剤になってるね。お互いに無自覚なんだろうけど……」
雷轟さんは朱里さんの、朱里さんは雷轟さんの力をそれぞれ引き出しているのでしょうね。和奈さんの言うように無自覚のようですが……。
「こうなったらどっちも応援しよう!」
「……今は敵チームだが、確かに遥にも朱里にも頑張ってほしいな」
新越谷のメンバーは朱里さんと雷轟さんの両方を応援する事にしたみたいです。チームメイトとしては片方を贔屓にするのは気まずいからでしょうか?
(凄い……。今の1球からは朱里ちゃんの魂を感じたよ!)
(今のストレートは自分の中で最高の球だった。阿知賀との練習試合でも投げたものだ。あの時と今の雷轟との対面で何か共通する部分はどこなのか……)
(……今のストレートは簡単に打てるものではありませんでした。朱里さんの表情から察するに今のストレートは偶然のものでしょうが、もしもこれをいつでも投げる事が出来るのならば敵として対峙した時にとても厄介なものとなります)
朱里さんの覚醒の切欠はどこにあるのか、それとも特定の相手に対してでないとそれが見れないのか……。色々調べてみる必要があるみたいです。
(それはさておき、そろそろ決めにいきましょうか。まだあのストレートは投げられそうですか?)
(……うん、大丈夫。思い切りいくよ)
朱里さんの方は問題なさそうですね。それならど真ん中にどっしりとミットを構えておきましょう。それで朱里さんは最高の1球を投げてくれる筈です。
(新越谷に入ったから……いや、そもそも雷轟がいなかったら投げられる事のなかったストレートだね)
(次に投げるのは恐らく朱里ちゃんの全身全霊が込められた球。私はそれを全力で打ち返すだけ……!)
互いの命運を決める1球。その結果は……。
ガツッ……!
「……?これってバットの欠片?」
その1球は、私のミットに豪快な音を奏でました。
「……最高の球でしたよ朱里さん」
金属バットが砕けるという普通ならありえない現象が起きていますが……。今は気にしない方向にしましょうか。
『ストライク!バッターアウト!!』
(やるね朱里ちゃん……。次は私が勝つよ!)
(私は誰にも負けるつもりはないよ)
朱里さんと雷轟さんの勝負の余韻に浸る暇もなさそうです。何故なら次は……。
「…………」
あの和奈さんとの対決が控えているのですから。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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