「あらら。日本代表はキューバ代表に大量リードを許しちゃってるね~」
「日本代表側が投げているのは間違いなく早川さん以外でしょうね」
「それでも日本代表の投手陣はかなりハイレベルって聞いたわよ?」
「キューバ代表は優勝候補で、しかも向こうが投げているのはキューバで1番の投手とも言われているダルシユさん……。本来ならこのまま抑え込まれて、日本代表の敗北は濃厚だけれど……」
「とてもそんな風には見えない……と?」
「ええ。この試合……勝つのは日本代表よ」
「大きく出たね~」
「その根拠は何かしら真深?」
「同じ日本人としての勘……かしらね」
『アウト!チェンジ!!』
4回裏はなんとか無失点で抑える。私達日本代表の投手はもう3人目なんだよね……(ちなみに今投げているのは渡辺さん)。
「この回は8番からか……」
「前の回みたく打者一巡出来れば、一気にこっちのペースに持っていけるけど……」
「…………!」
ダルシユさんから感じられる気迫からは簡単には打たせないという想いが感じられる。
(とは言えこの回は最低でも1点は取らなきゃいけないんだ……。なんとしてでも食らい付いてほしいね)
『アウト!』
……って、早速先頭打者が打ち取られてるよ!?あと2人打ち取られたら私達が負けるって理解してる?
『ボール!フォアボール!!』
9番の十六夜さんがなんとか粘って四球。これでワンアウト一塁だ。
「アタシも続かないとね……!」
「いずみちゃん、頑張って!」
「任せてよ。これで3打席目だし、絶対にダルシユさんから打ってみせるから♪」
そう言って金原は意気揚々と左打席に入っていった。
(ダルシユさんの球種はストレート、チェンジUP、ツーシーム、スライダー、カーブ……。まだ見せていない球がある可能性もあるけど、ここでアタシが狙うのは……!)
1球目。投げられたのは左打者の外に逃げていくスライダーだった。
(やっぱこのスライダーでしょ!)
カキーン!!
「初球から打った!」
金原が打った打球はレフトフェンスに直撃。長打コースだ。
「あのスライダーを綺麗に捌くとは……。やはりあの1番打者は日本代表の選手の中でもトップクラスの実力者ですね」
「でも……飛ばした方向が悪かったわね」
「キューバ代表のあのレフトは真深クラスの強肩……。下手な走塁を見せたら刺される事は間違いないわ」
レフトが打球に追い付く頃、金原が二塁を蹴り、一塁ランナーである渡辺さんは三塁を蹴った
「よーし、これでひとまずコールドゲームは避けられたね!」
「良かった……。これで一安心だよ」
ベンチからは安堵のため息が吐かれる。
(ん?あのレフトって確か肩が滅茶苦茶強かったよね?映像で見るとフェンスからホームベースまでノーバンで届いていたような……)
だとするともしかして……!
「ランナー急いで!!」
「えっ?」
私の掛け声で呆気に取られながらも、十六夜さんは走塁のギアを上げる。それと同じタイミングでレフトが強い送球をホームへと放つ。
ズバンッ!
「ええっ!?」
『アウト!』
ま、不味いな。これでツーアウトだよ……。金原の方はなんとか三塁に辿り着いているけど、このままではあとアウト1つで私達の負けが確定してしまう……。
「…………」
次の打者は朝海さん。朝海さんなら能力的にも、打率的にも期待出来るけど、もしも万が一の事があれば……。
(ここまでかしらね……)
朝海さんの方は何かを悟ったような表情をしていた。あれが諦めから出ているものじゃないと思いたいけど……。
「朝海姉さん、いけるよね?」
「……世の中に絶対はないわ。けれど私なりに足掻くつもりよ」
「頑張って……」
夕香さんと夜子さんが朝海さんの背中を押す。その光景を見ると微笑ましく思えるよ。状況が状況な為にそんな想いも感じる余裕はないけどね。
(ツーアウトでランナーが三塁、内野陣は深めの守備位置……。やるしかないわね)
1球目、ダルシユさんが投げたその瞬間……。
『バント!?』
(私達三森3姉妹の1番の特徴……それは足の速さを活かしたセーフティバントよ!)
コンッ。
ツーアウトにも関わらず、初球セーフティスクイズ。弱い打球は三塁線に転々と転がっていく。
(朝海の行動はなんとなくわかってたから、スタートを切って正解だったね♪)
金原はホームイン。サードがボールを拾い、慌ててファーストへと送球する。
『セーフ!』
一塁も悠々セーフ。この回1点を獲得した事で、7点コールドにならずに済んだけど、本当にギリギリだよね……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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